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現代起亜車で不法派遣実態証拠操作の疑惑

ラインに仕切り、作業標準書の元請マークを消す

キム・ヨンウク記者 2010.10.29 11:26

現代起亜車が雇用労働部の社内下請け実態調査に合わせ、不法派遣の一部証拠 を消すなど隠蔽操作をしていた疑惑が持ち上がった。チャムセサンが現代・起 亜車の各工場の正規職・社内下請労組関係者などから入手した資料と証言によ れば、現代・起亜車は作業標準書や仕様書の元請マークや元請管理者の決済サ イン欄をなくし、下請け業者のマークや下請け業者の管理者の決済サインに変 えたことが明らかになった。その上、起亜車ソハ工場ではラインで非正規職と 正規職が分離されていたかのように一部の工程にビニールの仕切りを設置して、 不法派遣の証拠を隠す作業をしていた。

▲起亜車の3工場のうち実態調査の対象になった光明ソハリ工場は、9月の秋夕前にPDI工程(完成車最終出庫直前検査ライン)に青いラインを描いて透明の仕切りを作り、正規職と非正規職が分離して働いているようにした。写真左は簡易仕切り工事前、右は工事後.

特に、取材の過程で会った労組関係者は、雇用労働部の実態調査が会社に免罪 符をあたえる実態調査になる可能性が高いと見て、全く信頼を示さなかった。 当初、労働部が実態調査の質問用紙と方法を設計するにあたり、労働界の意見 をほとんど排除して事実上、免罪符をあたえる方式で行なおうとしたていとい う指摘が多かった。こうした状態で、労働部が使用者の協力を受け、労組に隠 れて実態調査を強行したところもあった。

これに伴い、7月22日の大法院の現代自動車不法派遣判決以後に雇用労働部が実 施している社内下請け実態点検結果の信頼性はさらに揺らぎそうだ。

起亜車ソハ工場、非正規職と正規職間の透明の仕切りで欺く

起亜車の3工場のうち、実態調査対象になった光明のソハリ工場は、9月の秋夕 前にPDI工程(完成車最終出庫直前検査ライン)に青いラインを描き、透明の仕切 りを作って正規職と非正規職が分離して働いているようにした。金属労組起亜 車支部ソハ分会のある代議員は、「2005年の不法派遣調査の時も黄色いライン を描いて正規職と非正規職が別に働いているように見せていたが、今回はその ラインを青で、そして簡易透明仕切りを張った」と伝えた。彼は「現代車で大 法院不法派遣の判決が爆発し、この区域は元請と社内下請業者を分離している という表示をしたようだ」と説明した。

▲起亜車作業標準書。右側の標準書の下の部分に起亜車マークがある。最近の標準書(左)は業者の名前になっている。

起亜車ソハ工場は、仕切りの他にも現代起亜車のほとんど工場で行なわれてい る作業標準書のマークを変えたり、決済者を変えるケースもあった。この代議 員によれば「不法派遣の証拠になるようなものは相当変わった。本来、元請の 起亜車のマークがある作業標準書や、施設など元請が管理していたことをすべ て協力業者の名前に変えた。その上、建物にも管理者確認欄のチェックが協力 業者の名前に変わった」と証言した。

雇用労働部安養支庁の担当勤労監督官は、このように工場内部が変わった状態 で、労組が臨時代議員大会で忙しい間に会社側の案内により実態調査をしたと いう。

起亜車支部のある執行幹部によれば、「労働部が実態調査のためにソハ分会に 会議を提案したが、金属労組の指針が実態調査の拒否で会う意思はないと伝え た。それでも臨時代議員大会で支部がごたごたしている隙に10月4日、会社側と 共に現場を回り、ラインに入った」とし「当時、現場の代議員も全く知らなかっ たが、実態調査が終わる頃の夕方に現場組合員が代議員に連絡して、実態調査 に来たことを知った」と話した。起亜車労組の反発で雇用労働部は翌日から工 場内部の実態調査はしていないという。

この幹部は「労働部がひそかに実態調査をしたことも問題だが、会社が実態調 査で問題になりそうな部分を事前に遮断して、あらかじめ操作したのはさらに 深刻な問題だ。正確な実態調査のために現場の保存が必要だ」と強調した。

起亜車支部は、社側の不法派遣の証拠操作隠蔽をめぐり10月6日、実態調査と不 法派遣工程を縮小隠蔽する試みを中断することを要求する文書をキム・ソンナ ク支部長の名義で送った。

起亜車支部はこの文書で「7月22日、大法院での現代車不法派遣確定判決後に、 使用者側の不法派遣工程に対する縮小隠蔽および証拠操作行為は、使用者側自 身が不法派遣を認める行為であることを知るべきだ」とし「不法派遣工程の縮 小隠蔽と操作行為を即刻中断しろ」と要求した。また、「実態調査で鋭く対立 しているのに、支部の臨時代議員大会が行われる合間に、通知もせず労働部と 使用者側が一方的に実態調査を共に試みたことで現場を怒らせ、労使関係に悪 影響を与えるのではないかと憂慮する」とし「労働組合と議論せず一方的に行う 労働部の実態調査を即刻中止しろ」と要求した。

現代車3工場もマーク、決済者確認変える

このように不法派遣の証拠を消す作業は、現代車でも同じように進められた。 現代車蔚山工場社内下請支会のある関係者は、「作業標準書マークはそのまま だが、基本的に確認欄を業者名義にした。以前は正規職課長や組班長がサイン したが、最近は業者がサインする。また各社内下請業者で各種書類を焼却して シュレッダーにかけた。茶番だ」と実態を伝えた。

蔚山工場は、長い間正規職と非正規職が混在して作業をしており、正規職と非 正規職が交代で作業をした。しかし不法派遣判決後には正規職と非正規職が作 業中に話もできないようにしているという。蔚山工場は起亜車のように簡易仕 切り設置のような露骨な方式は難しいという。現代車では正規職と非正規職が 完全に混在しているので、仕切りを打てる状況ではないということだ。

この関係者は「使用者側がこうした方法を使っても証拠資料はなくならない。 いくら目隠をして良く見えなくしても、現場で働く姿そのものが典型的な不法 派遣だ。そんな不法派遣の姿は変わらない。現代車はこうした隠蔽をやめて社 内下請支会と交渉し、不法派遣問題をどう解決するのかを考えろ」と要求した。

蔚山工場も労働部の現場調査を阻止した。支会によれば、労働部の監督官が会 社に常駐していたが、現場に入ることは防いだ。支会の関係者は「労働部独自 の調査は認められない。私たちの提案を拒否し、労働部のマニュアルに合わせ て行い、独自に発表しても信用できない」と強い不信を表わした。

雇用労働部蔚山支庁の関係者もこうした信頼性の問題に憂慮を示している。こ の関係者は「すでに労組で証拠操作について異議を申し出ている状態だが、労 組が防いでいるので現場の実態が分からない」「労組と何度も会って、労組と の信頼関係の中で現場に入らなければ互いに衝突が起きるかもしれない。労組 と協議した後に現場に入る」と話した。彼は証拠操作疑惑には「まだ現場を見 ておらず、何も話せる段階ではない」と言葉を慎んだ。

▲左は現代車全州工場の変更前の作業指示書、右は変更後の作業仕様書。9月初めに下段の形が変わった。

現代車全州工場や牙山工場も、蔚山工場と同じように決済確認者を変え、現代 車のマークを消した。

現代車全州工場の社内下請支会関係者は「各自、自分の作業工程のために頭の 上につけられた各工程の作業指示書や仕様書、標準作業書には現代車のマーク があったが下請け業者の名前に変わった。管理者確認欄のチェックも元は正規 職班長や助長、課長だったが、まったくなくなったり下請け業者の管理者名に 変わった」と実態を伝えた。

全州工場も蔚山工場のように作業時の正規職と非正規職の関係も分離した。こ の関係者は「下請け業者人員が多いところは正規職班長の調整で会食やティー タイムも前は一緒に参加して話したが、今では正規職の組班長が非正規職を排 除しろといっている。それまでは作業中もトイレが急なら互いに業務を手伝っ たが、今は絶対に非正規職を手伝うなという教育を受けた」と明らかにした。

現代車牙山工場も似ている。牙山工場社内下請支会のある関係者は「05年の不 法派遣調査の時は、作業標準書のサインを下請け業者管理者のサインに変えた が、今回は現代車マークを消して業者の名前を入れた」と伝えた。

雇用労働部雇用平等政策官室の関係者はこうした証拠操作行為が実態調査に及 ぼす影響について、「機械のラベルを変えても、それで認めることはできない。 本当に下請けの装備なのかを判断する。一番重要なことは現場での作業の実態 を把握すること」と述べた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


不法派遣の証拠操作、Eメール押収だけでも続々

「雇用労働部、04年の不法派遣判定後に行政指導をせず信頼できない」

キム・ヨンウク記者 2010.10.29 11:23

現代起亜車で発生した不法派遣の証拠隠蔽操作の疑いをめぐり、2004年に労働 部が不法派遣の事実を確認しても数年間不法を放置し、常に隠蔽操作を試みて いた可能性が高いという労働界からの指摘が多い。不法を行っても特に制裁が ないことを元請も知っているということだ。実際、一部に隠蔽操作があっても 雇用労働部と捜査機関がその気になれば、いつでも隠蔽操作の試みを明らかに できるのに元請が隠蔽操作をするのは労働部にその気がないからだと強調した。

全国非正規労組連帯会議のオ・ミンギュ政策委員は、「現代自動車の協力支援 チーム関係者や下請け業者の社長のEメールを押収捜索しただけで広範囲な証拠 操作行為の資料を確認できるはず」とし「すでに05年にも何かの資料を持って きて、Eメールや社内のイントラネットで広範囲にやりとりしていた証拠資料が 出てきた。関係当局が捜査する意志さえあれば捜し出せる」と指摘した。

これほど雇用労働部への不信が広がっているのは、2004年にあった雇用労働部 の不法判定後の対応のためだ。すでに雇用労働部は2004年に現代自動車の3つの 工場を不法派遣と判断していた。だが雇用労働部が不法に対して行政指導を全 くせず、警察に告発しただけで終わらせたということだ。

▲秋夕前に設置したという起亜車ソハ工場の正規職非正規職区分仕切り

民主労総法律院のクォン・ドゥソプ弁護士は「04年の不法派遣判定の時に検察 が起訴しなかったのはともかく、その後も生産ラインに下請け労働者を投入し 続けていたことを労働部も皆知っていた。不法派遣と判定しても容認していた」 と非難した。

今回の29の事業場の実態調査について、民主労総が現場実態調査を阻止するこ とにしたのも、雇用労働部が招いたという指摘も多い。雇用労働部の関係者は とにかく現場を見なければ不法かどうか判断できないと訴えたが、労働界は本 気ではないと見ている。今でも各現場では、不法派遣問題をめぐって社内下請 労組に対する不当労働行為が広く行われているのに、労働部が放置しているた め全く本気とは思えないということだ。

クォン・ドゥソプ弁護士は「労働部が初めて民主労総に見せた実態調査質問書 は、2004年のままだった。質問紙に答えれば明らかに請負だという結論になる ような答を要求した。それを見て労働部が最高裁判決の影響を考え、免罪符を 与えようとしているのではないかという疑いを拭えない」非難した。労働部の 質問紙や調査方法が最高裁の判決の趣旨を反映していないというのだ。権弁護 士は、「『昔は不法派遣と判定されたが今ではそうでない』とか『一部は少し 問題があった』というような結果を出すのではないか」と疑問を表わした。

オ・ミンギュ政策委員も、労働部は全く本気ではないので労働組合が実態調査 を拒否していると指摘した。オ・ミンギュ委員は「労働部が見せかけではない 実態調査だという信頼を与えるには、現代車での各種の不当支配介入をまず指 導しろ」と要求した。オ委員は「現代車牙山工場は不法不当な介入事例の録音 ファイルが公開されたが、これについての措置は全くなかった。いつも下請け 労組の集会を妨害する不法を行っている元請管理者に不当労働行為の指導を一 切しない。とても本気だと思えない」と反問した。

雇用労働部雇用平等政策官室の関係者は「限られた人材で全数調査は不可能だ。 すでに実態調査は04-06年の2年間行った。まず大きいところから見ようという ことだ。地方の官署から各種の指導点検に行き、人材が足りない」とし「07年 に作った派遣請負判断基準と今回最高裁が判決した判断の要旨を入れて点検し、 民主労総の意見も一部反映した」と強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-10-30 07:37:17 / Last modified on 2010-10-30 07:38:47 Copyright: Default

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