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文在寅政府の対北朝鮮政策、どんな選択をするのか

[ワーカーズ]朝鮮半島

ペ・ソンイン(韓神大) 2017.07.18 11:35

[出処:共に民主党]

質的変化がない韓米関係

文在寅(ムン・ジェイン)大統領の初の韓米首脳会談は成功的だったという評価をあざ笑うかのように、 北朝鮮はICBM「火星-14型」の発射で応じ、問題の本質を再度確認させた。 それは北朝鮮に対する「対北朝鮮敵対視政策」を撤回し、体制を保障してくれということだ。 北朝鮮のミサイルと核問題は、北朝鮮だけの問題ではなく、世界的水準の核軍縮問題に拡張する余地を残した。 これ以上、北朝鮮崩壊論や金正恩(キム・ジョンウン)斬首作戦など、北朝鮮を刺激する戦略を駆使するなという信号だ。 北朝鮮は相変らず20余年前の苦難の行軍スローガン、 「行く手は険しくても笑いながら行く」という原則から抜け出したことがない。 北朝鮮は自分が決めた道を自分が定めた原則によって進む。

このような北朝鮮の態度をめぐり、米国は北朝鮮に原油の供給を制限する超強力な制裁を決議し、国際社会とともに対応していくという。 北朝鮮が核-ミサイル開発の野心を放棄するまで、対北朝鮮制裁と圧力を続けるという立場だ。 米国も北朝鮮と同じように「われわれはわれわれの道を行く」と公言している。 北朝鮮も米国もどちらも同じパターンを演出し、一寸の譲歩もない。

これは韓米首脳会談とベルリン構想で標榜した文在寅政府の対北朝鮮構想が修正-補完されることを意味する。 今回の韓米首脳会談は、米国優先主義(America First)を打ち出したトランプ行政府が韓米関係に対する質的な変化を要求しているという憂慮(?)される状況と、 文在寅政府の発足による期待が交差しながら開催された会談だった。 文在寅政府には大きな負担だが、韓米同盟を確認することが核心の課題だった。 しかしトランプ行政府は共同議題の北朝鮮の核問題と実益に基盤をおく韓米自由貿易協定の再協議に焦点を合わせたと見られる。 韓米共同声明には、(1)韓米同盟強化、(2)対北朝鮮政策協調、(3)経済成長促進ための公正な貿易、(4)その他の経済分野の協力強化、(5)グローバル・パートナーとしての積極的な協調、(6)同盟の未来についての内容が含まれた(京郷新聞、2017.7.3.)。

予想通り、北朝鮮の核とミサイルの威嚇に対する認識と対応の方式で共感を形成した。 両国大統領の初の出会いだったために意見の差を出しにくい状況なので当然の結果であった。 オバマ政権の「戦略的忍耐」は、北朝鮮のミサイル発射と核実験につながり、それによって失敗で評価した。 それでトランプは韓国が国際社会の対北朝鮮圧迫に参加せよと強調し、 文在寅政府は制裁と対話を併行した北朝鮮の核問題の解決を選択するだろうから、これも大きな意見の差はなかった。 文在寅政府が最大の成果にあげるのは、朝鮮半島問題に対する韓国の主導権を確認したことだった。 平和的方式の朝鮮半島の非核化に対する合意は、戦争の雰囲気を造成する一連の流れを遮断するという点で意味がある。

だが「首脳会談の名に失敗はない」という言葉のように、初の首脳会談がほとんど失敗したことがないという前例を考慮すれば、過度に評価するのは難しい。 初の首脳会談なので質的な変化までは期待しないが、相変らず既存の非対称的な関係から決して抜け出せない会談だった。 一部のマスコミの評価を見れば「初の関門を無難に通過した」という表現を使っていたが、 外交関係はオーディション番組でもないのにそんな表現は自発的な屈従でしかない深刻な問題だ。

その上、韓米共同宣言文の主要内容を確認すればわかるように、 曖昧で不確実な問題が散在している。 制裁を通じて対話に引き込むという矛盾した構想が、現実的に可能なのかは懐疑的だ。 米国との直接の対話を望みながら、核の議題は文在寅政府ではなく、 トランプ行政府との核心議題であり、 THAAD配置に対する手続的な利害を共有する状態では韓国の主導権行使は曖昧だ。

一歩進んだベルリン構想

こうした曖昧性と不確実性、そして北朝鮮のICBM発射を意識したかのように、 7月6日に文在寅大統領はドイツのベルリンで「朝鮮半島平和構想」を発表し、 対北朝鮮政策の原則とビジョンを提示した。 今回発表した構想では対北朝鮮政策3原則として、 対北朝鮮敵対政策、北朝鮮政権の交替と崩壊、人為的な統一の加速などを追求しないことを公式化した。

そして「5大政策方向」として平和優先、体制保障の非核化、恒久的平和体制の構築、朝鮮半島新経済地図、交流協力の持続推進などを、 そしてこれを実行するロードマップとして「4大実践課題」を公開した。 いわゆる「簡単なことから始める」という先易後難の処理方式で、 離散家族の対面と墓まいり、北朝鮮の平昌冬季オリンピックへの参加、 DMZでの敵対行為の中止、南北対話の再開などだ。

曖昧な韓米共同宣言文より一歩進んだ内容を含んでいる。 特に、歴代大統領の中で初めて言及した「平和協定の締結」は、 文在寅政府の対北朝鮮政策の原則と意志を確認できる重要な方向として大きな意味がある。

だが問題解決の方式は過去と同じパターンを維持しており、糸口が見えない。 韓国の積極的な南北対話再開意志の表明に対する北朝鮮の反応はまだ冷たい。 北朝鮮は核-ミサイル開発を続ける意を明確にし、 核保有国の地位に基づいて対話をするという立場を明らかにしており、 当分はスポーツなどの民間交流協力や対話には応じないだろう。

だが米国は7月11日(現地時間)、アラスカで実施されたTHAADによる中距離弾道ミサイル(IRBM)初の迎撃試験により、 THAAD配置の必要性を実証的に立証することに力を注いている。 国内政界の一角では、相変らず「THAAD配置無用論」が提起されることへの対応だと解説される。 これは北朝鮮の核問題に対する出口戦略も用意できないトランプ行政府の無能を語るものだ。

いかなる選択をするべきか

では何をどのようにするべきか。 現在、米国が進めている対北朝鮮制裁は、中国の協力がカギであることを国際社会のすべての国が知っている。 だが米国は中国が拒否権を行使しても知るところではないという態勢だ。 中国の反対で対北朝鮮制裁決議案の採択が失敗に終われば、米国は「セカンダリーボイコット」を含む独自制裁に着手して、 中国も制裁対象に含めるという「宣戦布告」をした。 これは北朝鮮の核問題を含む東北アジア情勢をさらに緊張させ、複雑にするだけだ。 米中が妥協点を見つけられずに衝突すれば、その余波は韓国を直撃することになる。

したがって制裁と対話を併行しながら平和的な方法で朝鮮半島の非核化を実現し、 さらに朝鮮半島に恒久的平和を定着させるという文在寅政府の対北朝鮮政策と構想は、 「米中衝突」の状況では立つ場所がない。 米国は北核問題の最高責任国家であり、根本的に解決することができる国だ。 中国に責任を転嫁する消極的態度を捨てて米国が直接動くべきだ。 米国が軍事的オプションと人為的な政権交代を放棄したとすれば、 それにふさわしい新しい接近法を示さなければならない。 今、一番必要なことは、米朝対話だ。 過去のような方式ではなく、北朝鮮とアメリカの敵対関係を根本的に解決する大胆な構想と提案が必要だ。

中国とロシアが提示した「ダブル中断(北朝鮮の核凍結と韓米連合訓練の中断)」は問題を解決できる新しい試みだったが、 米国が対等交換の対象ではないと線を引いてしまった。 北朝鮮が核凍結から廃棄までの段階別非核化プログラムを受け入れれば、 これに対応する米国の体制保障が提供されるべきだが、 トランプは核凍結の段階での補償は絶対に無いという立場だ。 トランプ政権がオバマ政権の前てつを踏みたくなければ、大胆な政策的変化が先行しなければならない。 今からでも凍結に先立ち、猶予の条件を検討して、不能化を凍結の最終形態ではなく非核化の出発点としなければならない。 北核問題に最大の責任がある米国が代案を出さず、現実的な接近法を握りつぶすのであれば、結局は自縄自縛になる。

まさにこの点で、文在寅政府の主導権を発揮しなければならない。 トランプ政権に米朝直接対話と代案の提示を要求しなければならない。 先日問題になったムン・ジョンイン外交安保特別補佐官の発言はその開始だったが、機会を失った。 だがもうひとつの機会はいくらでも作ることができる。 北朝鮮の安保問題をまず解決しなければ、南北対話も遅れるだろうし、 現実性のある対北朝鮮提案を8.15光復節を期して提案しなければならない。 それも北朝鮮の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)に対する大胆かつ水準が高いメッセージが必要だ。 必要なら南北特使会談も考慮しなければならない。

南北対話を通じて北朝鮮を説得し、その内容を持って米国、中国、日本を説得し、主導権を確保していく必要がある。 これらの国の共同目標は北朝鮮の変化と朝鮮半島の非核化であれば、 その目標とビジョンを共有して北朝鮮との話し合いの結果で持って文在寅政府が 積極的に中国、米国、日本に具体的な状況についての要求を提示しなければならない。 こうした目標は結局、朝鮮半島の平和体制と直結し、韓国の民衆にとって重要な課題だ。 今や韓米同盟の慣性では平和と安全を守ることはできない。 果たして文在寅政府はいかなる選択をするのだろうか?[ワーカーズ33号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-07-20 08:09:24 / Last modified on 2017-07-20 08:09:27 Copyright: Default

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