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21世紀の緋文字、非正規職の鬱憤[1]

工場の外でも差別される身分

合同取材チーム 2010.12.05 10:09

「蔚山ですがね。ナイトクラブで会っても(現代)自動車に通っているというと、 下請なのか正規職なのかから聞かれます。」

「恋愛しない理由ですか? 非正規職はこわがっていると言うのでしょうか。3年 前に合コンをしました。女に家はどこかと聞くと、ヤンジョン洞のあるアパー トに住んでいるというので『私が毎日そこに行く』と言いました。すると女が 感づいたのでしょう。私が自動車に通っていることを知ったのでしょう。すぐ に聞かれました。『正規職ですか?』瞬間そうしてはいけないけれど...恥ずか しかったです。堂々と下請だと言いたかったのですが、返事ができませんでし た。言葉が出てこなかったのです。その衝撃で私が変わりました。下請が私を こうしました。誰かと会うのが嫌いです。」

▲正規職になるために座込場入口階段を守る非正規職労働者たち

工場占拠20日目にの蔚山現代車第1工場座込場。ここでは非正規職という単語は 古い烙印だ。そして今は身分になった。その烙印が呼んだ熱望は正規職化とい う要求で熱く燃え上がった。寝袋もなく、12月からは入ってくる食事も一日に 一食に減った。断電時間もますます長くなっている。それでも座込場は非正規 職の身分という冷たい怒りと正規職化の熱望が呼ぶ熱い希望が妙に共存していた。 怒りと熱望という異質な感情の共存は、座り込み長期化になって社会的問題に まで高まっている。

工場内差別と蔑視は日常生活で身分になった

現代自動車座込場には短くて4年-5年、長ければ8年-12年間、非正規職として暮 してきた痛みがかたまっている。それでも座込場のほとんどは三十をやっと越 えたか、中盤の青年労働者だ。安定した雇用がない時代、彼らは早く下請労働 者になったからだ。そんな彼らがなぜ工場を占拠したのだろうか。

07年5月に入社した32歳のA組合員は、先日4年以上つきあった恋人と別れた。A 氏は正規職ならもう結婚をしていたはずだが、ガールフレンドの家が反対した。 彼は独身の社内下請労働者だった。A氏はハンサムで背も高かった。一緒に座り 込んでいる周辺の組合員たちは、彼を心も暖かくとても誠実な青年だといった。 そんな彼にとって『非正規職』は身分だった。彼は「とてもくやしくて、座り 込みに上がった時、そのままでは降りないと誓った」とし「必ず勝って、人間 扱いを受ける」と話した。

今回の現代車非正規職ストライキ闘争交渉委員として共に座り込んでいるパク・ ジョンギュ金属労組交渉局長は、「今、非正規職は身分になってしまった」と し「非正規職が工場の中だけで差別と蔑視、悲しみを受けるのではなく、工場 外の日常生活と生活全てで身分になったということが、今回の座り込みの過程 で如実にあらわれた」と説明した。朴局長は「ハンサムで、気持ちも暖かく、 誠実な青年が、非正規職だという理由で恋人と別れる現実が本当にみじめだ」 とし「資本が分けた正規職と非正規職という二つの階級がいかに恐ろしいかを よく見せる」と付け加えた。

98年のIMF経済危機は構造調整を強要し、資本は整理解雇と派遣法で非正規職を 量産し始めた。正規職がいなくなれば非正規職雇用で埋められ、本格的なその 後遺症は2002年以後にあらわれ始めた。2010年現在、30代前半から中盤の現代 車下請労働者たちは、2002年以後、20代の中盤か後半頃に現代車下請に入社し た。当時、彼らに正規職雇用は至難だった。IMF時代が呼んだ社会現象だった。 青年失業と雇用の二極化が社会問題になり始めた。現代車非正規職もこうした 社会問題の犠牲だった。

社会問題は具体的にA氏のように、青年男性労働者の生活にあらわれる。座込者 にインタビューをすると「ここは歳を取った未婚男性で溢れています」という 話をよく聞くことになる。下請労働者は恋愛も容易ではないが、恋愛をしても 結婚するのは、さらに難しいということだ。

時には結婚のために自分が下請だということを隠して恋愛することもあった。 だが恋愛はしても、結婚のために自分が下請だという事実を明らかにすれば、 その瞬間にアウトだ。34歳の非正規職労働者のB氏は叔母を通じて女性を紹介さ れたが、ついに下請とは言えなかった。結局、結婚には至らなかった。初めか ら下請業者に通っていると明らかにしてつきあっても同じだ。男性労働者は、 結婚を望んでも結婚の話が出るとこわれた。座り込みに参加した40代半ばのあ る労働者は、こうした現象を「ここでは20代後半から30代初めの連中は、結婚 を諦めて暮している奴等が多い。うまくつきあっていても、結婚の話が出ると、 ほとんどがこわれるのを何度も見た。座込者の半分程は一人で暮らしていると 思っても良い」と伝えた。

▲座り込み18日目の2日の夜、やっと飯が入り、食べようとした瞬間に会社が電気を切った。毎日のりまきやカップラーメン一つ程度だが、この日はご飯とキムチが提供された。座込者がぐるっと丸くなって座り、スチロールの上にご飯とキムチを乗せ、懐中電灯の明りで飯を食べる。

ガールフレンドのお母さん、自動車下請だと言うと表情が変わった

04年11月に入社したC氏。彼は20代後半だ。彼はまだ三十になっていないが、非 正規職という烙印で受けた傷があった。彼はみんなから『どんな仕事をしてい るのか』と聞かれれば『自動車に通ってます』と答える。すると十中八九は、 正規職か下請かと聞かれる。「正規職かと聞かれなければ、ただ自動車に通う ことになります。最初から下請だとは答えませんよ。誰かの前で卑屈になりた くなかったといいましょうか。ガールフレンドのお母さんにも最初、直営か と聞かれて、下請だと言ったら表情が変わりました。」

現代車下請で6年間働いたD氏(31歳)も似たような経験をした。彼は恋愛や結婚 をするつもりはない。非正規職として暮して臆病になったからだ。「非正規職 は臆病になるといわなければならないでしょうか。3年前に合コンをしました。 女にどこに住んでいるのかと聞くと、ヤンジョン洞のアパートに住んでいると いうので『私が毎日そこに行く』と言いました。すると女が感づいたのでしょ う。私が自動車に通っていることを知ったのでしょう。すぐに聞かれました。 『正規職ですか?』瞬間そうしてはいけないけれど...恥ずかしかったです。堂々 と下請だと言いたかったのですが、返事ができませんでした。言葉が出てこな かったのです」。

彼にはこの合コンが人生の大きな傷になった。女の意図的な質問に言葉を避け、 一時間後に別れた。翌日、彼は予備軍訓練中に紹介された人から返事の電話を 受けた。「あの時から女と付き合う気がなくなりました。恋愛ですか?人に自分 への不足感が生まれてから、誰かを好きになっても言い出せなくなりました。 自信も持てず、あの人が私のような人間を好きになるだろうか、そんなことを 考えます。その衝撃で私は変わりました。この事が人をこうしました。」

結婚をしても問題、「若い子供たちに暮す機会を与えろ」

下請の境遇は、結婚しても問題だ。その次は子を産むかどうかで悩まなければ ならない。2002年、29歳で入社したE氏。彼は長い恋愛の末、早く結婚した。し かし彼にはまだ子供がない。「一度流産しましたが、その後は夜昼交代で働い たりするので恐かったのです。初めはとても子どもが欲しかったんです。でも 生活も苦しいですが、ここに通ってさらに不安が高まりました。毎年、雇用が 一番不安で、それが安定すれば産みたいのですが、まだ分かりません。」

今年46歳のF氏は娘が二人いる。彼は下請8年目だが、常にマイナス通帳で暮す。 普段は1200万ウォンのマイナスだ。彼は残業と特別勤務は欠かせない。その上、 特別勤務の席が空けば、ほとんど休まず特別勤務をした。「年末の成果給でも 出れば、何とかマイナス通帳を埋められます。子供二人を育てながら、今の状 態で一生暮らせば、マイナス通帳の境遇から抜け出すのは難しそうです」。そ のようにして働くので、子供たちの教育費のために金を稼いでも、体調が悪く て苦しく、子供たちとは遊ぶこともできない。

座込場で一番年上のグループに属するG氏は、「ここには非正規職がお見合いや 合コンをすれば、一番最初に聞かれるのが正規職か非正規職かだ」とし「週末 も特別勤務で家で眠りたいのに、誰が遊び歩いて恋愛をするか。あいつらには 恋愛も難しい」と残念がった。G氏は「ここでは20代後半から30代初めになると 深刻に離職を考える」とし「自動車の正規職か下請かという言葉をとてもよく 聞くので、いっそ中小企業の正規職に行くという。もう若い連中に暮す機会を 与えなければならない」と話した。(蔚山=メディア忠清、蔚山労働ニュース、 チャムセサン合同取材チーム)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-12-05 17:27:37 / Last modified on 2010-12-05 17:27:39 Copyright: Default

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