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労働者死の証言...「留保された解決、遅れた正義」

韓国馬事会、清州放送、重症障害者就職支援事業、病院、ユソン企業など

ウン・ヘジン記者 2020.03.05 14:14

毎年4千人以上の就業者が自ら命を絶つ韓国社会。 だが彼らを死に追いやる労働現場の問題は解決していない。 故ムン・ジュンウォン競馬騎手の職場だった韓国馬事会をはじめ、 労働者の命を奪う「死の現場」を証言する場が用意された。

故ムン・ジュンウォン騎手市民対策委は午前10時、 民主労総15階の教育院で 「労働者の死を呼ぶ現場を証言する:留保された解決、遅れた正義が呼んだ死」 という題名で証言大会を開いた。

司会をした韓国労働安全保健研究所のチェ・ミン常任活動家は 「労働者たちが怒りを表現する方法がなぜ死だけだろうか。 なぜ表現手段が死だけだろうか。 それは自殺した『個人』ではなく、その人が選択をするしかなかったことを 『現場』に探さなければならないのではないか。 (死の)共通点を探し、解いていくことが私たちの課題」と伝えた。

証言大会で発表された現場は、 韓国馬事会、CJB清州放送、重症障害者地域連携型就職支援事業、 病院(看護師の現場)、労組弾圧企業(ユソン企業)だった。

現代版奴隷、馬事会の奴隷だった競馬騎手

故ムン・ジュンウォン騎手は2015年に調教師免許を取得し、 自費で海外研修にまで行ってくるなど、調教師になる準備をしていた。 調教師になるためには馬事会が主管する馬事大物審査に合格して 馬房を割当られなければならなかった。 しかし審査が進められる前、最終合格者はキム○○だという噂が流れた。

釜山慶南競馬公園支部のコ・グァンヨン支部長は 「この審査は烈士の努力とは無関係なことだった。 彼が審査を受けた当時の監督官が誰で、合格者が誰なのかについて噂が流れた」とし 「また民主労総の組合員あるいは騎手は絶対に合格させないといううわさも聞こえた。 残念なことに烈士は騎手であり、組合員だった。 このうわさは現実になって、 烈士に監督官のうち馬事会職員5人はすべて不合格、外部の2人は合格を与えた」と伝えた。 続いて彼は今年も馬事貸付合格予定者に対する噂が流れていると付け加えた。

馬事会は順位賞金(1〜5位)に対する騎手配分率、 騎乗料およびその他の入賞インセンティブなどを定めている。 そして騎手は調教師と騎乗契約を結び、 調教師から指揮・監督を受けて遂行した競走騎乗業務の代価として 騎乗料と賞金などを支給される。 コ・グァンヨン支部長によれば、馬房(組)の5人が賞金で千万ウォンを稼いでも、 調教師が配分の権限を持っているので一銭も受けとれない騎手も存在した。 調教師に嫌われた騎手の収入は最低賃金程度だった。

コ支部長は「騎手の年齢は40代程度だが、 からだの状態は60代で、横になるのも難しい。 私たちの人生は文字通り現代版の奴隷」とし 「調教師によく思われるために、同僚よりも一生懸命働かなければならず、 同僚が怪我をすれば内心笑った。 古参が調教師とトラブルになってクビになると、幸せでうれしかった」とし 「あまりにもみじめな人生だ」と吐露した。

昨年11月29日の明け方、韓国馬事会ムン・ジュンウォン釜山慶南競馬公園騎手が 三枚の遺書を残して死亡した。 釜山競馬公園だけで合計7人の騎手と馬匹管理士が自ら命を絶ち、 このうち4人は文在寅(ムン・ジェイン)政府発足後に死亡した。 しかしまだ故ムン・ジュンウォン騎手が遺書で言及した責任者に対する処罰と馬事会の制度改善は行われていない。 馬事会は民主労総烈士対策委との集中交渉が決裂した1月30日、 法的責任が確認されない限り、真相調査と責任者の処罰はできないと明らかにした。

清州放送正規職より二倍働くフリーランサーPD

2018年末、清州放送の故イ・ジェハクPDは、 同僚のフリーランス・スタッフなどの処遇改善を要求して解雇された後、 労働者性を認めさせるために訴訟をした。 当時の訴訟は同僚が法の死角地帯から抜け出すために行った『公益訴訟』の一環だった。 しかし1月22日、故人は敗訴して、控訴状を出した1月30日から5日後に自ら命を絶った。

故イ・ジェハクPDは果たしてフリーランサーだったのだろうか。 故人の弁護を引き受けたイ・ヨンウ弁護士は、 故人が清州放送で14年間働いた内容は法律的に「清州放送の労働者」の証拠だと伝えた。 彼は故人が番組製作に関して演出や助演出業務はもちろん、 補助金関連の業務と相当量の行政業務や対外業務などを遂行したと話した。

また番組製作でも放送局の特性上、局長-CP-PD-ADなどの階層によって 番組の企画と製作の方向を決めた後に故人の業務が決まり、 彼が助演出する場合にはPDなどが業務を決めた。 またイ弁護士は彼の勤労提供には継続性と専属性があったと伝えた。 清州放送が配分した番組と指示した業務を遂行しただけで、 自主的に担当番組や業務内容を決めて遂行できなかったためだ。

故人は担当した多くの番組のため毎日清州放送に出勤して業務を遂行したので、 他の放送局業務を遂行する余地もなかった。 勤務時間も会議、撮影、編集、送出などの業務によって固定的・反復的だった。

イ・ヨンウ弁護士は 「故人は同僚と関係も良く、仕事もよくできた。 それで正規職PDより二倍近く仕事をし、 終われば特集放送を引き受けた。 だから在職中のフリーランサーが陳述書を書いた」と伝えた。

一方、2月27日に遺族とCJB清州放送の故イ・ジェハクPD対策委、 清州放送労使は、 故イ・ジェハクPD真相調査委員会の構成に合意して発足した。 しかし3月3日の1次真相調査委で、会社は会社側弁護士を真相調査委員に推薦して産みの苦しみを味わっている。

「労働者が話す場に重症障害者の話は出てこない」

ソウル障害者差別撤廃連帯のムン・エリン常任代表は 「労働者の話をする場に重症障害者の話は出てこない。 今日では重症障害者労働権を語る場が苦々しくもあり一方では複雑な気がする」と話した。

昨年12月5日 「重症障害者地域連携型就職支援試験事業(重症障害者就職事業)」に参加した 故ソル・ヨハン重症障害者同僚支援活動家は、 実績に対する負担感によって自ら命を絶った。

彼は月60時間働いて65万9650ウォンを受け取っていた。 彼の業務は月4人の重症障害者事業参加者を発掘し、 参加者1人と月5回ずつ会わなければならなかった。 実績を満たせなければ、所属機関に賃金を返却しなければならなかった。

これに先立ち、障害者団体は2017年に 文在寅(ムン・ジェイン)政府の公共部門81万雇用創出政策に 重症障害者の雇用が含まれていないと問題を提起した。 また全国障害者差別撤廃連帯は2017年11月から85日間、 重症障害者の雇用を要求して障害者雇用公団を占拠した。 闘争の末に昨年、重症障害者就職事業が始まった。

ムン・エリン常任代表は 「障害者は最低賃金の対象から除外されている。 また、雇用労働部は障害者の環境を事業に反映しなかった。 また企画財政部は、重症障害者に投与される試験事業予算をきちんと反映しなかった。 これら全てが重症障害者雇用事業の問題だった」と指摘した。

また彼は「効率、実績、機動性を重症障害者に強要すれば、 どんな障害者も労働者として生きていけない。 重症障害者就職事業は権利中心の公共雇用にしていかなければならないと考える」と伝えた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-03-09 21:11:04 / Last modified on 2020-03-09 21:11:05 Copyright: Default

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