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標的弾圧で命を絶った信協労組支部長...葬儀もできず

チョンヌン信協労組ヤン・ガプセ支部長の死...責任者はすべて蒸発

ユン・ジヨン記者 2011.02.10 02:11

昨年12月29日、チョンヌン信協支部のヤン・ガプセ支部長が自ら命を絶った。 妻のキム・チェファン氏と3歳の息子、2か月の娘を残したままであった。

この事件について労組と遺族側は、チョンヌン信協のチ某前理事長をはじめと する使用者側の脅迫と狙い打ち監査が原因だと主張している。故ヤン・ガプセ 支部長は当時、理事長が予算案を通過させた臨時組合員総会の問題などを指摘 しており、その後ヤン支部長に対するしつこい監査が続いてきたためだ。

「媒酌した理事長が夫を殺しました」

「私は夫の会社の仕事をよく知りませんでした。子供たちも小さくて、私も子 育てで大変なので、夫は会社の難しいことはあまり話しませんでした。労組の 支部長という事実も知らずにいたのです。ところが亡くなる何週間か前から、 服役することになるかもしれないと、買ったばかりの家を奪われそうだと、家 に赤札が貼られるかも知れないと焦って不安げにしていました。それでなぜか と聞くと、会社が標的監査をしていて、謀略を受けていると話しました。」

キム・チェファン氏は夫に何が起きたのかもよくわからないまま、一日で夫を 失った。今、夫が単純な『自殺』ではないということを知った彼女は、3歳の 息子と、実家の父と共に信協中央会の前で夫の名誉回復のために一人デモを 始めるしかなかった。

「10年間、チョンヌン信協で誠実に働いた人です。本当に誠実で、町内の人々 もみんなほめていた人です。家庭に問題があったわけでもなく、子供達も健康 なのに、そんな人がなぜ2か月の娘を残して命を絶つでしょうか。クリスマスの 前後に標的監査を受け、3人分の仕事を一人でみんなこなし、いかに大変だった でしょう。」

特にキム・チェファン氏は、会社側の態度に多くの怒りを感じていた。夫が死 んだ後、狙い打ち監査をして彼を脅迫してきた理事長をはじめとする経営陣は 誰も責任を取らなかった。さらにキム・チェファン氏も、これまで『夫が尊敬 している人』と思っていた理事長が、夫を死に追いやり、一言の謝罪もないと いうことが何よりも失望だ。

「当時の理事長は、2002年にも理事長をしていた人です。夫は彼を尊敬してき ましたし、私たちの結婚式の時に媒酌もお願いしました。ところがその人が夫 を死に追いやったことが信じられません。理事長と経営陣は夫が死亡した後、 自分たちは夫の死と何の関係もないという宣伝ビラをチョンヌン市場と聖堂な どに配りまわったりもしました。葬儀場では名前だけ書いて帰り、告別式では 参加者の写真を撮ったりもしました。遺族への謝罪は一言もなく、こんなこと をします。理事長を辞任した後は逃げまわっています。昨日も朝と晩に理事長 の家を訪ねましたが、すでに逃げてしまい、携帯電話も取りません。やましい ことがないのなら、なぜ逃げまわるのでしょうか。」

故ヤン・ガプセ支部長、誰が彼を死に追いやったのか

労組と遺族は、ヤン・ガプセ支部長の死は『他殺』だと言う。労組弾圧と共に、 支部長個人にまで脅迫が加えられたためだ。

2010年3月、チョンヌン信協理事長に就任したチ某氏は、2002年から2005年まで 一度理事長をしていた人物だった。彼が再び理事長に就任する時、職員はあま り反対しなかった。2006年に民主労総全国事務連帯労組所属のチョンヌン信協 支部が結成されてから、労組は会社の弾圧に苦しめられていたためだ。会社は 全職員の賃金削減、構造調整などで労組を攻撃した。このような状況で自分の 娘も労組活動をしていたと言って労組との対話を強調する新任理事長に組合員 が反対する理由はなかった。

だが就任後あまり経たないうちに、理事長は組合員の期待を裏切った。彼は 2010年7月、支部長に当選した故ヤン・ガプセ支部長を圧迫して、賃金カットと 既存の団体協約からの福祉事項の削除などを要求した。結局労使は2010年11月 16日、2009年度賃金を職級により最高-15%まで削減する案に合意した。労組は 2008年12月30日、使用者側の団体協約解止通知の後、団体協約が締結できずに いたため、何よりも団体協約締結が急がれていた。

また理事長は昨年11月、信協出資組合員臨時総会で45億相当の信協ビル新築な どの信協移転予算を総会で可決させた。だがこの日の総会では米国に留学中の 理事長の嫁が出資組合員に化けて参加するといった問題があらわれた。総会の 定足数にも達していないことが確認されたが、案件は可決された。

これに対してヤン・ガプセ支部長は『総会に誤りがあって、11月の臨時総会の 決定事項は無効』と問題を提起した。労組弾圧に先頭に立って待機発令を受け たチェ某前常務の業務復帰反対と、新規職員解雇にも強く抗議した。この時か ら使用者側は『狙い打ち監査』という刃をヤン・ガプセ支部長に突きつけ始めた。

労組は「理事長は学縁、地縁等を通じ、6か月にわたる強力な企画、標的監査を 行い、労組の核心であるキム・ボンユン前支部長とヤン・ガプセ支部長の除去 による労組瓦解工作を主導した」とし「監査の結果、ヤン・ガプセ支部長には 何の問題もないということで監査が終わったが、さらに2回も自主監査をするな ど、圧迫を加え続けた」と説明した。

誰も責任を取らない死

ヤン・ガプセ支部長が死んだ後、理事長を含む使用者側は責任を認めるかに見 えた。1月4日に開かれた交渉で、理事長は監査の指示と、監査の過程の問題を 認めたためだ。労組は「理事長が監査を指示したことを告白して、金某監事が ヤン・ガプセ支部長の監査の過程で彼を犯罪人扱いし、人間的な侮蔑感を与え るなど、非常にひどいやり方で監査したことを認めた」と明らかにした。

だがその後、7日の交渉で使用者側は態度を翻した。ヤン・ガプセ支部長の死と 会社の関連を否定し、地域に宣伝ビラを配った。これに対抗し、事務連帯労組 は1月31日から40日間、チョンヌン信協の前でテント座り込みを続けている。 1月5日からは毎週水曜にキャンドル集会を開いている。会社の責任認定と責任者 の処罰、遺族への補償を実現するためだ。

だが労組と遺族による『責任者処罰』の要求は、責任者の蒸発で、むなしく響 くだけの状況に置かれている。1月21日、理事長が自主的に辞任した後、7人の うち5人の理事と監事が辞任または資格喪失で席を離れたためだ。結局会社側の 責任者が全員いなくなったことで、責任を負う所も、処罰を受ける人も消えた。

そのため事務連帯労組は2月9日、信協中央会ソウル地域本部前で開いた『信協 中央会糾弾決意大会』でこうした状況に怒りをぶつけた。チョンヌン信協の 責任者はすでに席を離れ、ヤン・ガプセ支部長監事と共謀した信協中央会は、 この事件を無視しているということだ。

事務連帯労組のキム・ホジョン委員長は、「理事長をはじめとする理事が辞任 した状況で、誰もこの問題を解決しようとしない」とし「特に労組脱退を勧め、 団体協約条項をなくすとして労使関係に介入した信協中央会も、この事件を無 視している」と批判した。事務金融連盟のチョン・ヨンゴン委員長もまた「2月 15日、四十九日の前までに信協中央会は事態解決に乗り出せ」と強調した。

一方、決意大会の直後、キム・ホジョン委員長をはじめとする出資組合員2人は 信協中央会を抗議訪問し、関係者と面談した。この席でキム・ホジョン委員長 は、臨時理事選任後、臨時で遺族との合意による適正な補償を要求し、会社は これに対して前向きに検討すると明らかにした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-02-11 04:59:43 / Last modified on 2011-02-11 04:59:48 Copyright: Default

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