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大規模産業構造調整の信号弾になった大宇造船事態

[ソーシャルパワー]大宇造船労組の無スト受け入れが語ること

ソン・ミョングァン(チャムセサン研究所(準)) 2015.11.02 15:38

産業銀行改編と国有企業の迅速売却

今年、深刻な問題で経営危機に瀕している大宇造船に先週、4兆2千億ウォンもの大規模な資金支援が決定された。 新規の資金内容は、大株主の産業銀行が1兆ウォンの有償増資を行い、残る3兆2000億ウォンは産業銀行と輸出入銀行が半分ずつ支援することにした。 また、産業銀行は大宇造船海洋のこれまでの融資のうち1兆ウォンを出資転換することにし、支援k規模は総額5兆2000億ウォンと見ることもできると伝えられる。

ところでこの過程で、人員構造調整のために債権団が労組に「白紙同意書」に近い要求をしたことに批判が提起された。 産業銀行の構造調整本部長は10月29日、「直営人員1万3千人を順次さまざまな方法で整理することができる」とし、 「長期的には1万人以内に削減することを考慮している」と明らかにした。 資金支援の代価として「3000人の減員」という方針を公式に提起したのだ。 現在、大宇造船の直営人員は生産職約7千人、事務職約6千人だ。 3千人の減員は当初言われていた300人の10倍に達し、これが現実になると途方もない波紋を呼ぶものと予想される。

このような中で、保守マスコミは「持ち主のない企業」の失敗に言及し、 大宇造船のように公的資金が投入された国有企業の民営化を急げという論理を展開している。 特に、大株主であり、資金支援の責任を引き受けた産業銀行の役割への批判が提起されている。 それに加えて金融委員会は11月1日に産業銀行の「大手術」のための改編方案を発表した。 産業銀行が保有する118社の子会社を売り、また造船や海洋景気に敏感な産業支援を減らし、中堅企業の支援に集中すると明らかにした。 そして構造調整のため子会社管理委員会を新設し、構造調整業務を大幅強化するために人員を投入して組織を改編することにした。 また市場売却の過程で発生する問題について、役職員の免責を実施することにした。 そして年度別の売却実績を経営評価に反映することにした。 現在、産業銀行は377の子会社を保有している。 このうち15%以上を出資ししている非金融子会社は合計118社だが、帳簿価格では2兆3000億ウォンに達する。 政府はこのうち投資期間が5年以上の91社を3年内に集中的に売却する方針だ。

[出処:金融委員会]

だが産業銀行が保有している企業は構造調整の過程で都市銀行が敬遠する企業を一手に引き受けたもので、市場ですぐに売却するのは難しいところが多い。 そのため政府は売却対象企業の市場価格が当初の買収価格より低くても適正損失を反映した後、直ちに売却を推進するという意を迂回的に明らかにしている。 売却時の市場価格で売却する方針と役職員の免責方針がこれを裏付ける。

事実、これは不実売却、安値売却論議の余地がある事案に対し、あらかじめ攻勢的な売却を促すための先制的なガイドラインを提示したものだ。 損失の社会化が予想される部分だ。 産業銀行が抱え込んだほとんど子会社の業界状況は相変らず良くないうえ、どの程度の適正損失を反映させるのかについても内部的な基準がない。 実際に大宇造船は図体が大きく、業界状況も良くなくて、買収者を見つけるのは容易ではない。

製造業の構造調整が切迫

一方、これとともにすでに製造企業事業再編を支援する「企業活力向上特別法」が国会に提出されている。 この事業再編支援制度では、正常な企業が自発的に新しい成長事業への進出、重複する競争会社の統合、不振事業整理などを推進する時には買収合併(M&A)手続きを簡素化し、 税制支援、資金および事業革新支援、規制不確実性解消などを支援することにしている。

先日、サムスングループとハンファ・グループ間での石油化学、防衛産業分野の2兆ウォン台のビッグディールでも見られるように、製造業企業間の買収合併の流れがあった。 ところがこれは経営継承のために巨大資金が必要だったサムスンの特殊な利害が結びついていたのであり、一般的な流れと見るのは難しい。 そのため政府は銀行圏を通じ、11月から12月に大企業を対象に信用危険評価を実施し、 これを根拠として年末ぐらいに強力な不良企業および産業構造調整を推進する計画だ。 金融委員会はそのために10月13日に汎政府構造調整協議体を構成すると明らかにした (構造調整協議体の公式名称は「産業競争力強化および構造調整協議体」だ。 金融委員長主宰で企画財政部、産業通商資源部など造船・海運・建設などの脆弱産業に関連する主務部署の次官級、金融監督院の副院長、産業銀行・輸出入銀行などの国策銀行の副機関長で構成される)。

この構造調整協議体は、不良企業や産業に対する構造調整の全権を行使する。 情報共有はもちろん、銀行圏の与信審査制度の整備、企業構造調整促進法などの構造調整関連システムも扱う予定だ。 このように広範囲な権限を行使する理由は、個別企業ではなく産業全般の大きな枠組みで構造調整をしようとしているためだ。 金融委の関係者は「基幹産業および防衛産業は国家経済に与える影響を考慮して、 政府内の協議体で構造調整の推進方向を定め、 今回構造調整対象が決まれば債権銀行が債権回収に動く」と話した。 こうなると、不実の恐れがある景気敏感産業に対する金融圏全体の支援規模も減り、 恐らく半強制的に産業構造調整が進められるだろう。

問題は、この構造調整がコスト削減のための人員削減につながらざるを得ないという点だ。 世界的な景気低迷が続く状況で、相応の価格で資産を売却するのは容易ではないだろう。 そのために短期的にコスト削減効果をあげる方法として人員構造調整が活用されるだろう。 今回の大宇造船事態はこれを知らせる信号弾だというわけだ。 大宇造船の構造調整を筆頭として、サムスン重工業と現代重工が人員構造調整の方針を再度明らかにし、 サムスングループはグループ次元の系列会社再編と海外法人での人員構造調整に入ったと明らかにした。 政府の労働改革アジェンダとからみ、一般解雇要件を緩和する内容が立法化されると構造調整に翼をつけることになる。

このように、政府の主導で産業銀行を中心とする国有企業の売却と構造調整を実施し、 銀行圏の信用評価により企業への構造調整の圧迫をすることになるだろう。 そして、これは企業の水準を超え、産業全般の構造調整につながるだろう。 しかしこうした政府の構想が思い通りに進むかどうかは未知数だ。 今、問題になっている数兆円台の造船業種の不実事態で見られるように、 構造調整の規模は市場が耐えられる規模ではないからだ。 政府はサムスングループとハンファ・グループのビッグディールのように、 民間企業が自主的に判断して構造調整をしてほしいと期待しているのかもしれないが、 決して簡単にはなされないだろう。 そのため再編支援制度は不良企業だけを対象にするものではなく、正常なすべての企業を対象にしていると指摘されているのだ。

こうした中で、他方では構造調整と企業再生の名分で、労働に対する攻撃がさらに大きくなるだろう。 その先制措置として大宇造船労働組合の白旗投降を受け、労働者たちの予想される反発を初期に鎮圧しようとする。 賃金凍結、無罷業宣言、退職強要、整理解雇などなどが労働者に強要されるだろう。 これが労働改革という名分で何か月間、「青年売り飛ばし」をした現政権の企画作品だったことがますます明確になっている。[チャムセサン研究所(準)]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-11-08 22:47:06 / Last modified on 2015-11-08 22:47:08 Copyright: Default

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