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政治ストライキ、鉄道闘争の「その後」

[寄稿]攻略するよりは落伍させろ

ソ・チャンホ(人権運動連帯) 2014.01.13 17:38

全国鉄道労働組合(鉄道労組)が行った民営化反対ストライキは「国会鉄道産業発展小委員会構成」の合意で中止された。2013年の韓国社会を揺るがした鉄道ストライキは中止されたが、鉄道ストライキが残した韓国社会の課題は重く厳重だ。鉄道民営化の議論は現在進行形だ。鉄道労組だけでなく、鉄道ストライキを支持した社会運動勢力と多くの国民は「鉄道民営化反対」、「水西発KTX子会社設立撤回」を強く要求している。

しかし朴槿恵(パク・クネ)政権は、相変らず「民営化ではない」とし、コレイル 改革の次元で「鉄道競争体制」導入が避けられないという態度だ。この渦中で、 水西発KTXを運営する水西高速鉄道株式会社が1月10日に発足した。民営化ではない という朴槿恵政権の公言が面目を失うコレイル内部文書の「水西発KTX運営準備 のための組織設計」最終報告書(2013年12月23日作成)を読むと、水西高速鉄道の 設立と競争体制導入が指向するところは結局、鉄道民営化だと指摘している。 報告書は「2015年開通予定の水西〜木浦、水西〜釜山間高速鉄道運送事業の経営権を 鉄道公社出資会社で運営し、公共部門内に競争体制を導入」した後「鉄道公社が 運営を放棄した赤字路線、広域鉄道新規事業などは公企業または民間に開放し、 民間との競争体制を導入」することを目標にすると明示している。

結局、水西高速鉄道株式会社の設立強行は、「正常の非正常化」を「非正常の 正常化」と読む朴槿恵式話法と不通政治にとてもよく似ている。マイウェイ式 強行は、相変らず鉄道労組と社会運動陣営の長々しい闘争を予告している。

23日間の鉄道労組ストライキ闘争は何を残したのか?

鉄道労組は朴槿恵政権の公共部門民営化に反対し、23日にわたる最長期のスト で「民営化の真実と弊害」を知らせることにより、「民営化はいけない」という 多くの国民的世論を引き出した。鉄道労組の闘争は、反朴槿恵政権闘争、 反政府闘争の燃料を投入して点火しただけでなく、朴槿恵政権の素顔をはっきり 見せつけた。

朴槿恵政権は、執権1年で鉄道ストライキという最も強力な闘争で深刻な危機に 直面することになり、政権の不通政策は深刻に傷ついた。また、鉄壁のような 朴槿恵政権の支持率は40%台まで下がり、特に、中道層の離脱が目立ち、20〜 30代のの若年層支持率も大幅に下落した。

23日間の闘争は、鉄道労組の活動家も予想できない闘争だったと誰もが言う。 これまで鉄道民営化阻止闘争のために2年ほど地域別に対策委を結成したり世論 拡散のために東奔西走したが、これほど国民の熱い支持と連帯が続くとは鉄道 労働者も予想できなかった。そのため鉄道労組のストライキ闘争は労組だけの 闘争で実現したのではない。鉄道労組の闘争に参加した民主労総をはじめ、 貨物連帯の連帯宣言、社会運動勢力の積極的な連帯だけでなく、多くの市民の 支持と参加が鉄道ストライキを突き動かす動力で、鉄道ストライキそのものだ。

鉄道ストライキを突き動かす力は反政権闘争、民主主義闘争、そして反新自由 主義闘争と多様に重なり、転化し、変奏された。「闘争の言語」は労働者の ものであり、国民のものだった。「つらいから青春」だと言いながら、つらくても 本当に自分と向きあえないまま、疎通であれ敵対であれ、外部との関係をすべて 遮断して、自分の中に閉じ込もって暮らすことを強要された、元気ではなかった 多くの大学生と市民を呼び集めた。

彼らが鉄道ストライキの過程で「話」をし始めた。これは私の問題で、私たちの 問題であることを互いに「質問」し、境界を越えて「宣言」した。これは、今後の 社会運動陣営の大きな資産として、共に対話をしながら守るべき広い大衆の海に しなければならない。

鉄道ストライキ、撤回、あるいは合意の間に

[出処:チャムセサン資料写真]

しかし鉄道ストライキは労政の直接交渉という政治的展望の不在、労働者連帯 ストと戦闘的な民衆連帯の不在、全面ストの不在を越えられなかった。特に、 鉄道労組内部では組合員の一部の現場復帰が徐々に確認され、組合員の心理的 動揺と執行部の組織保存という圧力に引きずられ、007式の合意になった。その 間、国民は戸惑っていた。「共に行って、共に帰る」という鉄道労組の闘争の スローガンに表れているように、闘争後の組織内の後遺症を最小化し、今後の 組織的闘争のための痛恨の選択かもしれないが、やはり深く重い惜しみが残る。

鉄道労組の合意内容と方式は、深刻な問題を示した。セヌリ党と民主党が合意 した「鉄道産業発展小委の構成でストライキ中断」という合意は、28日間の 「国民ストライキ」から見れば、みすぼらしい成績表だった。「鉄道民営化の 具体的な内容はない」という文句があるだけのみすぼらしい成績表、鉄道闘争 を支持した市民には不足な成績表だった。だが何よりも恩着せがましいことが 好きなブルジョア国会に頼って、鉄道労組の闘争が座礁してしまったことだ。 鉄道民営化の政策的代案を出せないまま、青瓦台の顔色をうかがうことに汲々 とするセヌリ党だけでなく、鉄道民営化の下絵を描き続けていた参与政府に対 する反省がない民主党、結局、鉄道闘争は与野の政治的成果のために利用された。 この渦中でストライキを撤回した鉄道労組執行部は、無理な選択をしたという 批判は免じにくいだけでなく、鉄道闘争に連帯した市民にとっては理解に 苦しむばかりなのだ。

また、鉄道労組執行部は少なくともストライキを展開した組合員の民主的討論 を通じ、復帰を決めるようにしなければならなかった。組織的後退を決めると しても、執行部の決定で復帰を決めるのではなく、ストライキを展開してきた 組合員が決める時、今後の闘争も可能だという点を見過ごした。

鉄道労組に対する報復性の懲戒も十分に予想される。コレイルはストライキの 責任を問い、6850人の職位解除と191人の告訴・告発、152億余ウォン(12月31日 基準)の損害賠償請求と116億ウォンの財産仮差押えを撤回せずにいる。コレイルは、 営業損失だけでなく、ストライキの長期化に備えて採用した代替人員の人件費まで 損害賠償請求金額に反映する方針だ。

しかし鉄道労組、一人ではない

鉄道労組の前には無数の弾圧と課題が山積している。持続的な鉄道民営化阻止 闘争と共に、組織を守らなければならない。弾圧は鉄道労組をねらうだろうが、 鉄道労組への弾圧に悲しむ市民は数千数万の目に分裂し、怒りへと広がっている。 鉄道民営化闘争に呼応した労働者民衆が一緒にしている。朴槿恵政権の鉄道弾圧と 民営化阻止闘争は、正確に反比例する。朴槿恵政権は鉄道民営化と鉄道労組弾圧を 絶えず内部化するため、鉄道労組はちょうどその分、孤立させられる。だから 鉄道労組への弾圧と鉄道民営化問題は、組織内部ではなく「外部」に引き出さ なければならない。一緒にしなければならないのだ。

資本の最後に残った新世界、医療営利化。鉄道労組闘争の学習効果をしっかり生かそう

[出処:KTV画面キャプチャー]

朴槿恵政権は鉄道民営化に続き、資本のためもうひとつの新世界を待ちこがれ ている。昨年12月13日、朴槿恵政権は「保健医療産業サービス投資活性化対策」 を発表した。病院の付帯事業の範囲を大幅に拡大し、これを営利子会社として 認めること、病院の買収合併の許容、薬局営利法人の許容を骨子とする内容を 発表した。ここに新医療技術の評価と新薬の許可手続きを簡素化する内容まで 含まれ、医療関係者-患者間の遠隔医療許容も進めている。

事実、朴槿恵政権の営利子会社方案は、2006〜07年に盧武鉉政権の時に初めて 披露された。2008年の李明博政権の時に医療法全部改正案として推進されたが、 キャンドルにより挫折した方案だ。2010年にもこれと似た医療法改正案が挫折 した。2006〜10年には子会社を病院経営支援会社(MSO)と呼んだという点が、 今とは違うだけだ。

鉄道民営化それ以上に国民の基本的な権利といえる社会公共財に対する直接的 攻撃である医療営利化、あるいは医療民営化政策は、朴槿恵政権の民営化政策 の完結版になるのは自明だ。患者の医療費は暴騰し、病院労働者は病院資本の 垂直系列化の過程で構造調整の餌食になるのは明らかだ。

鉄道労組の闘争は教えてくれている。2年にわたる持続的な鉄道労組の闘争準備 と地域別の細かい支援団体の構築、全国民と連帯する粘り強い広報と宣伝、 そして、何よりも労働運動内部の拡大強化による総労働の連帯闘争組織化などが 必要だ。

朴槿恵政権を落伍させよう

76年、ジャマイカのキングストン会議でブレトンウッズ体制が公式に崩壊した 後、本来の姿を表わした新自由主義が終末を告げている。資本財生産の内的な 矛盾と世界の民衆の抵抗のため、新自由主義政策は修正せざるをえないばかりか、 資本主義そのものが危機状況に直面している。

自分を拡大すればするほど、すべての社会関係を破片化させ分裂させるという 点が、新自由主義の最も致命的な弱点だ。それは、共同体、一緒に暮らす人生 という発想そのものを否定する。公共部門の民営化、あるいは営利化政策は、 新自由主義の核心だ。新自由主義の初期にあった公共部門の民営化、あるいは 営利化政策は、大多数の国家が廃棄した。その点で、朴槿恵政権は非常に時代 錯誤的だ。支配階級にも反している。

何よりも、鉄道、医療、上水道、教育などの民営化や営利化に対して絶対多数 の国民は同意しない。時代錯誤的であり、時代の流れからかけ離れた、資本の ための朴槿恵政権は、落伍させなければならない。自然に落伍するだろうが、 落伍を確認させる権力は国民にある。結局、国民が握っている落伍の別の言葉は、 政権退陣しかない。

付記
*「攻略するより落伍させろ」(〈境界から話す〉、チョハンヘジョンより)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-01-14 05:26:47 / Last modified on 2014-01-14 05:26:48 Copyright: Default

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