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内戦に突き進むミャンマー、われわれは何をなすべきか

[INTERNATIONAL1]

ナ・ヒョンピル(国際民主連帯) 2021.05.10 08:11

2月1日に発生したミャンマー軍部のクーデターが3か月になる。 3か月間で800人近い市民が軍部に虐殺され、数千人が逮捕された。 市民に対する軍部の虐殺が続く状況だが、 国連をはじめとする国際社会は特別な解決策を出せずにいる。 そうした中で、ミャンマーは内戦状況に突入している。 韓国の市民社会はクーデター以後、支持活動を続けている。 韓国政府もミャンマーに対する異例の措置に着手したが、虐殺は続いている。 このような時点でミャンマー市民の抵抗に韓国社会がどのように支持を続けていけるかについての課題に注目されている。

ミャンマー韓国企業投資問題

クーデター後にミャンマーに投資する韓国企業への関心が集まった。 関心は大きくミャンマー軍部と協力している企業に対する協力中断の議論と 現地の韓国企業の被害問題だった。 ミャンマー軍部と協力する企業と指定された代表的な企業はポスコだ。 軍部が運営するMEHLと合弁で設立されたポスコ鋼板の生産法人に対し、 ポスコは4月16日にMEHLが保有する30%の株式を引き受ける方式で協力関係を切ると発表した。 これまでMEHLに配当をしていないとして消極的な態度を見せていたポスコが 株式の引受を決めた背景には韓国市民を含む国際社会の批判の世論がある。 しかし問題は、ポスコのガス開発事業だ。 ポスコインターナショナルが運営するこのガス開発事業に対しては、 以前 [1] にも扱ったが、 ポスコインターナショナルに莫大な利益をもたらす核心事業で、 ポスコが放棄するのは決して容易ではない。 しかし事業の利益だけでなく、中国とミャンマー軍部にも重要な戦略的・経済的利益をあたえる事業だという点で、 ミャンマーの状況が内戦に駆け上がっている今、 この事業が内戦の過程で目標になる確率が高い。 たとえそうではなくても国際制裁の核心対象になる可能性も高い。 何よりもポスコインターナショナルがミャンマーの軍部に軍艦を民間商船であるかのようにみせかける小細工まで動員して購買したという事実が暴露 [2] され、 ポスコとミャンマー軍部との癒着関係があらわれるとポスコのガス開発事業を擁護する論理らが力を失っている。 だが、いくらポスコと軍部の癒着関係があらわれたといっても、 ポスコがガス開発事業を放棄したり配当の支払いを延期するなどの措置をするところまで進むのは容易ではないだろう。 韓国政府も公企業のガス公社の株式を撤回すること以上の措置をするのは難しいと見られる。 根本的な理由は、民間企業の海外投資事業に対しては、 たとえ政府に意志があったとしても介入する法的根拠がないからだ。

現地の韓国企業の被害の問題も同じだ。 新韓銀行で働くミャンマーの女性労働者がミャンマー軍部が発射した銃弾を受けて結局死亡する事件が発生した。 現地の住民の証言によれば、新韓銀行はコロナとクーデター状況でも現地の職員に出勤を強要したという疑惑がある。 韓国企業で働くミャンマー現地の労働者の安全問題とともに、 ミャンマーに進出した韓国企業のほとんどを占める衣類縫製工場が運営をつづているのかどうかも調べるべき問題だ。 中国の衣類工場で何者かによる放火事件が発生し、新韓銀行職員が死亡し、 政府はミャンマー現地企業に「迅速な安全対応措置」を要求したが、 ミャンマー現地の労働者の安全問題の核心の雇用維持と身辺保障などの措置は企業に任されている。 これらの問題のため、政府は企業が国家による人権保護がきちんとなされていない国家(紛争地域および独裁国家)に投資する時に発生しかねない 人権侵害の危険の要素を事前に把握して、 これに対する対策を樹立することを義務化する制度を導入しなければならない。 また、対策を立てていない企業が人権侵害にかかわった時、 これを制裁する法律を至急導入しなければならない。 ここには当然、武器およびデモ鎮圧装備の輸出制裁方案も含まれなければならない。 また、ミャンマーのクーデター状況のように、 現地の労働者の安全が憂慮される場合には、 彼らを保護する義務を企業に賦課し、 企業がこれを実践できるように支援する法律も共に用意しなければならない。 ミャンマーの軍部クーデターのような問題が引続き発生しかねない状況で、 政府が異例のミャンマーに出した措置が一回だけの性質で終わってはならず、 企業の投資の部分まで含んで制度的に定着させなければならないためだ。

ミャンマー内戦状況での韓国社会の支持

国際社会の介入が遅れて虐殺が続き、 ミャンマーの市民は軍部の虐殺に対抗して市民軍を組織したり少数民族武装団体と連係して軍部に対抗している。 ミャンマー民主勢力は軍隊を保有する少数民族に広範囲な自治権を約束し、 彼らと「国民統合政府(National Unity Government、NUG)」を発足させた。 しかし、この政府が少数民族の武装団体と市民軍を包括した連邦軍隊まで創設できるのか、 またこれに成功したとしても50万ものミャンマー軍部に対抗して勝利できるのかがカギだ。 ミャンマー事態を扱う重要な分岐点であるアセアン特別首脳会議にクーデターの主役であるフライン総司令官が参加する事実からわかるように、 アセアンはせいぜい軍部クーデター以前の軍部-民間政府との権力分占をまた要求する線で仲裁するものと見られる。 しかし、軍部の大規模な民間人虐殺で激昂している市民がこれを受け入れるのは難しく、 これによって内戦状況は長期化するものと展望される。

ミャンマーの市民はNUGを各国の政府に認めるよう要請しているが、 韓国政府と市民社会の立場としてはNUGに対する認定は簡単に決めるのが難しい点がある。 政府の立場としては現地の海外同胞と企業の保護の面で、 軍事政府との関係が悪化するためだ。 市民社会も軍事政府に対する不認定は当然だが、 NUGは内戦の当事者なので今の市民不服従運動を支持しているように支持することができるのかという問題にあたる。 内戦を防ぐためにはアセアン方式の仲裁か国連平和維持軍介入といった武力介入がなければならないが、 これも市民社会が支持する代案にはなりにくい。 外部の武力介入はリビアとシリア事態で見るように、 問題をさらに複雑にしたり多くの市民の犠牲が伴うためだ。 韓国社会としては、ミャンマー市民の不服従運動を支持する募金運動が活発に展開されたが、 こうした支持と募金運動がNUGに向かう場合、 韓国の市民が募金した金がNUGの武器購入資金に使われる可能性もある。 ミャンマーの民主主義を支持するために武器の購入まで支援するのかという問題をめぐり論争が起きた場合、 確実なことはミャンマーの市民に対する韓国社会の支持を以前のような強度で行うのは難しいだろう。

いままさに虐殺が続いていて、これと関する記事のコメントには、 韓国軍を送っても市民を保護しようという意見もしばしば見られる。 このような状況では、内戦状況に対する市民社会の支持方案を議論すること自体が今後の大きな課題になる展望だ。

ミャンマーの軍部クーデター以後、 韓国社会の支持はミャンマーの市民に大きな慰労と勇気になることは明らかだ。 だが、こうした支持を続けていくには、さらに多くの議論と悩みが必要だ。 内戦に駆け上がるミャンマーの状況を見ながら、 韓国社会に投げられたこれらの課題を含み、 韓国社会が合意していく過程と結論は今後の韓国国際連帯運動にとっても重要な分岐点になるだろう。

〈脚注〉

[1] http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=105788

[2] https://imnews.imbc.com/news/2021/econo/article/615106434887.html

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2021-05-17 05:22:18 / Last modified on 2021-05-17 05:22:22 Copyright: Default

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