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【ルポ】韓国サンケン解雇労働者の慶南希望行進同行記

追い出されるわけにはいかないので雨に降られる

17.02.22 19:00 チョン・ヨンヒョン(andiba)

▲私たちの希望が見られます韓国サンケン労働者たちが希望行進の間に記者会見を準備している(c)チョン・ヨンヒョン

「やあ、雨が降ってきた。皿洗いの水を貯めておけ」
韓国サンケン労働者たちのテントは22日の朝から忙しい。 2月20日から慶南地方労働委員会の復職判定履行を要求する韓国サンケン労働者たちの慶南希望デモ行進、三日目だからだ。 韓国サンケン労働者たちは、朝から降る雨で「行進」にとっては悪条件だったが、 降る雨も味方にして生活する労働者たちだった。

テント座り込み169日目、われわれは慶南希望デモ行進を始めた

韓国サンケンの労働者たちが路頭に追い出されたのは昨年の10月1日。 使用者側は昨年の2月から経営上の理由をあげて生産ライン閉鎖し、生産職全職員の解雇を予告した。 また使用者側は整理解雇した生産職の仕事を外注に出すと言った。 つまり34人の正規職生産社員を解雇した後、その仕事を非正規職だけで運営するということだ。

韓国サンケン労働者の時計は解雇の日から止まっている。 朝、会社に出勤する代わりに街頭に出勤し、 韓国サンケン本社であるサンケン電気がある日本に遠征闘争にも行き、 韓国サンケンの営業所があるソウルへの上京闘争も続けている。 日本企業である韓国サンケンの解雇は不当だと主張するために、 日本大使館と領事館も訪問した。

昨年12月にはうれしい知らせもあった。 慶南地方労働委員会が韓国サンケンの整理解雇を「不当解雇」と判定し、30日以内の元職復帰を命令した。 だが使用者側は不当解雇についての労働者たちの交渉の要求を受け入れるどころか、 中央労働委員会に抗告して「不当解雇」と判定された労働者を路頭に放置した。

▲希望デモ行進三日目の朝から出勤宣伝戦を始めた韓国サンケン労働者(c)チョン・ヨンヒョン

テント座り込み169日目。 韓国サンケン労働者たちの時間だ。 生活の共同体になったテント座込場は、いつしか家になり、道路は作業場になった。 使用者側の中央労働委員会への抗告以後、労働者たちはじっとしていられなかった。 不当解雇判定を無視する日本企業の不当性を慶南道民に知らせたかった。 そして現場に復帰したかった。 彼らはに2月20日から 「韓国サンケン整理解雇撤回! 食い逃げ外資企業規制法案用意! 日本軍慰安婦謝罪賠償要求! 慶南希望デモ行進」を続けている。 22日は韓国サンケンの労働者たちが晋州に向かう日だった。

生産ラインは閉鎖されたのではありませんか?

労働者たちは慶南希望行進を始める前、横断幕と宣伝物を揃えるために忙しかった。 その時だった。 小型トラックが労働者たちを横切って会社の駐車場に向かった。 「全生産職を解雇した工場から製品が出て行くはずがないのに、なぜトラック?」という問いに、 全国金属労組韓国サンケン支会のヤン・ソンモ支会長は苦々しい表情でその理由を説明した。

「いつもトラックが行き来します。 ある時はコンテナも入ってきて、大型トラックも入ってきて、製品を運んでいきます」

会社は生産ラインの閉鎖などを理由として生産職全社員を解雇したが、 実際には製品は生産されているというのだ。 これは昨年12月、使用者側が貸りていたKTT工場からも大量の製品が搬出されて確認された。 ヤン・ソンモ支会長は使用者側のこうした態度を見て、整理解雇を「労組破壊のための不当解雇」だと認識している。 実際に使用者側から解雇された生産職全員は、全国金属労働組合に所属する組合員で、 韓国サンケンがある馬山輸出自由貿易地域で最後に残った金属労組の組合員だ。 その他の民主労総所属の事業場は資本撤収などで消え、組合員たちはちりぢりに散った。

▲労働者はやはり一つだ。記者会見場でヤン・ソンモ韓国サンケン支会長(c)チョン・ヨンヒョン

ヤン・ソンモ支会長は苦々しい表情でトラックをながめ、トラックは希望行進を準備する組合員たちの前を横切って視野から消えた。 使用者側が慶南地方労働委員会の判定を受け入れれば、 トラックには現場労働者が生産した製品が積まれて行かなければならない。 だが労働者たちは製品ではなく横断幕とプラカード、広報物などを車にのせた。

「疲れても嬉しい」

▲労働者たちが一緒にいるから。韓国サンケン労働者たちがIS東西支会長と元職復帰の決意を新たにした(c)チョン・ヨンヒョン

晋州に到着した。 晋州市庁を訪れた労働者たちは、全国公務員労働組合晋州市支部に行った。 この日、晋州市庁で記者会見を開くからだ。 3日目に入った希望行進についての所感を聞いた。 イ・ジョンヒ組合員は「疲れても嬉しい」という、理解が難しい返事を聞かせてくれた。 「疲れているのに嬉しいこともあるのだろうか?」という原初的な疑問があったが、すぐその理由が分かった。

「この2日間、釜山、梁山、金海をまわりましたが、足を止めて説明をしてくれと要求する市民の方々がいて、 説明を聞いた人たちは必ず署名(整理解雇撤回要求書名)をしてくれました。 以前、日本で長く暮らしていたというあるお年寄りは、 日本人は根性があるから整理解雇撤回までは苦しいかもしれないが、 自分が変わり世の中が変わるように、勝てるだろうと応援もしてくれました。 人々と会って応援を聞くと自ずと力がわいてきます」

やはり人は人から力をもらうものだ。 169日という長い間だが、韓国サンケンの労働者たちは相変らず関心と応援から疎外されていた。 数え切れない整理解雇と労使紛糾の中で、34人の整理解雇は見方を変えれば小さな状況だ。 だが韓国サンケンは34人全員の暮らしがかかる職場だったから、職場を解雇されるということは人生を左右する一大事だ。 だから韓国サンケンの労働者たちにとっては、もっと大きな関心と応援が必要だったし、 韓国サンケンの労働者たちは希望行進を通じて市民の支持を受けていた。

もちろん苦しいこともある。 ほとんどの労働者が老父母の健康の心配をしなければならない年だった。 解雇期間にある親はガンの判定を受けた。 子供も問題だ。 ある人の子供は大学に入学し、ある人の子供は小学校に入学した。 老父母の扶養と子供の扶養まで責任を持たなければならない年齢帯の韓国サンケン労働者たちが闘争を続けるのは決して容易なことではなかった。

「この地域にいる多くの労働者たちが私たちを助けてくれています。 事実、一面識もなくても同じ労働者だという理由でとても助けを受けています」

▲解雇者が解雇者に晋州医療院解雇労働者たちが少しずつ集めて貯めた基金を韓国サンケン支会に渡した(c)チョン・ヨンヒョン

ヤン・ソンモ支会長は、すべての労働者が難しい状況でも、 韓国サンケン労働者の状況に共感して助けてくれる部分に感謝を表わした。 こうした助けがあったから、彼らはこの日まで戦うことができた。 この日、晋州医療院の解雇労働者も慶南希望行進に参加した。 彼らは自分たちも解雇されて難しい状況で、少しずつ寄付を集めて貯めた作った闘争基金を渡した。 それだけではない。 慶南希望行進をしている間、暁星重工業の労働者たちが少額寄付でキムチと水、ラーメンを寄付してくれたという知らせもあった。

▲雨が降ってもする。韓国サンケン希望行進団が雨の日に昼食宣伝戦に出た(c)チョン・ヨンヒョン

▲私たち話を聞いてください。韓国サンケン労働者たちが自分の状況を書いた宣伝物を配るために、チラシを一枚ずつ指にはさんだ(c)チョン・ヨンヒョン

どこにも闘争する労働者はいた

晋州地域は昌原地域と違い、大規模な工団があるわけでもない。 だから労使紛糾も少ないだろうと考えた。 だが誤算だった。 この日の慶南希望行進には地域で闘争する仲間たちが合流した。

全国公務員労組晋州市支部はまさにこの日、イ・チャンヒ晋州市長糾弾大会を準備していた。 支部はイ・チャンヒ市長が 「公務員総決起参加脅迫、人事原則廃棄、労使合意事項無視、御用労組背後調整」を理由に糾弾している。

三星交通の労働者たちも参加した。 三星交通は労働者の自主管理企業だが、 山間僻地路線に対する市の運送原価補償が非常に少ないため、 三星交通の労働者は構造調整と賃金カットを甘受しなければならない状況を糾弾するために 韓国サンケンの労働者たちが晋州に来たこの日、晋州市庁前にテント座込場を設置した。

3年間闘争しているアセアセラテクの労働者たちもいた。 アセアセラテク支会のカン・チャンホ支会長は 「サンケンを見るだけで涙が出る。 労働組合を作ったという理由で使用者側が偽装廃業を断行した。 地方労働委員会は偽装廃業だと判定したが、使用者側は偽装廃業を撤回せず今まで続けている」と批判した。 アセアセラテクは韓国で唯一、耐火レンガを生産する企業体で、赤字は一回もなかったのに労組が設立された後に廃業を一方的に通知した。 現在、アセアセラテク支会は少数の組合員だけが残って闘争を続けている。

「くやしいので、このままでは出ていかない」と口癖のように話す韓国サンケンの労働者たちと 3年間闘争を続けているアセアセラティクの仲間たちの状況は特に違わなかった。

韓国の労働者を守ってくれる法を制定してください

▲外資企業規制法案が必要だと朴大出議員事務室を訪れた慶南希望行進団が補佐官に状況を説明している。(c)チョン・ヨンヒョン

韓国サンケンの労働者たちはこの日、労働者たちだけでなく、 地域の国会議員事務室も訪れた。 金在庚(キム・ジェヨン)国会議員、朴大出(パク・テチュル)国会議員、余尚奎(ヨ・サンギュ)国会議員の事務室をそれぞれ訪れた。 ここで韓国サンケンの労働者たちは、国会議員の日本本社訪問、日本本社抗議文書発送、整理解雇撤回署名を要請した。

残念なことに、どこの事務室にも国会議員はいなかった。 だが国会議員事務室の補佐官や事務局長が労働者たちを迎えた。 すべての国会議員事務室の関係者は韓国サンケンの労働者たちの状況を傾聴し、 国会議員に伝えると約束した。

余尚奎国会議員室のイ・ジョンボム事務局長(泗川市会議員)は 「残念だと思います。法案発議のためには党論を定めることが必要で、 外国企業規制に関しては党論採択を建議しており、 議論するという回答を受けました」と述べ、 外資企業に関する法案に意欲的な姿を見せた。 朴大出国会議員室の補佐官も 「韓国サンケンの内容は前から知っていました。 皆さんの声を十分に伝えます」と明らかにした。

韓国サンケンは40余年間、馬山輸出自由貿易地域で外資企業に対する各種の恩恵を享受しながら成長した。 それにもかかわらず、韓国の法的機関である地方労働委員会の判定を無視するのはまったくおかしいと労働者たちは主張している。 実際に外国企業の労働者を保護する法案は現在のところ何もない状況で、 外国企業が資本を撤収すれば韓国の労働者たちは特別な解決策もなく解雇に直面した。

▲外資企業規制法案が必要だと余尚奎議員事務室を訪れた慶南希望行進団が事務局長に状況を説明している。(c)チョン・ヨンヒョン

希望は私たちが作る

この日、晋州と沙川地域を巡回した労働者たちは、 IS東西を訪れて宣伝戦を行い、晋州市支部集会に合流して韓国サンケンの状況を知らせた。

数か月の路上生活で疲れてはいたが、彼らは移動する間はおしゃべりに花を咲かせていた。 使用者側による中央労働委員会への抗告で労働者たちの元職復帰は少し遠ざかったかもしれないとはいえ、 労働者たちの表情は「元職復帰」への希望でいっぱいだった。

彼らは慶南希望行進を始めるにあたり、 「冬に耐え抜いて春を迎えるように、希望の新芽を咲かせる希望行進を始める」と明らかにした。 3日目になった労働者の希望の歩みが元職復帰という実を結ぶことを期待したい。

原文(OhmyNews)

無断翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2017-02-23 21:48:44 / Last modified on 2017-02-23 21:50:55 Copyright: Default

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