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全教組「英会話専門講師廃止」、非正規職の追い出しか?

[チャムセサン企画]全教組の「学校非正規職立場」議論(1)

ユン・ジヨン記者 2017.09.04 12:25

[編集者の言葉]去る8月25日、保守言論を中心として「全教組が期間制教師の正規職転換に反対している」という報道が続いた。 彼らは「正規職教師中心の二大教員団体(全教組、教総)が集団利己主義的な姿を見せている」、 あるいは「文在寅(ムン・ジェイン)政府が全教組合法化を進める状況で、まさに全教組は政府の『非正規職ゼロ』政策に制約をかけた」と特筆大書した。 一方では教育現場で正規職と非正規職間の内紛が深まっているとし、「互いに譲歩できる線がある」と応援した。

過去、全教組に対する保守言論のイデオロギー攻勢方式とは明らかに調子が違っていた。 以前は全教組を「不穏」な集団と罵倒したとすれば、今は利益団体としての動きを強調する。 全教組が非正規職問題で右向け右をしたという点に喜色を示しつつ、 「既得権勢力」というレッテルで警戒する調子だ。 非正規職に対する全教組の立場は、進歩運動内でも論議の的だ。 労働社会団体や非正規職闘争事業場などは声明書を発表し、 全教組が「学校非正規職を含むすべての非正規職撤廃」に同意しろと訴えている。 さまざまな利害関係が鋭くからみ、全教組の身動きの幅も狭くなった。 全教組の内部では「どう話しても問題になる」という情緒もかなり強い。 この28年間、社会変化運動の先頭に立ってきた全教組は、なぜ既得権の議論に包まれるようになったのか。

英専講制度をめぐる議論、全教組と学校非正規職の長い論争

事件の発端は去る8月23日、全教組中央執行委員会が「学校非正規職の正規職転換関連」の立場を決めてからだ。 全教組は決定文で「学校内のすべての労働者は正規職でなければならないという原則を再確認する」と明らかにした。 問題は、正規職転換を提案する方式だった。 期間制教師、講師など、さまざまな形態の非正規職教師を細分化して、 それぞれ異なる正規職に転換する方向を提示した。 制度を廃棄して、職務そのものをなくす方式もあり、 「常時持続性」による部分的な正規職転換方式もあった。 そのうち最も議論を呼んだ文言は 「現在勤務中の期間制教員の一括的かつ即刻の正規職転換主張に同意しない」だった。 この文言は、保守マスコミを通じて「全教組が期間制教師の正規職転換に反対している」という調子に歪められた。

9月2日に開かれた全教組代議員大会で主に問題になった部分は 「英会話専門講師(英専講)と初等スポーツ講師」の正規職転換方向だった。 全教組中執の決定文には、彼らに対する正規職転換方向が明示されていない。 単に、△英専講制度を廃止して正規教員として配置する、 △初等スポーツ講師は新規採用をしない、 △現職の英会話専門講師とスポーツ講師の雇用と処遇に関しては政府と当事者が協議して決めるという文言だけだ。 英専講制度を廃止した後、この席に正規職教師を配置して、 職務から追い出された講師の処遇は当事者が政府と協議しろという意味だ。

全教組は英専講制度の導入当時から「制度廃棄」を要求してきた。 先に李明博政権は、2009年に新自由主義教育政策の一環として英専講制度を導入した。 「英専講制度」による英語没入式教育で、学校現場では多くの問題が起きた。 政府が英専講の義務授業時数を拡大して 「授業時数合わせ」のような低質の教育が拡大したという批判が続いた。 当時、政府は約6千200人の英語専門講師を非正規職として採用した。 講師の処遇は非常に不安定だった。 1年ごと契約を更新しなければならず、ある学校で4年を満たすと契約が満了した。 講師は民主労総公共運輸労組全国教育公務職本部の傘下に労組を結成し、 処遇改善を要求した。 国家人権委と大田高等法院も、講師を無期契約職に転換すべきだという勧告と判決を出している。

[出処:チャムソリ]

全教組と学校非正規職労組とも、英専講は誤った政策であることには同意している。 ただし制度を廃止した時に講師の処遇をどう保障するかをめぐり、かなり長い間、意見の差を見せてきた。 全教組は制度を即刻廃止してその場に正規職教師を配置しろという立場だ。 そのため全教組が事実上、英専講の大量解雇を要求しているという批判的な声も聞こえてくる。 だが全教組自身の英専講の処遇に対する基本方向は存在する。

9月2日の全教組代議員大会で全教組のキム・ハッカン政策室長は 「英専講制度を廃止して正規教員に変えるものの、(現職講師の)雇用は教育過程以外の無期契約職に転換せよという立場」だとし 「その部分が英専講と全教組の立場の違い」と説明した。 現職英語専門講師を放課後講師など、正規教育外の他の職務に配置しろという主張だ。 しかしスポーツ講師などの補助講師に対しては、無期契約職に転換するものの、これ以上新規採用をしないという方向を提示した。 英専講とスポーツ講師の最大の差は、独自の授業権を持っているかどうかだ。 事実上、英専講に独自の授業権を与えないという意味だ。

英専講をめぐる全教組所属の初等教師の反感はかなり強い。 全教組代議員大会である教師は 「英専講とスポーツ講師は、誰でも小学の教師をすることができるという認識が生まれるなど、 教職の専門性を卑下させた政策の一つ」と吐露した。 既存の講師人員が残っている限り、制度の廃止は遠いという主張も強い。 一部の代議員は「制度が消えたのに人が残っているのが常識的だろうか。 英専講とスポーツ講師などが維持されるなら、教育正常化ではない」とし 「最初のボタンを掛け間違えたのなら、外さなければならない」と声を高めた。 この他にも「全教組は労働運動だけをする組織ではない。 また(英専講は)単に労働問題ではなく教育の問題」だという反発も出てきたという。

現職の小学教師だけでなく、予備教師も英専講制度の廃止に積極的だ。 講師が教育大出身、あるいは任用試験で選抜された人員ではないため、専門性に欠けるという認識が濃厚だ。 英会話専門講師は採用障壁が高くないが、高い競争に勝って入ってきた正教師と同じ授業権を持つのは公平性に合わないという主張もある。 またその裏には英専講が教育課程に入り、既存の初等英語科の授業時数を持っていくという不満も存在する。 英専講が拡大するほど、英語科教員の任用数が減るという不安感など、さまざまな利害関係が絡んでいるのだ。

しかし学校非正規職労組側は、英専講制度の漸進的廃止には同意するが、職務変更には同意できないという立場だ。 学校非正規職本部の関係者は 「その部分は容認できない。 私たちが決める事案ではないか」とし 「英専講を無期契約職に転換した後、欠員が発生したら補充しない方式で順次縮小していくのは議論できるだろうが、 現在の全教組の立場は認められない」と説明した。 労働団体と当事者たちは、英専講制度の廃止だけを要求したり、 補助講師など正規授業以外の職務に追い出すのは当事者の犠牲だけを強要するものだと主張している。 政府の誤った政策を変えるのではなく、非正規職解雇などの反労働的な政策に力を入れているという指摘だ。

一方、文在寅(ムン・ジェイン)政府が7月20日に発表した 「公共部門正規職転換ガイドライン」では、 英会話専門講師、スポーツ講師などは「転換例外対象」として残った。 現在進行中の教育部の正規職転換審議委員会でも、彼らを含むほとんどの学校非正規職が除外されるという話も聞こえている。 そのため9月1日、全国教育本部職本部は例外なき正規職転換の実施を要求して野宿座り込みに突入し、 4日には「学校非正規職連帯会議」が英会話専門講師など7つの講師職種の正規職転換を要求した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-09-17 06:01:18 / Last modified on 2017-09-17 06:01:20 Copyright: Default

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