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「子会社」で「非正規職」の身分から脱出できるか?

政府の公共機関正規職化転換方式をめぐる議論は相変わらず

ユン・ジヨン記者 2017.08.30 19:16

政府の公共機関の非正規職正規職転換の方式をめぐる議論が続いている。 去る7月20日、政府の「公共部門非正規職勤労者正規職転換ガイド」発表以後、 公共機関は(派遣、用役)労使専門家協議機構などを構成し、 間接雇用非正規職の正規職転換方式を議論している。 最大の争点は派遣、用役などの間接雇用非正規職の正規職転換方式だ。 政府は人件費の上昇などを憂慮して、子会社の設立による迂回的な正規職化方案は避けられないという立場だ。 だが、これまで子会社正規職転換を経験した労働者たちは 「もうひとつの間接雇用非正規職を生むだけ」と反発している。

特に労働界は仁川空港公社を始め、韓国空港公社、韓水原、鉄道、地下鉄など、 大規模な公共機関を中心として子会社設立による正規職転換方式が推進されると憂慮している。 労働部が選定した正規職化戦略機関(公企業)のうち、 子会社方式を議論する可能性が高い5つの機関 (道路公社、鉄道公社、南東発電、韓国電力、韓国馬事会) および仁川空港の間接雇用労働者だけで3万人にのぼる。 労働界の内部では子会社方式ではなく「直接雇用正規職転換」を要求する声が高いが、 以前と違う厳格な要件による子会社設立方案を用意しなければならないという悩みも続いている。

「厳格な子会社設立要件の用意を」

民主労総全国公共運輸労組と正義党の李貞味(イ・ジョンミ)議員は8月30日午後、 国会議員会館で「公共部門子会社、争点と解決法」の討論会を開いた。 問題提起をした韓国非正規労働センターのナム・ウグン政策委員は、 子会社を検討するためには厳格な要件を用意すべきだと強調した。 「子会社は用役とあまり違わない間接雇用でしかない」、 「間接雇用の規模が大きいので、子会社方式で行くほかはない」というようなの白黒論理式判断は、 消耗的な論争に続きかねず、子会社方式に対する一定の論理的基準を用意しなければならないという説明だ。

ナム・ウグン政策委員は、政府が発表した子会社方式に関するガイドラインはとても曖昧だとし、 政府が追加的な基準を樹立することが必要だと要求した。 現在の子会社方式は、元請が法的責任を負担しない構造だ。 そのため使用者責任を避けるための間接的雇用方式だという批判も強い。 ナム委員はこのような議論が偽装請負や不法派遣に帰結するとし、 子会社方式を可能にするには事業経営上、業務遂行上の独立性を持つなど、 既存の間接雇用の法理から自由でなければならないという点を強調した。

合わせて経営の専門性と効率性を確保するために、 事業領域別に分社(スピンオフ)に準じる事業調整を検討すべきだと明らかにした。 間接雇用の人員だけで子会社を構成するのではなく、 事業領域別に正規職組織も子会社に所属を移す方式だ。 ナム委員は「例えば仁川空港の場合、 施設管理用役業務を子会社形態に転換するのなら、 公社の施設本部に所属する正規職も入れて施設管理専門の子会社としての運営体制を整える方式が妥当だろう」とし 「いわゆる専門経営のための分社化を子会社方式と混合するもの」と説明した。

何よりも「子会社正規職化」に意味を持たせるには、 実質的な労働権が保障されなければならないという要求も強い。 ナム委員は、 △賃金、福祉において適正な水準を保障、 △同種の類似業務の正規職との差別ない労働条件保障、 △安定した雇用保障、 △労働組合活動保障、労働者経営参加などの企業文化造成などをはじめ、 団体交渉の実質的保障が重要な問題だと強調した。 彼は「政府が子会社方式を検討する核心理由は『職務給適用』のため」とし 「こうした人件費の憂慮により、 子会社という迂回的な方式を試みるのは問題をさらに複雑にするものであり望ましくない」と指摘した。

雇用労働部はこの日の討論会で、子会社方式は避けられないという点を繰り返し強調した。 雇用労働部のクォン・グヒョン公共機関労使関係課長は 「政府の正規職化対策は、正規職と用役業者など多様な利害関係がからんでいる。 国民も憂慮している」とし 「このような多様な利害関係を十分に考慮すると、子会社方式は避けられないという立場だ。 ただし、用役会社のような子会社モデルではないことは明らかだ」と説明した。 子会社設立原則が曖昧だという指摘に対しては 「コンサルティングチームで適切なモデルを検討している」とし 「(子会社モデルを用意した後)労働界から意見を収斂する過程を経る」と明らかにした。

相変らず非正規職の身分から脱出できない「子会社正規職」

労働界は当事者との十分な協議がない現在の子会社転換方式は、 もうひとつの間接雇用の量産に帰結すると声を高めている。 初めは賃金などを一定部分保障する形の子会社が設立されても、 結局人件費節減を試みて差別が固定するという説明だ。 こうした事例は、鉄道公社の子会社モデルが代表的だ。 鉄道労組のキム・ヨンジュン組織局長は 「鉄道庁は2005年の鉄道公社転換の前、退職官僚の役職を確保するために17の子会社を設立したが、すべてつぶれた」とし 「その後、5つの子会社に再編する過程で、赤字を埋めるために用役業務を切り離した。 現在、駅内の売店運営を独占するコレイル流通を除くと、 独自の事業領域と収益構造を作れず、鉄道公社の下請業務を遂行している」と批判した。

実際に鉄道子会社のうちコレイルネットワークスは鉄道公社が払う人件費の全額を用役労働者に支払わず、 これを通じて年40億程度の経営黒字を達成したという。 コレイル観光開発もKTX女性乗務員用役事業で赤字事業を埋めている。 子会社の外注、用役労働者たちは、鉄道公社正規職と同一業務に従事しているのに 労働時間、賃金、雇用安定などで相当な差別待遇を受けている。

キム・ヨンジュン組織局長は 「2006年、鉄道公社はKTX女性乗務員の子会社転換を進めるにあたり、 賃上げなど多くの処遇改善があると宣伝した」とし 「だが10年経った今、当時子会社に転換されたKTX女性乗務員120人のうち30人しか残っていない。 2007年序盤は労働条件が良かったが、着実に賃金凍結などを試みて、 労働条件が悪化してきた」と強調した。 続いて「雇用の安定と処遇改善など、全てを一気に解決できないということには共感する」とし 「だが子会社構造が労働者の処遇を段階的に改善する方案ではない」と釘をさした。

子会社設立が構造調整や人件費負担緩和の目的に合わされれば、労働者の劣悪な労働条件は変わらない。 今までの子会社方式の正規職転換事例がそうだ。 都市鉄道ENGや郵便局施設管理団は、構造調整の目的で子会社を設立したために深刻な雇用不安と賃金差別が蔓延している。 郵便局施設管理団支部のパク・ジョンソク支部長は 「施設管理団の用役労働者と郵政事業本部の公務員は全く同じ仕事をしても、 月給には4倍以上の差が出る。 施設管理団の中でも正規職に比べ、無期契約職の賃金は37%水準」とし 「事実上、郵便局施設管理団は不法派遣用役業者でしかなく、 元請の経営環境に直接影響されるため毎年雇用不安にも苦しんでいる」と明らかにした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-09-03 18:57:58 / Last modified on 2017-09-03 18:58:01 Copyright: Default

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