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編集2002.02.27(水)20:44

何のための民営化なのか/チョンソック

結局、いつものように今回のストライキもそのようにして終わった。国民の 不便呼び掛けが新聞紙面を埋め、政府は輸出支障額などストライキ被害状況 を見せる数値を細かく吐き出した。そして労使交渉代表は徹夜の交渉を繰り 返した末に不明瞭な合意文を出し、「ひとまず」この事態に結末をつけた。

今回のストライキで鉄道労働者たちは、三組二交替制を勝ち取るといった成 果も少なくなかった。だが、ストライキにまで至った公企業民営化問題は、 相変らず残されている。「鉄道産業の公共的発展に共同で努力する」という が、どんな方法でこれを解いていくかは、今後も多くの討論と国民的共感が 必要な部分だ。

公企業民営化の論議は、韓国社会をどんな構造に作っていくかに対する哲学 の問題だ。社会を市場原理が完壁に適用される私的独占体制にするのか、さ もなくば互いの欠陥を互いに補完する公的な領域をひろげる社会を作るかが 公企業民営化論議の本質といえる。市場原理が優先される社会は、効率を第 一とする。したがってあらゆる非効率的なものは、悪として退治されるべき 対象と見なされる。外国為替危機以後、非効率の代表的な領域と指定された 公企業も例外ではない。

もちろん、少なくない公企業が、非専門的な経営体制など、さまざまな要因 で放漫に運用されてきたのは事実だ。そのせいで赤字が山積され、それを国 民の税金で埋めている。鉄道部門だけでも毎年4千〜5千億ウォンの営業赤字 が出て、累積負債は数兆ウォンに達する。このような状況をそのままにして おくことはできまい。非効率を除去する大手術が当然求められる。問題は、 今進められている方式の民営化が、完全な解決策になるのかどうかだ。

遡れば、特定の部門が公企業の形態で運用されてきたのは、そのだけの理由 があった。民間部門に任せるには規模があまりに大きく、国家が代わりにな る必要があったり、その企業の性格上、民間に任せるには不適切な場合など があった。浦項製鉄や韓国重工業などが前者の例に属し、これらの企業は最 近、民間領域が大きくなり、比較的自然に民営化作業が進められている。し かし、今回のストライキを行った鉄道や電力、ガスなど、実生活と直結した 部門は、いままでの公企業民営化とは本質的に違う。公共性が強いこれらの 部門が効率を優先視する民間企業に移行すると、公共性の毀損は不回避であ り、これは即ち社会的弱者への被害に直結するためだ。

それでも、これまでに進められてきた民営化の議論は、公共性の確保という よりは、非効率除去に焦点が合わされてきた。特に外国為替危機以後、いわ ゆる「IMFプログラム」を忠実に遂行している金大中政府は、公企業民営化 の原則にしがみついている。

しかし一度だけ、逆に考えてみよう。公企業を民営化すれば、非効率を完全 に除去できるのか。違う。むしろ赤字は続き、公共性だけが壊される憂慮が 高い。私たちより先に鉄道民営化作業を推進した英国と日本では、こうした 憂慮が現実のものとして表れている。これは、公企業の性格上、別の見方を すれば赤字は基本的に不回避だという点を傍証する。したがって、公企業の 非効率除去の議論は、公共性が強い公企業はどっちみち一定の赤字が不回避 だという点を認めるところから始めなければならない。公企業を民間企業に 渡しさえすれば、効率性と公共性を同時に充足させることができるという考 えは錯覚だ。

人間が排除されたまま、効率という名の下に進められている民営化議論をひ とまず中断し、公共性を保障する過程で不回避に派生する非効率を誰がどん な方式でいくら負担するのが良いのかについて、みんなで議論しなければな らない。もちろんその過程で、まず公企業の内部に蔓延している非効率を徹 底的に除去し、必要なら公共性を傷つけない範囲で一定の部門を民営化する こともできよう。公企業民営化を眺める「哲学」から変えるべき時だ。

チョンソック/経済部長twin86@hani.co.kr

http://www.hani.co.kr/section-001007000/2002/02/001007000200202272044007.html


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