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時給4320ウォン非正規職労働者が『年俸7千万ウォン(?)』ユソン企業労働者闘争を支援する理由

[ヨン・ジョンのバカな愛](48)

ヨン・ジョン(ルポ作家) 2011.05.31 17:00

ユソン企業に公権力が投入された直後の5月25日、チョ・ヒョノ警察庁長官は 記者懇談会でユソン企業問題について「外部勢力が労組に介入した情況が色々な 所であらわれた」と話した。労使だけが交渉テーブルに座ればすでに解決して いたはずなのに、外部勢力が介入したのでだめになり、ユソン企業の組合員が 『外部勢力』があまりにものさばり、恐ろしくて怖くなると言ったので、早期 の公権力投入をすることになったということだ。

数日後の5月30日、李明博大統領は第66次ラジオ演説で「平均2000万ウォンも 受けられない非正規職勤労者が多いのに、年俸7000万ウォンの勤労者が不法な ストライキをしているのは残念だ」と話したという。その上、双竜自動車 ストライキの後の労使関係を模範事例として提示したと言う。普通2交代勤務 をしている自動車や自動車部品メーカーは、最低賃金の非正規職労働者でも 年俸2千万ウォンは難しい。この事実を李明博大統領が知っているのだろうか。

とにかく、残念ながら李明博大統領が言及したその非正規職労働者が、まさに チョ・ヒョノ警察庁長官が言及した『外部勢力』だ。警察は『国家全体産業を 揺るがした』ユソン企業闘争に参加する核心的な外部勢力としてドンヒオート と現代自動車非正規職労働者など、最低賃金4320ウォンの時給か、それさえも 解雇されたために受け取れない劣悪な非正規職労働者を指定した。

よりによって、それも最低賃金と長時間労働、劣悪な労働条件で働きながら、 自分たちの権利を得るために活動する非正規職労働者だけを『外部勢力』だと 言う。いつも透明人間のような扱いを受けて暮していた非正規職労働者たちは、 政府と経営界が『一日の損失1千億ウォン』と主張するユソン企業闘争に重要な 影響を与える存在として認められたことを有り難く思うべきか、自販機コーヒー 一杯飲むのも申し訳ないこの非正規職労働者への政府と警察の扱いに舌を巻く べきか、混乱させられる。

昼間連続2交代制と月給制施行を要求するユソン企業闘争の背後勢力、外部勢力 と指定された非正規職労働者当事者たちは、この問題をどう思うのだろうか? そもそも時給4320ウォンの非正規職労働者たちはなぜ『年俸7千万ウォン』だと 言論が大騒ぎするユソン企業闘争に連帯するのか?

なぜ他人事にするのか? VS 用役と警察が外部勢力ではないのか?

「ユソン企業に通ったこともないのに、どうして入ったのか?」去る24日に連行 された人のうち、ユソン企業支会組合員以外の人々は警察署の調査で全く同じ 質問をされた。

23日、ユソン企業工場から連行されたチェ・ジニル(金属労組ドンヒオート社内 下請支会)氏は、警察が調査の過程で「正門の状況を知っていたか? 正門でスク ラムを組んでいなかったか? 特に担当している役割があったのではないか?」 など、自分を正門死守隊にするための質問をしたのはひどいといった。警察は 「なぜ他人事にでしゃばって連行までされるのか?」という『小言』まで言い始 め、「調査をしろ」と言うと、「そうか...?」と言ってきまり悪そうにしていた という話を伝えてくれた。

「外部勢力ですか? われわれは同じ金属労組の組合員で、同じ労働組合で一つ の指針によって活動しています。ユソン企業の仲間たちとわれわれは、同じ金属労組 忠南支部所属ですよ。数十年間誠実に働いてきた労働者をすべて追い出して、 工場の中に入っている用役と警察こそ、外部勢力ではありませんか?」

24日、ユソン企業への公権力投入で連行されたイ・チョンウ(ドンヒオート社内 下請支会)氏は、ユソン企業は金属労組の中央交渉と集団交渉に参加する事業場 で、忠南地域の支部交渉する時は、使用者代表までした事業場だという話を聞 かせてくれた。調査の過程で刑事は彼にもなぜユソン企業に入ったのかと尋ね たという。

▲ユソン企業で座り込み中のユソン企業支会組合員[出処:ヨン・ジョン]

ユソン企業支会の組合員が工場の中にいた時、私も取材のためにユソン企業の 工場にいた。ユソン企業支会の組合員は若い組合員が自発的に死守隊を志願し、 正門などの重要拠点を守っていた。それは年を取った先輩労働者への配慮と、 今回の闘争に対する情熱と信念の表現だった。死守隊を志願したある組合員に つらくないかと聞くと、「当然私たちがすべきではないでしょうか」と話した。

多くの組合員による闘争の熱気の中で、事実、支援に来た少数の人の仕事は あまりない。支援に来た人々は、ユソン企業支会の指針のとおりに動いていた。 ユソン企業支会が放送で、ご飯を食べに行けと言えばご飯を食べに行き、 集会に来いと言われれば行き、集会の時に出てきて発言しろと言われれば 発言をするのがすべてだった。こうした状況で、支援者たちがユソン企業支会の 闘争を指示したり、出て行こうとする組合員を制止するなど想像することも 難しい。むしろ支援の彼らが組合員の顔色を伺っていた。あるいは支援に来た 彼らの最大の仕事は、ユソン企業支会組合員に、彼らの闘争が正当だという 確信を持たせたことかも知れない。また、いくら産別労組でも、該当事業場の 主導者の判断と意志を尊重するのは、それが良かろうが悪かろうが、 韓国の労働運動で見られる一種の慣例でもある。

『夢の工場』労働者が『絶望の工場』労働者を支援する

5月23日夜、ユソン企業の周辺に警察兵力が増強された。警察がフォーククレーン で片方の壁を突き崩し、その前に戦闘警察を配置して鎮圧装備を備えた。頭上 には2〜3分に一機の警察ヘリコプターが通ったが、工場の中にいたユソン企業 支会の組合員と支援の仲間たちは動揺せず文化祭を進めていた。

「私たちは今日、借りを返しにきました」。
ドンヒオート非正規職労働者が舞台に上がって簡単に発言をして歌を歌う。

退かない、退く所がないからここに倒れて灰になっても退かない
私たちが失うものは、みじめな昨日だけ、今日を戦い、勝利して明日は笑う
同志よ、私が倒れても止めてはならない
私の血、血沸く私の霊魂は闘争を止めない

昨年、ドンヒオート社内下請支会組合員が良才洞の現代本社前で座り込みをし ていた時、ユソン企業支会常執幹部11人が上がってきて、歌2曲を歌ってくれた という。〈闘争を止めない〉と〈不敗の戦士〉を心を込めて準備して歌ったが、 ドンヒオートの組合員たちは『本当の心からの連帯はこれなんだ』と感じたという。 ユソン企業支会のキム・ソンテ支会長は〈不敗の戦士〉の前の方にある 「暮しても、また暮しても、ああ労働解放...」を直接ソロで歌ったりもしたという。

普通、連帯とは集会に参加する方式だが、あらかじめ歌を準備して、きちんと 歌って、組合員すべてに大きな感動を与え、『本当の心からの連帯はこれなんだ』 と感じさせる。その借りを今回返しにきたというのだ。文化祭の最後には歌手 キム・ソンマン氏の提案で、ユソン企業支会の常執幹部と現代自動車牙山社内 下請支会組合員、ドンヒオート社内下請支会組合員が一緒に舞台に上がり、 〈不敗の戦士〉を歌って大きな感動の拍手を受けた。

▲5月23日夜、ユソン企業工場で歌手キム・ソンマン氏と一緒に〈不敗の戦士〉を歌うユソン企業支会の常執幹部と非正規職労働者[出処:歌手キム・ソンマン カフェ、生と愛を全身で歌え]

「私たちが苦しい戦いをしている時、ユソンの仲間がとてもたくさん助けてく れました。いつもキャンドル文化祭に参加して、うちの組合員においしいもの をたくさん買ってくれました。秋夕や正月には交通費にもしろと常執幹部たちが お金を集めてくれたりもしましたし。名節の時、会社が贈り物を出せば、それを 私たちにくれるほどでしたから」。

シム・イノ(ドンヒオート社内下請支会)氏は、自分たちにそんなによくしてく れた人なのだから、ユソン闘争に連帯するのは当然ではないかと尋ねる。また、 ドンヒオートも現代自動車と緊密な関係にあるから、ユソン企業支会の闘争は そのまま自分たちの闘争だと話した。彼らドンヒオートの非正規職労働者たち は復職の合意はしたものの、復職までの生計問題のために建設現場の日雇い、 代理運転などの労働で地域事業場の連帯などをしている。

深夜労働撤廃、ユソン闘争に連帯するのは当然

「初めは地域事業場なので、自然に連帯するようになりましたが、連帯をして いるうちにユソン企業の昼間連続2交代制がユソン企業支会だけの要求ではない ことを知りました。今、現代自動車が導入しようとしている昼間連続2交代制は、 労働強度をあげて人員を削減する方式です。その人員削減の第1次ターゲットは 非正規職になるでしょう。だからユソンの闘争が重要です。深夜労働撤廃闘争 の開始をユソンが開き、私たちがその戦いに連帯するのはとても当然なのです」。

オ・ジファン(現代自動車牙山社内下請支会教宣部長)氏は現代自動車がユソン 企業の問題に介入するのは、昼間連続2交代制問題が強く作用したのだろうと言 う。彼は昼間連続2交代制を深夜労働撤廃ではなく、構造調整の手段に使おうと した現代自動車使用者側にとって、ユソン企業支会が障害だったのではないか と言う。オ・ジファン氏は現代自動車資本のこうしたシナリオに対し、すべて の現代自動車正規職と非正規職がこの闘争を支援すべきだと主張した。

また、今回の公権力投入でユソン企業支会の組合員1人と社内下請支会副支会長 を拘束したのは、深夜労働撤廃という切実な要求をかかげる外部勢力だという 政治的判断で拘束したと話した。現代自動車の昼間連続2交代制の議論は2008年 に8+8システムに行く前、過渡期的に8+9システムを実施するという合意をした 後、進展していない状態だ。

チェ・ジニル氏は「初めて昼間連続2交代制の話が出た時、苦しい12時間2交代 勤務をしているドンヒオートの労働者も関心と期待感があった」とし、いまも 現代自動車は合意できないが、その渦中でユソン支会が重要で先導的な闘争を していると話す。

夜間労働は本当につらい

2009年にユソン企業の労使は2011年から昼間連続2交代制を実行し、昼間連続2 交代制の施行時には時給制から月給制に転換することを目標とすると合意した。 これに関する細かい内容は、今後の議論でまとめることにしたが、実行時期の 2011年が来てもユソン企業使用者側は既に合意した部分について11回の交渉の 間、たった一度も案を提示しなかった。

ユソン企業支会が要求する昼間連続2交代制は、既に10時間の夜昼2交代勤務を 8時間の交代勤務に変え、夜12時にはすべての勤務を終わらせ深夜労働をなくし、 夜は労働者が眠れるようにしようという趣旨の制度だ。また、残業時間の減少 による生活の不安定をなくすため、月給制を施行する要求も共に掲げた。労働 組合では、昼間連続2交代制施行をしても既存の物量の90%を保全するという案 も提示したが、使用者側は無返答だった。ユソン企業支会の組合員は「いっそ こんな状態だから、後でしよう」という弁解でもしていれば、あまり怒ること もなかったと話す。

ユソン企業で会ったある労働者は「われわれは胃腸病は基本で、高血圧に糖尿、 憂鬱症、ない病気はありません。夜間勤務に苦しんで自殺した労働者もいて、 急性敗血症にかかっても会社が物量のために夜間勤務してくれと言われ、2〜3 週後に死んだ人もいます。嶺東工場では通勤バスの中で心臓まひで死んだ労働 者もいました。1年6か月間に6人が死にました。夜間労働は生きられなくするも ので、本当にできません。朝8時に退勤して9時に家に帰ると子供たちは学校に 行っていません。私はまた夜9時に出勤すると、子供たちは塾にいるので、子供 の顔を見てちょっと話すことさえ難しいのです」と話す。

彼はユソンで25年働いたが、10年交代勤務をしているという。彼は鋳造工場で 溶解業務をしているが、眠らないと大事故が起きるという。夜勤して退勤し、 家に帰るとぐっすり眠れず、2〜3時間眠って出勤をするという。そうして一週 間夜勤して昼間に入ると、夜12時過ぎても眠れず、それがとても苦しいと言う。 夜勤の時は午前2時に夜食が出る。それを食べなければ胸が痛んだり胃液が上がっ てきて、食べれば翌日下痢をすると言う。各種の疾患とともに生きる労働者が 突然座り込みを始めて、薬も持ってこなかったので困っているとも言う。

そんな話を、会う記者ごとに言ったのだが、実際の報道内容は使用者側の一方 的な職場閉鎖に対して工場の中にいることを『不法ストライキ』と罵倒して、 『年俸7千万ウォン貴族労働者』のストライキだと罵倒しているのにユソン企業 労働者たちは大きな怒りを感じていた。おかげで私もインタビューは容易では なかった。組合員は話してどうなると言う。そんな内容をユソン企業支会闘争 を支援する非正規職労働者たちは誰よりもよく理解していた。

▲ユソン企業支会組合員の工場座り込み当時、工場の外でデモをしている使用者側管理者[出処:ヨン・ジョン]

非正規職労働者に7千万ウォンを払わないのが問題

イ・チョンウ氏は言論が騒ぐ『7千万ウォン貴族労働者論』にも不適当だという 反応を示した。「私もユソン企業労働者に直接聞きました。その7千万ウォンが 30年近く働いた労働者が夜昼二交代をして休まず残業と特別勤務をしなければ 受け取れない額です。そんな労働者が何人いますか。いたとしてもとても大変 でしょう。また、4〜5人家族の最低生計費を考えれば、その額は多くはありま せん」。

イ氏は1300ウォンのピストンリング生産する会社がそれだけ払って収益が出る 構造だということだが、非正規職を雇用して12時間二交代させ、2千万ウォン ちょっと払う発注元の会社はいったいどれほど利益をあげているのかわからな いといった。

インタビューしたすべての非正規職労働者は「ユソン企業の労働者が7千万ウォ ン受け取ることが問題ではなく、非正規職労働者にそれだけ支払わないことが 非難されるべきだ」と声を高めた。また、「20年働いた事務職労働者が年俸7千 万ウォン受け取ることには驚かないのに、なぜ工場で20年以上働いた労働者が 7千万ウォン受け取るというと驚いて貴族労働者だと罵倒するのか?」とも言う。

ユソン企業で23年働いているというある労働者は「私などは交代勤務をして、 月60時間残業して、1か月に3〜4回の特別勤務をして受け取るのが1か月で300〜 400万ウォン程度だ」と言う。彼はそんなに働く自分もつらいが、いったい一年 に7千万ウォン受け取る人はどんなに死ぬほど働いているのかわからないと言う。 「30年ぐらい、私より年齢も高い人でしょうに、健康は大丈夫か? そんな人が この工場に何人いるのか?」と言う。

「ユソン企業はそれでも労働組合に力があるので非正規職はいないのだが、 労働組合が破壊された瞬間、ここにも非正規職が広がるでしょう」。

やはりユソン企業闘争を支援して、連行されたキム・ジュウォン(ドンヒオート 社内下請支会)氏は、自分たちの境遇のような非正規職が増えることが恐ろしい という反応を示した。彼は、資本が労働組合を自分たちの好きないように飼い 慣らすために、会社の中では組合員と組合員を分断し、組合員と執行部を分断 して、会社の外ではユソン組合員と外部勢力と言って分断していると憤慨した。

ドンヒオートが資本家にとって『夢の工場』なら、ユソン企業のような工場は 『絶望の工場』だっただろう。また、労働者にとってドンヒオートが『絶望の 工場』なら、ユソン企業は『夢の工場』だ。『夢』と『絶望』はコインの両面 だ。果たせなかった『夢』は『絶望』になり、『絶望』はまた『夢』になる。

あまりにもくだらない李明博大統領とチョ・ヒョノ警察庁長官が4320ウォンの 時給を受ける側、『絶望の工場』の非正規職労働者から学ぶべきことがある。 それは人間への信頼と義理、そして愛だ。

▲2010年11月、良才洞ドンヒオート闘争を終えながら

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-06-02 03:34:21 / Last modified on 2011-06-02 03:34:26 Copyright: Default

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