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国会議員地方区増設、進歩陣営が動くのか?

[寄稿]進歩と保守すべて集まった忠南道牙山市

イ・ギョンス(民主労総世宗忠南本部指導委員) 2015.10.08 16:25

忠南道牙山市の国会議員選挙区を増やすための汎市民対策委が発足して活動している。 マスコミの報道によれば、牙山市にある276の組織が汎市民対策委に参加した。 正しい生活運動、自由総連盟、里・統長協議会などの政府系団体から、 民主労総牙山市委員会、農民会、牙山市民連帯などまで、 文字通り進歩と保守を合わせる巨大規模組織だ。 「牙山の市民なら誰もが牙山市の利益のために団結して排他的権利を要求しよう」という呼びかけに応じるもので、 ここまでくると新地域主義の登場だ。

国会議員の選挙区問題が政界と国民の関心事になった理由は、 昨年10月の憲法裁判所による現行選挙区の憲法不合致判決のためだ。 憲法裁判所は国会議員の選挙区別人口偏差を規定した公職選挙法条項が 「投票価値の平等性」という憲法の理念に反すると判断した。 現行の法条項のとおりなら、人口が少ない地方区で当選した議員の得票数よりも人口が多い地域で落選した候補の得票数の方が多いこともあるとし、 人口偏差を現行の3対1から2対1以下に下げることを勧告した。

今回の憲法裁判所の判決は、従来の国会議員選挙区制と較べてもっと民意を反映するための進歩的な決定であることは間違いない。 だが韓国が採択している小選挙区制(厳密には小選挙区制と比例代表制の混合)は、 有権者の意思を公正に反映する制度としては適当ではないという主張が多い。 例をあげてみよう。 一選挙区100人のうち40票を得てA候補が当選した。 落選した残りの候補に行使された60票は死票になった。 果たして多数は誰なのか?

釜山には18か所の選挙区がある。 19代総選挙で釜山市民のうち、地方区と比例代表でセヌリ党に投票した有権者は50%以内だった。 しかしセヌリ党は18議席のうち16議席の国会の議席を取った。 半分に達する有権者の権利が剥奪された。 憲法裁判所が正した(?)平等権よりはるかに深刻に有権者の権利を侵害しているのが「小選挙区制」という制度そのものにあるのだ。

また小選挙区制は、小数政党の政治的進出をかなり制約している。 死票心理が投票に反映されることにより、1位と2位の二大政党構造だけに固着する憂慮が大きい。 韓国の保守両党が平常時は多くの有権者から非難されても、選挙ではほとんどすべての権力を独占(議席獲得)できるのも、小選挙区制の影響が絶対的だと見られる。 したがって、進歩陣営の立場としては、制度政治に進出しようとするのなら選挙制度を変える努力が何よりも優先されなければならない。

今回の憲法裁判所の判決がこうした運動を繰り広げる機会を提供したにもかかわらず、 進歩政党をはじめとする進歩運動陣営は、これを活用することに失敗した。 少なくともこの問題が国会の外で公正に議論され、「ドイツ式比例代表制」ではなくても比例代表の拡大や「地域別比例代表制」の導入などを貫徹させていればという惜しみがある。

セヌリ、新政治民主連合の両党は、世論はもちろん国家機関の選挙管理委員会の勧告案も無視して今日、明日と先延ばししてきたが、 来年の総選挙制度の確定締め切り期間が近付いてくると、 既存の制度で選挙区を調整する方式で自分の既得権を手放さないようにしている。

そのような面で牙山市の国会議員地方区増設運動は、 政治的には保守政党の利権争いと軌を一にする。 進歩陣営は憲法裁判所の選挙制度に問題提起するべきであり、 誤った制度に頼って地域の利権を持ってこようとする流れに参加してはいけない。

選挙「制度」の問題は、全国次元で対応する問題であり、牙山地域だけで叫んでも解決できる問題ではないと言って、 あるいはすでに小選挙区制の地方区分捕り合戦になっているのだから地域の権利を正当に勝ち取ることも重要な課題だと考えることもできる。 そうだとしても現在の選挙制度で増設される牙山地域の二番目の国会議員の議席が地域労働者・民衆を代表する議席ではないだろう。 あるいは牙山市の二番目の資本家国会議員を作る作業に飛び込むのではないのか。 また判断しなければならない。

もし、地域すべての団体が参加しているのに、労働や農民、進歩市民団体だけが参加しなければ、 地域民の利益を無視する組織だと思われるという憂慮のためなら、 あるいは政治的市民権や持分を確保するのに困難が従うことができると判断するのなら、 私たちの運動が過度に怠慢だったのではないかと振り返るべきだ。 地域間で争いが起きれば、進歩陣営は地域の利益のために闘争しなければならないのだろうか?!

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-10-09 23:14:03 / Last modified on 2015-10-09 23:14:05 Copyright: Default

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