産別労組の金属労組集団脱退は可能か?

28日、大法院全員合議体でヴァレオ電装労組組織形態変更審理の公開弁論

パク・チュンヨプ記者 2015.05.29 10:35

5月28日、大法院は梁承泰(ヤン・スンテ)大法院長と大法官全員が参加する全員合議体で公開弁論を開き、 2010年のヴァレオ電装の労組組織形態変更を審理した。この日の審理では、下級審の「産別労組に所属する支会は独立した団体とは見られない」という判決に反論する弁論も提起された。

ヴァレオ電装システムズコリア(株)の企業労組(金属労組集団脱退)であるヴァレオ電装労組側から弁論が始まった。彼らは、 ▲ヴァレオマンド支会が組織形態変更した当時に独立した実体を持っており、 ▲金属労組は交渉で形式的な決済を遂行しただけであり、 ▲絶対多数の組合員が選択した結果であり、 ▲組織形態変更は労働者の団結権という憲法的価値のためのものであり、 ▲そのために産別労組の組織規約より優先すると主張した。

企業労組側訴訟代理人のイ・ウンネ弁護士(法務法人ユハン・テピョンヤン)は「憲法では労働組合の自由を明言しているのではなく、勤労者の権利と自由を明言している」とし「労組は法的な道具に過ぎない。絶対多数の組合員が選択した結果なのに、ごく少数の組合員だけが利益を享受することにしたことが原審判決の根本的な問題だ。組織形態変更による選択の自由は憲法が保障する最高の価値で、産別労組の組織保護より優先する」と話した。

参考人陳述でキム・ヒソン江原大法学専門大学院教授は「単なる形式や名称にしばられず、勤労者の本当の意思が何かを総合的に判断しなければならない」とし「労組の概念は多元的だ。積極的団結権を保障する法的効果を指向することが憲法調和的な法律解釈だ。労組の概念は交渉能力の有無とは無関係に、労組が独自に締結しなければならない」とし、組織形態変更は適法だと主張した。

続いて「(総会議決による方式で)外部に表明されるほど組織化された状態なら、組織形態変更の主体と認めなければならない」とし「原審判決を確定すれば産別労組が企業労組に戻ることはほぼ不可能だ。産別組織形態が強制される効果が発生する。これは過度に形式的な解釈」と付け加えた。

金属労組の訴訟代理人であるキム・テウク弁護士(金属労組法律院)は ▲新規労組の設立は個別脱退で十分に可能だが、金属労組の規約に反して組織形態を変更したのは誤り、 ▲組織形態変更は創造コンサルティングとヴァレオ使用者側が共謀した労組破壊作業で、御用労組を作ることを目標にした、 ▲産別労組は交渉力を高めるためで、破棄差戻しされると企業の不当労働行為が急増し、産別体制も破壊されることなどを指摘した。

ヴァレオマンド支会が独立して実体を持つ組織かどうかは、組織形態変更の適法性に関係してくる。下級審で「独立した団体としての実体を備えており、独自の団体交渉能力と団体協約締結能力があるなど、独立した労組として評価できる例外的な場合」には、産別労組の下部組織が組織形態を企業別労組に変更できると判示したためだ。

キム・テウク弁護士(金属労組法律院)は「独自した交渉や協約能力は、交渉担当者ではなく交渉当事者にある。金属労組規約とヴァレオマンド支会の規則上、独自に交渉を締結することはできない」とし「集団交渉で支部交渉団が交渉に出ても、支部と事業場の交渉は独自の交渉ではなく、金属労組委員長の委任によるもの」と説明した。

イ・スンオク梨花女子大法学専門大学院教授は「産別傘下に組織形態を変更することができるのだから企業労組にもできるようにするべきだというのは過度に形式的な話」とし「現行の労働組合法は、組織形態変更の主体を労組と見ているが、単位労組である支会は労組法上の労組とは見られない。これを認めれば、使用者の介入の可能性や労労対立など、多様な現実的問題が発生しかねない。交渉窓口一本化の趣旨にも合わない」と指摘した。

続いて「組織変更では実質的な同一性も認められなければならない。勤労者範囲の同一性という要件の他に、別の要件も備えなければならない。労組が変われば同一性が保たれないことがある」と付け加えた。

これに関連して、下級審では組織形態変更の無効理由の一つとして、「前後の組合の実質的な同一性が認められる範囲内でのみ(組織形態変更が)許されなければならない点」をあげた。

大法官の質問も続いた。李相薰(イ・サンフン)大法官はヴァレオ電装労組側に「(組織形態変更当時)組合員の本当の意思で(組織形態変更を)決議したのか」と尋ね、これについてイ・ウンネ弁護士は「正確に申し上げる立場ではない。もし創造コンサルティングにより調整されたとすれば、 5年の時間はだまされていたということを知る十分な時間だ。これまで大きな変化がなかったとすれば、迂余曲折はあっても、組合員の意思を反映していると見なければならない」と説明した。

金容徳(キム・ヨンドク)大法官は金属労組側に「(産別労組の支会単位の)独立性を認めたことはないか」と尋ね、キム・テウク弁護士はこれに対して「さまざまな例はあるが、訴訟を提起したケースはほとんどが形態変更無効判決を受けており、形態変更されたケースは訴訟を提起せず法的判断を受けていない状況」と説明した。

梁承泰(ヤン・スンテ)大法院長は審理を終えるにあたり「さまざまな分野の法理が互いに交差するため、調和するように解釈するのは難しい争点」とし「両者を共に満足させるのは難しい。大法院は法と原則により独立してすべての争点を検討する」と話した。

付記
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原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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