本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:韓中FTA、農産物市場の大崩壊を予告
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1448935054289St...
Status: published
View


韓中FTA、農産物市場の大崩壊を予告

「以前と違う次元で農産物市場の崩壊を持たらす」

チョン・ヒョンジン記者 2015.11.30 17:01

11月30日、韓中FTA批准同意案が処理される予定だが、 農民団体のカトリック農民会と全国農民会総連盟が国会前で記者会見を行い、 韓中FTA批准処理中断を要求した。

与野の院内指導部は11月29日、深夜の交渉で批准同意案処理に暫定的に合意し、 30日午後2時に国会本委員会が開催されるまで、交渉のための終盤の調整を続けている。 与野は韓中FTAによる農業被害対策として被害保全直払制保全の割合を90パーセントから95パーセントに引き上げる、 畑農業固定直払金を現在の1ヘクタール当たり25万ウォンから40万ウォンに引き上げる、 被害農漁民の支援基金を今後10年間で1兆ウォン造成するなどに合意した。

しかし、こうした被害対策に対して農民団体は対策とは言えないという立場で、 正義党は被害農漁民支援基金1兆ウォンは 「貿易協定による利益共有の制度化ではなく、 輸出企業の自発的な寄付による基金造成で、実効性に大きな疑問を感じる」という立場だ。

韓中FTAによる農業被害額は、農林畜産食品部の算定では1兆4174億ウォンだ。 韓中FTAで韓国が譲歩した農産物品目は1611品目で、 20年以内に関税が撤廃される品目は1030品目。 具体的には牛、鴨、豚などの畜産品目をはじめ、 キャベツの種子、大根の種子、果実類、桔梗、野菜類、キムチ、ワラビ、エゴマ、松茸、ゴマ、大豆とその加工品だ。

▲2013年の全国農民大会。農民は何年も同じ要求を叫んでいるのに誰も耳を傾けないとし、「私たちが本当にこの国の国民か?」と尋ねた。[出処:チグミョギ チョン・ヒョンジン記者]

「韓中FTAは以前とは違う次元で農産物市場の崩壊を持たらす」

元農林部長官のキム・ソンフン経実連消費者正義センター代表(アウグスティノ)は 「韓中FTAは農産物市場開放の完結版になるだろう」とし、 これまでに締結された50ほどのFTAとは次元が違うと警告した。

彼は、中国は韓国は食習慣や気候が似た農業大国だとし、 「中国に市場が開放されれば、なんとか粘っていた薬草、桔梗とワラビのようなナムル、薬味など、 西洋の市場が関心を持たない部分がすべて開放される」と憂慮した。 特に農民団体が畑作物の被害補償を要求し、ヘクタール当たり40万ウォン以上を要求しているのもこうした理由だ。

キム・ソンフン代表は、韓中FTA以後2050年までに全てが終わるとし、 今すぐ現れる結果ではないので認識できないが何年にもわたり徐々に進み、 韓国の農村経済と食物は「大破滅」するとし、 その時になれば国民の食品の安全はどこも保証しないと声を高めた。

「生命と平和の働き手ペク・ナムギ農民の快癒と国家暴力糾弾汎国民対策委員会」を設置した全国の農民団体の代表者たちは、すでに韓中FTA以前に農村経済と農民の暮らしは数十年間で破綻に達したとし、 韓中FTAを批准する前にはっきりとした被害対策を用意し、農業政策の根本的な変化を要求するという立場だ。

「いくらでも良いから米を買ってくれと頼んでいるのが農民の現実」

全国農民会総連盟のキム・ヨンホ議長は「カトリックニュース・チグミョギ」に対し農村・農民政策はこの30年間 「経済発展のために農民が犠牲になってくれと言うこと」だったとし、 「あといくら犠牲にするのか。 今は農業のために携帯電話、自動車事業が譲歩すべき時」だと声を高めた。

キム議長は、生活のためにハウス一棟を作ったところ、仕事と借金が増えただけというのが農民の状況だとし、 農業政策は一日や二日、政策一本、二本の問題ではなく、 総体的にひっくり返さなければいけないと強調し、 「農民が生産した農産物に適正価格をつけられず、 むしろ米価は基本生産費にもならない。 これは自国の政府による収奪であり搾取」だと話した。

キム・ヨンホ議長は、農民だけを助けてくれいうのではなく、 農民が最低の暮らしでもできるように、 安全に農作業ができるようにしてくれと呼び掛けているのだとし、 「経済を救うためにというが、実際に農村を守り、農村経済が蘇らなければ経済は生き返らない」と話した。

「農民にただ辛抱して暮らすか、農作業を放棄しろということ」

全国女性農民会総連合のキム・ジョンヨル事務総長(アンナ)は11月14日に農民が叫んだことも「生存権保障」であり、 長い間、農民と農村を軽視してきた総体的な問題に対して農民の心で立ち上がったとし、 「よほどのことがなければ、高齢の農民がソウルまで来ない。 農民はできれば辛抱して暮らしたいという人々」だと難しい状況を述べた。

キム事務総長は、今年の米価が14万ウォン(80キログラム)まで下がったが、 来年にはさらに大変なことになると言う。 彼は現在の在庫135万トンが消費されない状況で40万9000トンの輸入が続き、 消費が減っても食用米まで輸入されるからだとため息をついた。 米価15万ウォンは、農民が要求している23万ウォンにも達しないばかりか、 3年前の17万ウォンと比べても低い価格だ。 その上に23万ウォンも米生産費損益分岐点の最低の金額だ。

11月14日に農民が叫んだスローガンは 「食用米輸入禁止。国民にヒ素混じりの米は食べさせられない」であった。

政府は今年の1月から輸入米関税化の猶予を先送りすることはできないとし、 関税513パーセントを決めて米を完全開放した。 1994年のウルグアイラウンド交渉で農産物市場開放に合意し、 1994年と2004年の二回にわたり関税化を延期した。 延期の代価として米を義務輸入することになり、 2004年の延期延長による米輸入量は40万9000トンだった。

しかし関税化の後にも義務輸入物量は維持される。 これまでの輸入米物量の中で、加工用と食用は7対3の割合だったが、 関税化の後は用途区分規定が廃止され、加工用米も輸入できるが政府は今年も食用米を3万トン輸入した。

関税率513パーセントについて政府は、周辺国が異議を提起して関税引き下げの要求や、 食用米の義務輸入の要求について口実を与えないためと説明する。

輸入米問題は、消費量と国内米価の問題もあるが、国民の健康の問題と直結する。 輸入米に含まれるヒ素成分のためだ。 食薬処が定めたヒ素基準は環境部危険基準の2倍、 発癌危険率も最高基準の9倍、 米国が判断する危険基準の2倍以上だ。

キム・ジョンヨル事務総長は 「私が、われわれ農民が、この政府の保護を受ける国民なのか訊ねたい。 国家を放棄しなければならないのか、農作業を放棄しなければならないか」とし、 「私たちが食べるご飯を誰が生産したのか、一回でも考えてほしい。 食卓が輸入農産物だらけにならないことを望むのなら、 農民がすべて消えることを望まないのなら、 国民が農民を守ってくれることを切実に望む」と話した。

「農民の危機は国民の食卓の危機だ」

カトリック農民会のチョン・ヒョンチャン会長(ミカエル)も 「すでに農民はするべき農作業がない」とし、 「米価安定化のために食用米ぐらいは輸入しないということ、 基礎農産物ぐらいは買入制にしろというのが私たちの要求」と話した。

チョン会長は「農民は国民の母と同じだ」とし、 「米農作業が崩壊すれば農民だけでなく、ご飯を食べるすべての人も安全な食べ物を保証されない。 国民が健康を守りたいのなら、頼むからこの国の農業を守ってくれ」と訴えた。

▲11月27日、ソウル大病院前の対策委テントに集まり懇談会を開いた後にシュプレヒコールをあげる農民代表. [出処:チグミョギ チョン・ヒョンジン記者]

「殺さないでほしいと叫ぶ農民が暴力集団とは有り得ない」

一方、農民たちはペク・ナムギ農民に対する警察の殺人的鎮圧に対する謝罪、 責任者の処罰、農業対策などを要求し、また12月5日に上京して戦う方針だ。 警察は現在、11月14日の集会は暴力集会だったとし、 その責任を問い農民団体の代表者たちに被疑者召喚状を発行した状態だ。

農民団体の代表らは、農民は当然暴力を行使したことはないとし、 「政府の暴力的政策に抵抗して叫んだのに、逆に公権力が2次暴力を加えた」とし、 政府の態度こそ「居直り」だと批判した。

ペク・ナムギ農民と会うためにソウル大病院を訪問した姜基甲(カン・ギカプ)前議員(ロベルト)はこれに対し、 「暮らそうとする農民の絶叫を鎮圧するのは、 痛みを訴えるからだに麻酔剤を使うようなものだ。 生きたいともがく農民に殺人的暴力を加えるのはありえない」と話した。 (記事提携=いまここ(チグミョギ))

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-12-01 10:57:34 / Last modified on 2015-12-01 10:57:34 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について