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因縁

[ヨンジョンのバカみたいな愛](97)コルテック イム・ジェチュン氏ハンスト35日、朴栄浩社長関係者による問題解決を望んで

ヨンジョン (ルポ作家) 2019.04.15 10:46

コルテックの解雇労働者たちが2007年に使用者側の一方的な工場閉鎖と整理解雇に対抗して闘争を始めてから13年になりました。 3月12日、コルテックの解雇労働者のイム・ジェチュン氏は、 コルテック使用者側に「整理解雇謝罪、定年前の名誉復職、解雇期間補償」を要求してハンストを始めました。 イム・ジェチュン氏は毎日毎日燃え上がるからだと不眠の苦痛に耐えに耐えています。

イム・ジェチュン氏のハンスト35日目(座り込み4457日目)になる4月15日、 コルテックの朴栄浩(パク・ヨンホ)社長が参加する交渉が予定されています。 今回の交渉で闘争がきちんと終わることを望む心を抱いて、 ハンスト中のイム・ジェチュン氏の話を読者と分けようと思います。- 〈筆者注〉

終わらせると考えた

「みんな知ってるじゃないか〜」
3月28日、ソウル市江西区登村洞のコルテック本社前の コルテック支会(民主労総金属労組大田忠北支部所属)座込場に行くと、 イム・ジェチュン組合員がうれしく迎えてくれる。 イム・ジェチュン氏は17日間、整理解雇謝罪と復職などを要求してハンストをしている。 闘争を始めてから4439日目になるこの日、「ギターを投げろ」公演のために他の組合員は外部に出ているといった。

「混乱して息苦しい。 労働者たちが毎日こんなにまでするのに、国は何もしない。 七回も交渉したのに、会社は何もしなかった。 3月7日には朴栄浩社長がきて交渉をしたが、何も持たないできた。 だから仕方ない。 終末宣言したんだ。 どうなるにしても、終わらせなければならないと考えた。」

イ・イングン支会長はすでに数回ハンストをしたし、 キム・ギョンボン組合員は健康が悪く、ジェチュン氏しかする人がいないたといった。 長期化するハンストで体重の減少とともに体力は落ちて、きちんと眠れないという。 彼のやつれてた顔が燃え上がっていた。 それでも、いつものようにギターの話が出てくれば、ジェチュン氏の目は輝いて彼の話が速くなる。 ジェチュン氏がギター労働者として生きて36年だ。 彼にギター労働者として生きてきた歴史を聞いた。

▲ハンスト23日のため、コルテック解雇労働者イム・ジェチュン氏[出処:連立政権作家]

「ただ降りたかっただけだ」:ギターの因縁

ジェチュン氏がギターと初めての縁を結んだのは1983年だ。 公州で高校を卒業して、3年間農業をして、町の先輩と一緒に議政府にあるギターを作るソンウン楽器に入社した。 ジェチュン氏はソンウン楽器では、木でギターに入れる副資材を作る整形ラインで働いた。 会社の寄宿舎で暮らして毎日午前8時30分に出勤し、夜9時まで働き、 週末にも無条件働かなければならなかった。

「日曜に教会に行かなければ有給が減らされる。 ソンウンがキリスト教会なんだ。 それが不満だった。」

ジェチュン氏は、若い時には主祈祷文と十誡命に着実なキリスト教信者だったが、 中学校の時に「教会不正」を知って、それ以来、教会に行かなかったといった。 それでソンウン楽器で教会に行くのがとても苦しかった。 そんな中で1985年、当時仁川大宇自動車で働いていた友人の紹介で、 大宇自動車に入社を志願する。

「その時、サミク楽器も人を取るというので、そこにも履歴書を入れた。 面接時間が2時で全く同じだった。 (バス停留場が)サミク楽器の次が大宇自動車だ。 サミク楽器で降りて、そこに入った。」

ジェチュン氏はそうして大宇自動車は 面接も受けず、サミク楽器に入社をした。

「ただサミク楽器で降りたかった。」

ジェチュン氏のギターとの縁はこのように続く。 その日、もしジェチュン氏がサミク楽器を過ぎて、 大宇自動車の停留場で降りていればどうなっただろうか?

「そこ(大宇自動車)行かなかったのはよかった。 その時になったら私も解雇されただろう。 1750人大量整理解雇したではないか。」

その日、彼が大宇自動車で降りていれば、われわれはジェチュン氏をコルテック闘争ではなく違う場所で会ったのだろうか? 大宇自動車で解雇されれば、違う仕事をしていて、 危うくわれわれはジェチュン氏と会えないところだった。 いずれにしてもギターと縁を結ぶジェチュン氏の人生が珍しく思うばかりだ。

苦しくてもあくせく働いた時代

2001年の整理解雇は避けられたが、2007年に彼は解雇者になる。 非正規職を量産する「非正規職保護法」ができた直後であった。 あるいは朴栄浩社長は 「時代の流れに合わせて」コルテック労働者を解雇した後、 その場を非正規職で埋めて本当の「夢の工場」を作る計画をたてたのではなかったのだろうか? コルテック解雇労働者たちの頑強な抵抗でその夢が失敗に終わったのではないか? ジェチュン氏は「私たちの時代はそんな社会だった」といった。

このように、ジェチュン氏のギター人生の第2幕が始まった。 サミク楽器ではコンパウンドとワックスを混ぜてエレキギターの光沢を出す仕事をした。 ソンウン楽器での経歴があったので、月給もたくさん受けた。 労働条件は前の職場と大差なかったが、つらいとも思わず一生懸命に働いた時間だった。

「その時は若かったでしょう。 つらくてもあくせく働く時代だった。」

サミク楽器で1年半程働いたジェチュン氏は、1986年また故郷に帰る。 ソンウン楽器で工場長をしていた人が鶏龍にギター工場を作るので、 一緒に働こうといった。 その会社がコルテックの前身のトギョン楽器(トギョン産業)だ。 そして1991年、輸出用のサンプル ギターを生産していたトギョン楽器をコルテックが買収し、 トギョン楽器の労働者はコルテックにそのまま雇用継承された。 ジェチュン氏は、その時まではそれ(そのまま雇用継承されること)が慣行だったと言う。

こうしてジェチュン氏のコルテックとの強い縁が始まった。 コルテック大田工場は1994年から本格的な黒字を出して、 1997年のIMF以後、為替レートの上昇で収入が大きく膨らんで、 鶏龍市豆磨面旺垈里に工場を拡張して移転した。 会社は日々成長して行ったが、ジェチュン氏をはじめとするコルテックの労働者は 平日午前8時30分から午後9時まで働き、 土曜は隔週で働く暮らしには変化がなかった。 ジェチュン氏はコルテックでも完成班で光沢を出す仕事をした。

「ギターで一番つらくストレスを受ける仕事が光沢仕事だ。 体で磨かなければいけないから。 生産量は増え続けた。 コルテックで一番たくさん作った時は、一日に350台も400台も作った。 大変なのは個人的な時間があまりにないということ? 生産できなければさらに延長もしなければいけない。 家族と過ごす時間がない。」

▲コルテック本社前、市民社会連帯ハンスト座り込み場[出処:連立政権作家]

早退・月次を使うには4回の決裁をしなければならなかった

ジェチュン氏は、コルテックで働く他の労働者たちと違い、 自分では、あまり骨を折らなかったといった。 ジェチュン氏は認めらた技術者であり、完成ラインの管理者でもあった。 彼は事実、残念なことがなかった。 ジェチュン氏が働く班の労働者たちが休暇や早退を使えば困っているのは知っていたが、 自分が直接経験したことではなかった。

「私は休暇を使うつもりもなかった。 働けばみんな金になるのに、なぜそんなこと(休暇を使う)するか。 おじいさんが漢文や三綱五倫みたいなものを勉強した。 国に忠誠をつくして正しい生活をしなければならない、 無条件に親孝行しなければならない、 さからうな、 祭事をしっかりしなければならない。 そんな話を聞いて育ったから..」

その時まで、ジェチュン氏は「労働組合マインド」より、 会社があってこそ労働者もあるという「使用者側マインド」に近かった。 だが、一緒に働く労働者たちが味わっている非人間的な待遇と、 女性労働者に対する管理者の性暴力、 休暇も使えない劣悪な労働環境についてもやはり知っていた。

「早退、月次を使うといえば私は使わせてやった。 しかし上に行くとみんな切られる。 生産量は誰が合わせるのかと... 早退、月次を使うと言うのなら、4回決裁をしなければならなかった。」

コルテックでは早退や休暇を使うためには、 班長とライン・チーム長、次長、工場長の決裁を受けなければならなかった。 ジェチュン氏が決裁を上げれば、上のチーム長がすぐ突き返した。

「イ・イングンが労組を作るのだが、組合員に加入してくれと言うので、 何も言わずに(ハンコを)捺してやった。 86年にサミク楽器に通っていた時も、 労組を作ると言うので印鑑を押してやった。 労組があれば良いということは知っているから」。

2006年、ジェチュン氏はこうして労働組合に加入する。 労働組合の幹部でもなく、関連した教育は一度も受けたことがない。 労組というものがあれば良いと自分で判断して加入した、それがすべてだったという。 労組に加入して1年後に整理解雇されて闘争を始め、 コルテックとの縁は新しい局面に入った。それが13年だ。

誰かが責任を取らなければならないのではないか

「くやしくもあり... 私は大韓民国ギターの最古参で、大韓民国ギターの歴史です。 大韓民国のギター工場が閉鎖されるのをすべて見ました。 誰かが責任を取るべきじゃないか。 そんな話をしてくれる人が必要なんです。 私が決心しました。私がやる。 しかしこんなに長くなることがわかっていればやらなかっただろう。 最初5〜6年と思っていたが、もっと長くなった。」

イム・ジェチュン氏が書いた座り込み日記を集めて出版した本 「私たちには明日がある(2016、四つ葉のクローバー)」には、 彼の最初の職場で彼がギターと初めての縁を結んだソンウン楽器についての文がある。 ジェチュン氏はコルテックにいるがソンウン楽器に行った仲間から ソンウン楽器の消息を聞いたという。 新しいソンウン楽器の経営主は、労働者に球を投げて対話しながら良い縁を積み、 そのおかげで経営も安定しているという。 ジェチュン氏はソンウン楽器とコルテックを比較して、 経営主と良い縁を結ぶ基準を経営主-職員間の疎通だといった。 コルテックの社長はギターを金とばかり考えるので職員と対話せず、 整理解雇をして良い縁にならなかったというのだ。

「コルテックは私たちと良い縁になれないだろう。 合意しても心には常に傷を負うようだ。」

だが、闘争で結んだ良い縁も多い。 共に闘争を作って悩みを分けあう多くの文化活動家と宗教家、市民、 13年間終始一貫して連帯する大田忠北地域の仲間たちと コルテック支会の組合員だ。 今でも毎週、週末になると大田からコルテック支会の組合員たちが上がってくる。

「組合員が労組のおかげで整理解雇されたと言って 就職をさせてもらえないという話を聞く時は胸が痛い。」

▲2019年1月、コルテック・ギター労働者終末闘争突入記者会見後のデモ行進。一番右がイム・ジェチュン氏[出処:ヨンジョン作家]

良い縁の開始、当事者が解決

仏教では結果に至る内的・直接的な原因の「因」と、 外的・間接的な原因の「縁」を合わせて因縁と呼び、 すべての現象は因縁により発生し、因縁により消滅すると見る。 大豆を植えて小豆がなることを望んだり、 悪いことをして良い結果を望むのはこのような因縁に反する。

イム・ジェチュン氏は上記の本で 「袖振り合うも多生の縁」と書いたが、 最近、私たちは人々との縁を簡単に考えて、金にからめて自分のことだけを考える話した。

仏教のある経典には袖が触れ合うには前世で五百劫の縁が必要だという内容が出てくるという。 一つの国に生まれるには千劫の縁が、 一日、道を同行するためには二千劫れの縁がなければならないという。 人間界の4億3200万年が一劫になるが、 間もなく30年になるジェチュン氏とコルテックの朴栄浩(パク・ヨンホ)社長は、 何劫の因縁があったのだろうか?

ジェチュン氏がコルテックで一生懸命働いていた2000年に封切られた映画 「バンジージャンプをする」には、 多くの観客が記憶する俳優、イ・ビョンホン(ソ・インウ役)の因縁に関するセリフがある。

「この地球上の1か所にこれくらいの針一本をさして、 あの空のてっぺんから小麦の種を一つだけ落とす。 その小麦の種が落ちてその針の上にささる確率。 計算もできないようなとんでもない確率で出会ったこと。 それを因縁と呼ぶのだ」。 そしてイ・ビョンホンは話す。 「因縁ってやつは、ちょっと気持ち悪くないか?」

そうだ。気持ちの悪い約13年の縁だ。 中学生だった娘が会社員になった歳月、 黒かった中年の頭が還暦を目前にした白い頭に変わってしまった歳月、 高空籠城・占拠座り込み・ハンスト・野宿座り込み、死ぬこと以外はすべてやった歳月。 そのひどく気持ちが悪い歳月、 ひどく気持ちが悪い因縁。 もう整理しなければならないのではないか? とても遅くなったが、今からでもコルテックの使用者は解雇労働者の素朴な要求を受け入れて、 解雇労働者が家族・友人・知人と安らかな気持ちで暖かいご飯を食べられるようにしなければならないのではないだろうか?

「止まると始めて見えるもの(ヘミン僧侶)」という本には 「良い因縁とは? 始まりが良い因縁ではなく、終わりが良い因縁です」という一節が出てくる。 始まりは自分と無関係に始まっても、因縁をどう終えるのかは私自身にかかっているという。 それがいわゆる 「結者解之(結んだ人が解かなければならないという意味で、 問題を起こした人がその問題を解決しなければならないという言葉。Daum事典)」 なのだと考える。

コルテックの解雇労働者たちはこの13年間、彼らにできるあらゆることをした。 これからはコルテックの朴栄浩社長の番だ。 朴栄浩社長が 「結者解之」する時だ。 2019年4月15日がその日になることを希望する。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-04-21 16:57:10 / Last modified on 2019-04-21 16:57:12 Copyright: Default

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