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[論説]非正規職60%、その非正規職の70%が女性

『非正規職保護法』を『非正規職権利法』に

コジョン・ガビ(論説委員)/ 2007年08月06日9時16分

『保護』という言葉はかなり怪しい言葉だ。女の夜道は危険だからボーイフレ ンドが『保護』するために家に送ってやる。女の夜道は距離が違うと思うから だ。だから男たちが保護しなければと考えたり、その道を通ることを禁じたり もする。ところが保護するのも男、威嚇するのも男だ。一方では保護し、他方 では威嚇する。この二つの共通点は、二つとも力を持っているということだ。 このように、保護する力は威嚇する力と分離できない関係にある。

保護という言葉が個人の領域ではなく社会的な領域で使われると、さらに複雑 な様相を帯び、怪しくなる。国家は法の名で国民を保護するという。特に、法 に『保護』という言葉が増えるとさらに怪しくなる。非正規職保護法がまさに その例だ。2007年7月1日に実施されたこの『保護』法によって、多くの人々が 解雇や外注化された。一部の大企業は非正規職を正規職化した。しかしほとん どは解雇や外注化という名で非正規職労働者を追い出した。

保護するという時、保護する対象と、保護する主体と、保護すべき事案がある。 非正規職保護法は、韓国の社会において非正規職が保護されていないというこ とが前提だ。実際、韓国の社会では非正規職は保護されていなかったし、保護 法ができた今も保護されていない。非正規職保護法の施行前から社会のあちこ ちで非正規職が解雇されたり外注化された。労働界の反対にもかかわらず、解 雇や外注に転換される非正規職の『涙をぬぐって』やろうという法案が通過し た。使用者の勝手な解雇や外注転換から非正規職労働者を保護する主体は政府 であり、政府の法律だ。したがって政府と法律は、文字通り非正規職を保護し なければならない。

ところがイーランドのホームエバー-ニューコア事態はどうか? 非正規職保護 法施行前に、イーランドは約800人を解雇、外注化した。ニューコア、ホーム エバーは、1週間未満の超短期契約、勤労契約期間の改竄、契約職労働者大量 解雇、レジ係業務の外注化など、非正規職労働者弾圧の象徴的な『ショッピン グセンター』になった。法律と政府は、こうして弾圧される非正規職労働者を 『保護法』により、文字通り保護する段階になった。

しかし政府と法律は何をしたのか? 政府は警察という公権力を動員した。婦人 警官を第一線に立たせるち密さまで見せ、公権力を動員した。江南ニューコア の2次占拠座り込みでは、197人を解散させるために4600人もの警察を動員した。 ホームエバー上岩店の1次占拠座り込みも警察が強制解散させた。非正規職を 保護すると言って法律を作った主体である政府は、自分たちが保護するという 非正規職に公権力を使った。そして、法律は使用者からのさまざまな告訴告発 と仮処分、損賠請求、仮差押さえ、そして連行と収監を進行する。

使用者と非正規職労働者の戦いは非対称的で不公平な戦いだ。使用者が契約を 延長しなければ何も言えず、業務を外注に出し、これまでの月給の60%しか受 け取れなくなっても、何もできないのが非正規職労働者の状況だ。この戦いで 力を持つ政府と法律は、誰の肩を持つのか? 使用者の肩を持つ。法律を悪用す る使用者側に立っている。政府と法律が使用者の肩を持つ限り、数え切れない ほどの第2、第3のイーランドが続出するだろう。いやすでにかなり以前から、 非正規職問題は深刻な状態に達している。そして現在もイーランドばかりでな く、さまざまな場所で非正規職の闘争が行なわれている。KTX女性乗務員の闘 争は500日を越え、あちこちで警備、清掃の仕事に従事する非正規職が闘争し ている。

非正規職を保護できない保護の主体である政府と法は、諸刃の剣を持っている。 保護という名と、処罰という名の諸刃の剣を持っている。そして、この保護と 処罰の主体である政府と法は、非正規職の中でも女性を継続的に社会的『弱者』 に追いやっている。なぜなら60%が非正規職で、その非正規職の70%が女性だか らだ。KTX女性乗務員労組とイーランド女性労働者が今日、非正規職闘争の最 前線にいるのは偶然ではない。そして蔚山科学大清掃美化女性労働者を始め、 さまざまな場所の清掃美化労働者が非正規職闘争の先頭に立っているのも偶然 ではない。非正規職を拡散させる資本は、初めから家父長的であったし、今も 家父長的だからだ。

『保護』の名で政府や法律が非正規職保護法を作るのではなく、この土地の労 働者、中でも非正規職女性労働者が労働者としての権利を主張できる『非正規 職権利法』に名前を変え、解雇ではなく労働権を保障し、非正規職を正規職に しなければならない。政府と法律は、保護の名で非正規職労働者を弱者にし、 力を持つ使用者側に立つのではなく、さらに徹底して労働者の権利のために法 律を改正し、整備する必要がある。そして法改正の前にKTX女性乗務員とイー ランドの『鉄道公社直接雇用』と『解雇撤回と完全雇用』という彼女たちの要 求を貫徹できるように支援しなければならない。この要求が貫徹されるという ことは、60%の非正規職と、そのうち70%の女性労働者が不公平な戦いに勝つ可 能性があることを象徴する。不公平な構造に対する戦いを挑んだ女性非正規職 労働者の労働権闘争は、まさに保護が威嚇でもある家父長的な社会に、権利を もって堂々と対抗する戦いでもある。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-08-10 23:16:10 / Last modified on 2007-08-10 23:16:16 Copyright: Default

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