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日常的に性差別を体験する女性労働者、差別禁止法で救済する

差別禁止法連続争点討論会「平等を討論しろ」…1次討論会

パク・タソル記者 2021.04.06 19:23

「コルテックの女性労働者たちは性差別的な賃金問題を争う過程で、 6回の訴訟によりやっと差額賃金を返還されました。 大法院まで刑事訴訟をした末に性差別という判断を受け、 その後、差額賃金を返還させるための民事訴訟をしなければなりませんでした。 訴訟にかかった歳月と費用、訴訟準備で侵害された人生に対する問題を 提起しないわけにはいきません。」 ペ・ジンギョン(ソウル市長威力性暴力事件共同行動、韓国女性労働者の会)

[出処:チャムセサン資料写真]

最近、東亜製薬事件が起き、採用性差別の深刻性が話されているが、 銀行をはじめ金融圏が書類の段階から男女採用の割合を調節し、 女性を差別する採用事例は提起され続けてきた問題だった。 性別賃金格差と女性低賃金労働者の割合、ガラスの天井指数などは OECD国家の中で最下位を記録するほど、 韓国には女性労働者を差別する文化が根深い。

比較的簡単に問題だと認識できる性差別の他にも、 女性労働者があじわう性差別は広く広がっていて、 女性労働者の足を引っ張っている。 女性労働者は職場内でのセクハラと性暴力は相対的に問題提起が多く、 多様な闘争により判例や決定例を作り、法と制度を変えてきた。 しかし性暴力事件と切っても切れない性差別は、 女性が労働現場で多様に向き合い、 女性の自立と社会的地位の獲得を妨害するなどの深刻性があるが、 これまで法が介入する問題としては認識されなかった。 そのため解決の手続きもまたきちんと整っておらず、問題の解決は難しかった。

4月6日午後、YouTubeで中継された『差別禁止法連続争点討論会 「平等を討論しろ」-セクハラと差別の救済、女性労働者の権利で定義すること』では、 差別禁止法を制定して労働現場での性差別問題を表面化し、 被害者を救済することができるという主張が提起された。

差別禁止法制定を要求する人々は、 差別禁止法によりこれまで規律されていない差別行為と慣行を明確に「差別」と概念化する根拠を豊富に提供し、 差別全般に対して実効性がある救済手段を統一的に提供できると主張した。 また差別禁止法が制定されれば、 実際に最も多く法が適用される分野は雇用-性差別分野で、 職場内女性労働者があしけわう「性差別的いじめ」も 組織的、構造的な差別の問題だという点を社会的に喚起して、 個人の問題ではなく構造的な問題として接近し、解決できると強調した。

この日の討論会では女性労働者があじわう性暴力と「性差別的いじめ」をどう解決するかに対する議論が提起された。 そして差別禁止法は差別的な条件で、どのように女性労働者を保護するのか、 差別的環境をどう変えられるのか、 2次被害はどうすれば制御できるのかについて問題提起がなされた。

「『性差別的いじめ』、差別禁止法で表面化できる」

韓国女性労働者の会のペ・ジンギョン代表は 「最近、現場で『性差別的いじめ』に対する問題が提起されている」とし 「最近現れている性差別は概して非常に巧妙で、 性差別ではなく他の事由による違いで包装されることが多い」と説明した。 「性差別的いじめ」は性差別に基づくいじめで、まだ国内では合意された用語もなく、 これを規律する法令もない状況だ。

ペ代表は「会社は職場内セクハラという問題提起を受ければ、 その事件がセクハラなのかどうかの判断に執着するようになる。 セクハラではないという判断をすると、この問題は何でもないことになって、 問題を提起した被害者の女性は過度に敏感で余裕がない人になってしまう」とし 「セクハラだというには曖昧だが、明らかに女性労働者があじわう苦しく難しい状況がある。 問題を問題と認める命名が必要だ。 「性差別的いじめ」の命名と法的な規律が必要な理由がここにある」と強調した。

ペ代表は、性差別的いじめの現況を8種類に分類して提示した。 ▲社内ケア労働要求、 ▲性的対象の要求、 ▲装飾、雰囲気メーカーとしての役割、 ▲私的業務要求、 ▲男性生計扶養者イデオロギーに基づく性差別言動、 ▲意図的な見下げた言葉遣い、私的呼称とぞんざいな言葉、 ▲性別による業務配分、 ▲女性の能力卑下だ。

ペ代表によれば現在、雇用上の性差別に対する救済を担当する機関は、 国家人権委員会、雇用労働部、裁判所の三ケ所があるが、どれも限界を持っている。 国家人権委員会は勧告しかできないので行政処分の執行力がなく実効性が低く、 雇用労働部は事業場勤労監督だけで性差別を判断するにあたり困難を経験している。 また裁判所は消極的な態度で性差別を狭く判断しており、 こうした問題により性差別事件を提起しても判断を受けるのが難しい。

ペ代表は 「こうした性差別的いじめを解決する方法としては、 この問題をセクハラの範疇に入れること、 職場内いじめの範疇に入れることの2種類が考慮されているが、 2種類の方法はどれも適当な方法ではないと私は考える」とし 「差別禁止法案が性差別的いじめを規律する唯一の手段だと言う訳には行かないが、 性差別そのものが発生させる深刻な問題に対する社会的な合意を引き出す有益な手段でありうる。 また問題を問題として認知できるように、 明確に基準を確立する役割を果たせる」と期待を示した。

「差別禁止法が制定されれば雇用-性差別の分野で最も多く適用される」

(公益人権弁護士の会希望を作る法)差別禁止法制定連帯のチョ・ヘイン共同執行委員長は 「差別禁止法が制定されれば法が実際に一番多く適用される分野は雇用-性差別」とし 「法の制定を実効性ある差別の是正につなげるためには法制定の過程で 差別禁止法上の雇用差別規定の内容と争点が社会的に十分に知らされ、議論されて 検討される過程がぜひ必要だ」と明らかにした。

21代国会に発議された差別禁止法案は昨年6月、 正義党の張恵英(チャン・ヘヨン)議員が代表発議した。 代表発議の翌日、国家人権委員会は国会が 「平等および差別禁止に関する法律(平等法)」を制定しろと要求した。 差別禁止法案は、(1)雇用、(2)財貨・用役・施設などの供給や利用、(3)教育、(4)行政サービスなどの提供や利用領域で差別を禁止する。 法案は雇用領域での差別はまた具体的に規定しているが、 雇用に関するすべての段階で問題になる差別を具体的な条項として扱っている。 男女雇用平等法より概して詳しい。 募集・採用、勤労契約の労働関係成立前後の段階から、 維持段階(勤労条件、賃金・金品、賃金他金品、教育・訓練、配置、昇進)、 終了段階(解雇・退職など)で問題になる差別が扱われるためだ。

[出処:上の討論会、「ソウル市長威力性暴力事件と差別禁止法はどう出会うのか」提案発表文より]

チョ共同執行委員長は 「差別禁止法第3章の規定は何が雇用に関して禁止される差別行為なのかを 現行の法律よりも詳しく規定することにより、 これまできちんと規制できなかった差別行為と慣行を『差別』として 明確に概念化する根拠をさらに豊富に提供できる」とし 「差別禁止法に対する社会的議論が本格化した今、 重要なことは、差別禁止法案のこうした具体的な差別規定がこうした行為も差別として問題になるという 社会的なガイドラインとして豊富に読まれるようにする事」と明らかにした。

また差別禁止法制定は2次加害の予防としても機能する効果がある。 この日重く扱われた事件のソウル市長威力性暴力事件の場合も、 被害者は告訴以後に被害を否定し被害者を攻撃する深刻な2次被害に苦しんだ。

チョ共同執行委員長は 「差別禁止法上の不利益措置の禁止はセクハラに限定せず、 差別禁止法上の差別全般に関して陳情、訴訟提起をしたり、 それに助力したという理由で受ける不利益措置の全般を包括する」とし 「2020年、両法案とも不利益措置を禁止してその措置を無効にしているが、 不利益措置をした使用者に対して刑事処罰規定もまた置いている。 平等法試案はさらに懲罰的(加重的)損害賠償責任まで規定した」と説明した。

勤労基準法の外の女性にも必要な差別禁止法

一方、この日の討論には女性芸術家が参加して、 多様な暴力に置かれている女性芸術家にも差別禁止法が必要だと明らかにした。

マイム創作者で、性平等作業室イロを運営するイサン氏は 「『勤労者』と『使用者』を勤労基準法よりも広く定義することで、 雇用に関して発生する諸般の差別をさらに幅広く規律しようとする差別禁止法立法案が通過すれば、 女性芸術家が体験する差別といじめ問題の解決にさらに近付けると期待している」とし 「女性の性的対象化と性搾取がその土台だと言っても過言ではない大型文化芸術産業、 すべての社会問題を個人の次元にする新自由主義の流れ、 性犯罪をロマン化させて正当化する男性優越主義的な視点に対抗すると同時に 各界各層の反差別運動と連帯したい」と明らかにした。

2016年「◯◯系内_性暴力」ハッシュタグ運動で知らされた文化芸術界内の性暴力は、 芸術現場の全般的な性搾取、性差別、性暴力問題を水面に押し上げた。 2018年には演劇界で3大巨匠と呼ばれた劇作家や演出家2人に対する性暴力告発があった。

イサン氏は 「文化芸術界反性暴力運動は『代表的芸術家』の多くの業績が 後輩や弟子から搾取した時間と金、感情の上に積みあげられていることを示す場を開いた」とし 「作業現場で発生する女性芸術家への性暴力と性的・情緒的搾取はこうした一連の過程とぶつかっている」と説明した。

続いて「文化芸術界反性暴力運動陣営も芸術界内性暴力問題に対する共感を拡張し、 実質的に被害者の権利を救済し加害者を制裁する解決の経験のために努力している」として 「芸術家権利保障法の制定と文化体育観光部傘下の公共機関に 独自の事件処理手続きを作ることで、 契約関係外で法に抵触せずに制裁できない性的いじめと性差別を 公共領域で扱って解決しなければならない」と要求した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2021-04-14 02:45:21 / Last modified on 2021-04-14 02:45:23 Copyright: Default

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