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「新種偽装廃業ヴァレオ、私たちは最後まで行ってみます」

[インタビュー]イ・テクホ ヴァレオ空調コリア支会長

ユン・ジヨン記者 2010.11.06 23:19

フランス大使館の前。冷たくなった風に耐えて、11日間アスファルトの上で暮 す人々がいる。床にスポンジ数枚を敷いているが夜には全身に寒さが押し寄せ る。野宿座り込みだが、座込み場に絶対必要なテントもない。大使館の前なの で1人デモしか認められず、テントも張れずに単独で座っていなければならない。

[出処:キム・ヨンウク記者]

ヴァレオ空調コリア支会は闘争1年の10月27日から、フランス大使館前での野宿 座り込みに突入した。6年間闘ってきたキリュン電子、1500日座り込みを続けて いる才能教育、150日間現代起亜車前で座り込みをしたドンヒオートなどの長期 座込み場が増えているので1年の闘争、または10日間の座り込みは注目されない かもしれない。だが2009年、ヴァレオの労働者が路上に座った時から、彼らの 人生は他の解雇労働者と同じ切迫感に苦しんだ。冬に入り、夜中の冷たい風に 吹かれるのも同じように苦痛だ。

大使館前の座込み場に行くと、赤い毛布一枚がぽつんと置かれている。単独で 席を守っているイ・テクホ支会長に『寒くないか』と聞くと「もう寒さも鍛練 しなくてはね」と笑う。日本とフランス遠征闘争、そして全国徒歩闘争を終え、 フランス大使館前に座ったイ・テクホ支会長。彼に支会が行っている超国籍資 本との闘争の話を聞いた。

▲フランス大使館前で野宿座り込みをしているヴァレオ労働者[出処:キム・ヨンウク記者]

ヴァレオの欺瞞、韓国は労働者弾圧の聖地?

フランスのヴァレオ資本と闘って1年。実は、解雇闘争は1年目だが、ヴァレオ との闘いを始めてからもう5年目になったという。2005年、フランスのヴァレオ 資本が忠南道天安のヴァレオ空調コリアを買収してから、本格的な労組弾圧が 始まった。

結局2009年に人的構造調整を実施して、結局労働者全員解雇を決めた。工場廃 業による解雇だった。だがヴァレオ資本は、ヴァレオ空調コリアを買収した後、 数年間黒字を記録していた。廃業の過程も労働者の意見を反映しない一方的な 廃業だった。そのため会社と労組は2005年前後に、雰囲気が反転を経験するよ うになった。超国籍資本に対抗する労組の闘争が始まったのだ。

▲イ・テクホ ヴァレオ空調コリア支会長[出処:キム・ヨンウク記者]

「われわれの労組は1990年2月1日に発足しました。忠南地域で初の民主労組で した。全労協から始め、民主労総発足、産別労組発足も共に見ました。それで 何よりも組合員は労組への愛情は格別です。

当然、使用者側は労組を飼い慣らす試みもあり、草創期に労組を作った時、対 立もあったし、争点事案に関する闘争や政治ストも一年に二回ほどありました が、使用者側は労組をパートナーと認める雰囲気でした。使用者側と労組各々 1年に2回、労組の運動会と2日間のピクニックがありました。だから事務職との 関係はあまり悪くなく、時々酒も飲みました。

労組は労組独自の共同体文化があり、組合員事務室前に集まって体操もして、 争議の時のテント闘争でも2-3か月組合員が一緒にずっと闘争したりしました。 われわれの事業場はめずらしく100%正規職事業場だったんです。勤続年数が15 年ぐらいです。安定的でもあり、組合員の中に粘り強い文化があって、一度入 れば上手く行かないんです。」

だがヴァレオ資本が工場を買収し始めてから、会社をはじめ労組の雰囲気もお かしくなった。これまでの戦いが労働者としての権利保障を受けるための闘い だとすれば、ヴァレオとの戦いは『労働者』という存在を守る戦いだった。

「ヴァレオは入ってくるとすぐ人員調整、非正規職化を実施すると発表し、費 用削減をすると言って福祉費用を節減しました。その上、一方的に会食費まで 切り、団体協約も中断させました。彼らは絶対に私たちをパートナーと認めま せん。その上、彼らは入ってくるとすぐ事務職員の喉首も捉えました。

ヴァレオ資本の憲章を見ると、民主労総の綱領にも引けをとらない内容です。 少数者の人権をはじめ、協力会社の労働者の労働権にまで言及しているのです。 それでも彼らは労働者を弾圧して無視しています。もちろん自国では労働者に どんな待遇をしているのか知りませんが、少なくとも韓国では労働者を無視し ています。肌が白くないからですか?

彼らは入るとすぐ、会社の運動場を20億で売りました。不用資産だというんで す。その上、労働者の寄宿舎も問題にしました。事務室のコンピュータからコ ピー機、家具まで全てレンタルで、彼らは単にハンコを持ち歩いて書類に印鑑 を押すばかりだったんです。

向うの国では労働権を尊重して、団体協約の合意内容を誠実に守ることを重要 だと思うかも知れません。ところが韓国ではありません。大統領から外資誘致 すると言いますが、彼らに強制するつもりは全くありません。」

『地域事業運動』から『フランス遠征闘争』まで

1年前、イ・テクホ支会長の家にバイク便配達員が書類一通を配達した。当時、 小学校3年だった息子はその書類にサインをした。息子がサインをしたその書類 は、他でもないお父さんの解雇通知書だった。

ヴァレオ資本は1年前、一方的に工場を廃業した後、労働者に携帯メールとバイ ク便で解雇を通知した。工場廃業の理由も労働者に説明できないヴァレオ資本 は、別名『食い逃げ』の事例に選ばれた。彼らは2005年に工場を買収した後、 『プレンティ支給手数料』という名目で月売上額3.9%を送金してきた。

一日で路上に追い出された140余人の組合員は、超国籍資本との闘争を始めた。 自国の企業に対する闘争ではないだけに、その内容と方式は難かしかった。イ・ テクホ支会長は今までの強い闘争を続けられた原因の一つに『地域連帯事業』 を選んだ。

▲イ・テクホ支会長[出処:キム・ヨンウク記者]

「産別労組や現場組織の活動の代案が地域運動だというのは今では誰でも知っ ている事実です。実践できないのです。しかし私はいつも労働運動が地域と連 帯しなければ、孤立するしかないと考えます。

われわれの支会は継続的に地域的事業と連帯してきました。組織内で市民社会 団体と、政党と対話をして、色々なイベントを開いたりしました。それでわれ われの事業場では政治部が地域連帯に関する専門担当部処を稼動させたりもし ました。そうしなければ企業を越える産別労組の根幹である地域運動ができな いからです。

今の地域対策委には、地域の民主労働党、進歩新党、社会党、民主党の政党と 父兄団体、女性団体、農民会など200ほどの団体が参加しています。一昨日も座 込み場に対策委が立ち寄っくれましたが、地域がまとまっていればとても力に なります。

彼らが立ち上がって地方政府団体長の抗議書簡をフランスのヴァレオ本社に渡 したり、臨時国会で対政府質問を通じ、ヴァレオ資本を糾弾したりもしました。 われわれの支会が今、地域の世論を先行獲得していますが、これも地域連帯事 業が踏み台になりました。地域の新聞をはじめ、世論は私たちの闘争を支持し ています。」

現在、ヴァレオ支会は地域連帯事業とフランス遠征闘争、そしてフランス政府 を圧迫する闘争などさまざまな方式で闘争を展開している。特にフランス遠征 闘争は、超国籍資本に対する国際連帯闘争に発展し、大きな関心をひいている。 支会はもう4回目の遠征闘争に出かけた。

「フランス遠征闘争で成果が現れたか、という質問をよく受けます。そんな質 問を受けるたびに、とてもはがゆいです。成果がありますか? われわれはそん な短時間にヴァレオが白旗を揚げるとは思っていません。だから今、私たちの 遠征闘争は、目に見える成果をあげる闘争というより、国際的拠点を作る闘争 です。

私たちがフランス遠征闘争で得た価値は、国際連帯運動の希望を見たことで、 また韓国の労働運動について各国の労働運動勢力が注目しているということを 知ったことです。また組合員も現場で各国の労働運動を肌で感じ、とても視野 が広がりました。

遠征闘争をしていると、フランスの労働者は韓国の労働運動を学ぼうと話てい ました。韓国の民主労総と金属労組も、フランスや日本が注目しています。メ ディア忠清から出た双竜車77日間の闘争の本を彼らに与えたりもしたのに、 とても驚いていました。

よく連帯行動もしました。学生団体や労働運動団体のセミナーにも参加して、 同じように討論をしたりもしました。ヴァレオ労使協議会でも韓国のヴァレオ 正常化を問題視した、各事業場別に合意署名を集めてヴァレオグループに伝え るたりもしました。ルノー自動車も積極的に連帯し、懇談会を開いたり、一緒 に集会をしたりもしました。本当に労働者の国際連帯の可能性を見ました。

ヴァレオ工場が正常化すれば、ぜひアジア・ヴァレオ評議会を作りたいです。 そしてヨーロッパ評議会と共に活動したい。超国籍資本に対抗する戦いはこう して連帯を通じ、力をつけなければできません。」

「組合員たちと私は最後まで行きます」

ヴァレオ資本による180余人の解雇。彼らのうち支会に所属する組合員だけでも 140余人になる。だが闘争1年がたち、組合員数は79人に減った。もちろん異例 なことに多くの人員が組合を離れずにいるが、1人の組合員が離れるたびに支会 長をはじめ組合員たちは心を痛めた。

残る79人の組合員は今日も工場占拠、1人デモ、集会、出勤闘争、連帯闘争、徒 歩闘争、野宿座り込み闘争などを続けている。

「組合員はとてもやさしいんです。何も特に声が大きな人もいないし、同じも の同士、互いのためです。私も何も突出しているものはありませんが組合員た ちのおかげでここまで支会長をしてきました。その中心には労組に対する組合 員の愛情がありました。

本来、昨年9月30日に私の任期が終わるはずでした。ところが昨年9月の臨時総 会でこの戦いが終るまで、私が支会長をすることに決定しました。組合員のお かげで、これから私と組合員たちは最後まで行きます。

そして組合員たちはよく全国闘争事業場にも行きました。組合教育や懇談会に もたくさん参加しましたし。そのおかげで組合員たちは本当に情勢判断が上手 です。昨年の双龍車の時も、実は私たちの事業場も苦しいので、連帯にずいぶ ん悩みましたよ。それでもやるべきだと促して、また、そう決定すれば現場の 組合員たちはみんな参加します。本当に組合員たちは、決意した内容は何でも やります。

もちろん、現場から離れる組合員を見るのは一番つらいです。20年共に働いた 仲間たちです... しかし離れた仲間たちは何よりも生計が苦しく、または家庭 でのトラブルで離れるのです。1年ずっと闘争してばかりなので、生計を解決す る方法がないんです。それで組合員も苦しいんだと理解します。離れた組合員 たちも、労組から出れば、それでもあの時が一番幸せだったと思い出すでしょ う。この闘争が終われば、私たちみんなで組合活動した仲間を全員集めて、一 緒に焼酎でも飲みたいです。」

闘争が1年以上長引いているが、ヴァレオ支会はまだ希望的な勝利を夢見ている。 イ・テクホ支会長は「この戦いで必ず会社を正常化させる」という自信を示し た。支会長だけでなく、闘争を続ける組合員も闘志満々だ。これは支会長をは じめとする組合員たちが労働者として暮す方式だ。

▲フランス大使館の前で野宿座り込みをしているヴァレオ空調コリアの労働者たち[出処:キム・ヨンウク記者]

「資本の攻撃に対して当然労働者が戦わなければならないというのがこの戦い の意味ではないでしょうか。本来労働者は資本に対抗し、抵抗し、戦う主体で す。だからわれわれは投機資本を告発して、現場闘争を続ける努力を止めません。

ヴァレオ資本は明らかに新種の偽装廃業です。今でも韓国で相変らず完成車に 自動車用エアコンの営業と販売を続けています。今までの『食い逃げ』とは明 らかに違う『新種擬装廃業』です。何よりもこの真相糾明をしなければならな いでしょう。

地域連帯運動からフランス遠征闘争、そして今、フランス大使館まできました。 今やっている座り込み闘争は、韓国政府とフランス政府が直接ヴァレオとの交 渉をしろという要求が含まれています。また偽装廃業を真相究明し、ヴァレオ によるフランスへの反感の形成を解決しろとも話しています。

特にG20を控えてフランスと韓国政府を圧迫する闘争をします。11月9日、韓国 での集中闘争に合わせて、フランス遠征闘争団も集会を計画しています。本当 に工場が正常化するまで、私たちはやり抜くつもりです」

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-11-07 04:01:12 / Last modified on 2010-11-07 04:25:25 Copyright: Default

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