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70年漂流する家事労働者法

すべての家事労働者を包括できない家事労働者法… 「勤労基準法改正」必要の声も

パク・タソル記者 2021.03.24 17:08

家事労働者を法的に労働者と認める家事労働者法が国会の敷居を越えられずにいる。 政府与党は3月内の通過を語っていたが、 財界と保守野党が反対しており法案審査が延びている状況だ。 最初に法案が発議された19代、20代国会に続き、 21代国会でも法案が座礁する危機に置かれ、家事労働者らの怒りも強まっている。

3月24日に開かれた国会環境労働委員会全体会議で 与党が3月の臨時国会の重点法案に選んだ 「家事勤労者の雇用改善などに関する法律(家事労働者法)」は議決されなかった。 労働者の年次休暇、退職金、四大保険など、 労働者の基本権利を保障する内容を含むこの法案は、 国民の力がもっと深く議論する時間が必要だと主張したため、 関連の議論は4月にまた延期された。

家事労働者の積極的な問題提起とケアおよび家事労働の重要性が浮き彫りにされ、 家事労働者を勤労基準法で保護すべきだという社会的要求が高まったが、 国民の力のような保守野党と財界は家事労働者の団体行動の可能性など、 釈然としないいいわけをしながら法制定に反対している。

3月12日に国会環境労働委員会が開催した家事勤労者雇用改善のための立法公聴会で、 韓国経営者総協会側は法案反対の意見を表明した。 労働政策本部のチャン・ジャンウ本部長は 「家事勤労者に〈労働組合および労働関係調整法〉が一括適用されると、 家事勤労者は必要によって利用者である個別の家庭に対する 直・間接的団体行動に出る可能性も開かれている」とし 「勤労提供と場所的に密接な関連がある家事サービス利用者の生活領域で団体行動が行われれば、 家事勤労者を保護する労働法上の利益と比べ、 個別利用者家庭の安定に及ぼす不利益が非常に大きいか、 回復困難な水準に達しかねず、問題になる」と主張した。

しかし同じ公聴会でピョ・デジュン労務士は 「家事労働者に対する外国の法例を調べると、 韓国のように家事労働者の勤労条件を労働法体系から完全に排除している国家はとても少数に過ぎない」とし 「多くの先進国家は家事勤労者を自国の法体系に編入しており、 さらに家事サービスを産業と福祉の側面で重要な分野と認めて育成している」とし、 法制定を要求した。

一部家事労働者だけを保護する家事労働者法… 「勤労基準法改正を」の声も

現在、環境労働委には家事労働者法案三本が係留されている。 政府と共に民主党の李秀真(イ・スジン)議員、 正義党の姜恩美(カン・ウンミ)議員が発議した特別法で、 家事労働者を雇用して家事サービスを提供する法人を家事サービス提供機関として認証し、 労働関係法が適用されるようにすることが核心だ。 機関と勤労契約を結んで勤労基準法適用を受けられるようにしようという趣旨だ。

この70年間、勤労基準法の死角地帯にあった家事労働者は切実に法制定を望んでいる。 1953年の勤労基準法制定当時、「家事使用人に対しては適用しない」という適用除外条項を作ったが、 この条項のために家事労働者は労働者の権利を認められず、 労働者を保護する各種の制度から疎外されてきた。 家事労働者が20〜40万人程度と推測されるほど家事サービス業の規模は大きくなったが、 非公式領域に留まっているため従事者の正確な統計さえないのが実情だ。

特にね今回の新型コロナで雇用と所得が減少し、 家事労働者はこれ以上不安な労働は続けるのが難しいとして、 法制定を強く要求している。 家事労働者団体は今年だけで国会前で二回の座り込みを行い、 家事労働者法案処理を先送りしている国会を糾弾した。

だが、発議された家事労働者法は、全ての家事労働者を包括できないという致命的な限界を持っている。 法案が通過しても家事労働を遂行するすべての家事労働者に適用されるわけではなく、 雇用労働部長官が認証した家事サービス提供機関と勤労契約を締結した家事労働者だけに適用される。 従来のように職業紹介所や個人間の取り引きで仕事を見つける家事労働者の場合、 相変らず各種の保護の死角地帯に残されることになるのだ。

社会変革労働者党は去る22日に声明で、 勤労基準法改正により全ての家事労働者の基本権を保障しろと明らかにした。 社会変革労働者党は 「勤労基準法の『家事使用人例外条項』を削除し、 家事労働者に勤労基準法を『全面』適用しなければならない」とし、 「同一の労働を遂行しているのに勤基法の適用を受ける労働者と勤基法の適用を受けられない労働者が発生する矛盾した現実をどう説明するのか。 政府と国会は、変化した雇用構造の中で、 普遍的労働権を拡張する方式で労働法再編を方向付けていかなければならない」と要求した。

社会変革労働者党はまた 「家事労働者に対する労働法適用の議論の裏には、 ホームストーリー規制サンドボックス実証特例のように、 家事サービス需要の増加に歩調をあわせ、 家事サービス産業の活性化を要求するプラットフォーム事業者の要求がからんでいる」とし 「社会サービス市場化戦略と大型プラットフォーム業者の利害関係の中で家事労働市場を公式化し、 家事労働者の権利を組み入れる方式で進められている現在の地形は、 家事労働者の労働権を全て保障できなくしている」と批判した。

2019年に科学技術情報通信部は家事労働仲介プラットフォーム「代理主婦」を運営する 「ホームストーリー生活」が申請した 「直接雇用基盤家事サービス提供プラットフォーム」に規制サンドボックス実証特例を付与した。 その内容は、ホームストーリー生活が千人の家事労働者を直接雇用する代わり、 勤労基準法の適用を弾力的に適用することだった。 これにより年次休暇、有給休日、休憩のような一部の条項が適用されるようになったが、 『所定勤労』時間ではなく『実際勤労時間』によって保障し、 「労働法が定める最低基準まで変容されたり免除されることを認めた」という批判が激しかった。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2021-03-31 01:48:58 / Last modified on 2021-03-31 01:49:00 Copyright: Default

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