韓国:起亜車通常賃金訴訟、「経営上の困難は曖昧で信義則違反ではない」 | |||||||
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起亜車通常賃金訴訟、「経営上の困難は曖昧で信義則違反ではない」通常賃金の混乱を呼んだ主犯は政界-財界-法曹界
パク・タソル、ユン・ジヨン記者 2017.08.31 19:44
裁判所が起亜車労組が提起した通常賃金請求訴訟で、 定期賞与金などは通常賃金に該当するとし、 労組が提起した訴訟は「信義則(信義誠実の原則)」違反にも該当しないと判決した。 今回の判決は、2013年に大法院全員合議体が出した信義誠実の原則により、 いつも訴訟を制限されてきた通常賃金訴訟事業場に意味ある影響があるものと見られる。 だが相変らず信義則適用と通常賃金の範囲などをめぐる議論は続くものとみられ、 労働部が歪めた行政指針の改善をはじめ、 政府次元の法的・制度的対策を用意を要求する声も高い。 「企業の重大な困難は厳格に適用すべき...信義則違反ではない」先立って2011年、起亜車の前現職労働者2万7500人は、 2008年8月から2011年10月までに受け取った年間700%の賞与金を通常賃金に含めるべきだとし、 会社を相手に賃金請求訴訟を提起した。 これについてソウル中央地法民事41部(部長判事クォン・ヒョンチュン)は8月31日、 「会社は労働者に対し、未払いの賃金4223億ウォンを支払え」と原告一部勝訴の判決をした。 特に裁判所は賞与金と昼食代は所定の勤労の代価として勤労者に支払われる金品で、 定期的、一律的、固定的に支払われる賃金なので通常賃金に該当すると判決した。 また労働者の通常賃金訴訟が企業に重大な経営上の困難を招くと断定するのは難しいため、 「信義則」違反にも該当しないと判示した。 これまで裁判所と政府、財界は「信義則」を打ち出してきたため、 いつも通常賃金訴訟は困難に陥った。 2013年12月、大法院全員合議体が「労使の合意で定期賞与金を通常賃金から除外したのであれば、『信義則』によって追加の賃金訴訟は認められない」という新しい解釈を出した。 翌年、韓国GMの労働者が提起した通常賃金訴訟でも、大法院は信義則を打ち出して事実上の原告敗訴を判決した。 信義則の原則の核心は、訴訟による労働者の賃金遡及が「企業の経営に負担を与える」ということだ。 当時、裁判所は労使が定期賞与金は通常賃金に含まれことを認識できない状況で、 これと異なる法理的な事由により使用者に過去の賃金まで遡及支給する義務を賦課すると、 企業の経営負担が重くなるという判決を出した。 だが今回の判決で裁判所は「企業の重大な経営上の困難」はさらに厳格に解釈、適用しなければならないと判断した。 労働者たちは強行規定の勤労基準法で認められる権利を行使することにより、 労使が合意した賃金水準をはるかに超過する予想外の利益を労働者が追求していると見ることもできないということだ。 また会社の財政および経営状態、売り上げ実績などが悪くないという点と、 営業利益の減少についての明確な証拠資料がない点など、 具体的な経営状態を根拠として今回の訴訟が「企業の存立を危うく」すると断定するのは難しく、信義則に違反しないと判決した。 これまで起亜車使用者側は、賞与金などは通常賃金に含まれず、 通常賃金に含まれるとしても信義則に違反すると主張してきた。 一方、裁判所は週40時間を超過した休日勤労で、 休日勤務手当の他に延長勤労手当てを請求したことは認められず、 団体協約に基づいて未払い賃金を請求したのも勤労基準法上の基準による請求だけが認められると判決した。 「信義則」等で通常賃金の混乱を起こしてきた労働部-財界-法曹界今回の判決に対して労働界は歓迎の雰囲気だ。 これまで通常賃金訴訟を遮ってきた信義則を認めず、 勤労基準法によって使用者に支払い義務を付与したという評価だ。 事実、通常賃金をめぐる混乱は、労働部の誤った行政解釈と政界や財界の通常賃金範囲縮小、 裁判所の信義則の適用により加重されてきた。 当初、勤労基準法施行令の6条には 「所定の勤労または総勤労に対して支払う定期的かつ一律の金品はすべて通常賃金に含まれる」と規定されている。 だが雇用労働部は1988年、通常賃金算定指針で、大部分の手当てと賞与金を通常賃金から除外した。 しかし1995年に大法院全員合議体は賃金二分説を廃棄し、 すべての賃金を勤労提供の代価だと規定した。 それでも雇用労働部は2009年から財界に対する賃金コンサルティングを行い、 定期賞与金を通常賃金から除外する方法と成果主義賃金体系への改編を注文してきた。 2013年には大法院全員合議体が信義則の解釈において経営界の主張を認め、 通常賃金をめぐる混乱はさらに増幅されてきた。 翌年、鉄鋼材包装会社のヌーベルの労働者が提起した通常賃金訴訟をはじめ、 韓国GM、錦湖タイヤ、現代重工などの訴訟ではすべて信義則が適用された。 また信義則の認定をめぐり、1審と2審の判決が逆転するなどの混乱も続いた。 今回の判決について起亜車は控訴する立場で、今後、起亜車の通常賃金訴訟もどのような結論が出るのかの予測は難しい。 だから政府がこれまで通常賃金を歪曲してきた指針を正し、 明確な法的制度的装置を用意して、混乱を収拾すべきだという指摘も出る。 起亜車支部は判決直後に立場を発表し 「通常賃金は安定した賃金体系に労働時間を短縮し、実質賃金を確保して労働者の人生を向上させる趣旨」だとし 「文在寅政府は以前の政府の法判例を無視した通常賃金行政指針を正し、 これ以上、通常賃金の問題で労使間の対立が繰り返されないようにしなければならない」と注文した。 一方、起亜車の労働者を代理してきた法律事務所セナルのキム・ギドク弁護士は、報道資料で 「今回の判決は会社の具体的な経営状態を考慮して、信義則違反について判断したという点で意味ある判決」とし 「現在、訴訟を進めている事業場の通常賃金訴訟に意味のある影響を与えるものと期待される」と明らかにした。 現在、通常賃金訴訟を進めている事業場は115か所だ。 民主労総も論評を発表して 「今日の裁判所の判決にもかかわらず、 経済人総連などの使用者団体の扇動と脅迫は続いている」とし 「使用者団体は裁判所が指摘した 『労働者たちが当然受け取るべきだった賃金を今になって支払うことになり、 費用が追加で支出されるという点だけに注目し、 これを経済に対する重大な威嚇だと主張するのは適切でない』 とした判決文を刻み込まなければならない」と強調した。
翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2017-09-05 03:11:24 / Last modified on 2017-09-05 03:11:26 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ |