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警察の「線線線」キャンペーン、限度を超えアンドロメダへ

「線を守ろう」と限度を超えた警察、集会弾圧用キャンペーン?

ユン・ジヨン記者 2015.04.23 15:41

最近、警察バスが俳優のコ・アラ氏の写真をつけて都心のあちこちを動き回っている。 警察バスの広告看板に登場したコ氏は「広報大使」兼「名誉警察」の資格で対国民キャンペーンをしている。 キャンペーンの核心は「線を守ろう」ということだが、正確な表現は「線線線、線を守れば幸せになります」だ。 これは、ソウル地方警察庁が今年野心的に掲げる多少慣用的な表現のキャッチフレーズだ。 もちろん、ソウル庁が独自に企画したキャンペーンではない。 別名「線線線」キャンペーン報道に熱を入れている毎日経済という経済紙との合同作品だ。

「線線線」は、文字通り3種類の線を意味する。 「交通安全線」と「秩序維持線」、そして「配慮譲歩線」だ。 ちょっと見れば「そんなものか」とやり過ごすような特色のない宣伝文句でしかない。 だがあまりに特色がないからか。 そのキャッチフレーズはよく考えれば考えるほど、気になるというおかしな後味を持っている。 「これは完全にわれわれを狙っているのではないか」。 長い間、警察と戦ってきたある労働者がくやしさを訴えた。 「言葉の後に言葉がある」ということわざのように、キャンペーンの内心は明らかに違う所にある。

「線線線」の中でも目立つ線、秩序維持線

ソウル庁によれば、交通安全線は停止線と中央線、指定車道など車両が遵守すべき線を意味する。 秩序維持線は各種の集会、デモの場所で市民の不便を最小にするために設置する「帯」だ。 最後に配慮譲歩線は、配慮、譲歩、節制、包容、共生、共存等等あらゆる良い言葉を象徴する「無形の線」だという。 最初に「線線線」キャンペーンを構想したのはソウル地方警察庁のク・ウンス長官だ。 彼はこの3種類の線をしっかり守れば、韓国が先進社会に進入できると明らかにした。

3種類の線の中で特に目立つ線は秩序維持線だ。 新年早々、ク庁長は毎日経済とのインタビューで 「法秩序確立の代表事例である不法集会、デモの問題を遵法デモ文化に変えることが警察の役割」だと強調した。 集会、デモに対する警察の過剰対応の議論を減らすために、秩序維持線を中心として集会の自由を保障するという趣旨だ。 秩序維持線を活用し、集会、デモの管理に投入される警察兵力を民生治安分野に転換するという抱負も明らかにした。 「2015年新年は、黄い帯と線とプラスチックのフェンスだけで秩序が維持できるようにします。」

そしてさほど経たずに警察は「秩序維持線侵犯」により集会参加者9人を刑事処罰した。 「線線線」キャンペーン以後、初の刑事処罰事の例だった。 1月6日、某教会の信者は自分の教会が異端だと指定されたことに抗議して、韓国キリスト教会館前の歩道で集会を行い、建物に進入した。 警察は参加者が秩序維持線を超えたことで集示法に違反したとして刑事立件し、 3月に起訴意見で検察に送検した。 これに関して警察は「キャンペーン以後、秩序維持線侵犯行為を厳しく処断することにより、 秩序維持線遵守に関する市民の共感を形成して成熟した集会、デモ文化定着の契機を用意した」と自評した。

キャンペーン以後、秩序維持線は集会参加者の連行にそれなりの名分として活用されている。 3月31日、労使政委野合を糾弾するソウル政府総合庁舎前での民主労総集会でも、 10人の参加者が連行された。 秩序維持線侵犯による集示法違反などの容疑だった。 当時、連行されたA氏は「警察が秩序維持線侵犯と集会場所離脱を主な罪目にした。 共に連行された10人も、ほとんどが同じ嫌疑だった」とし、 「最近、警察がキャンペーンを行って、秩序維持線を新しい集会弾圧の方式として利用しているようだ」と説明した。

「線」で平和集会をするという警察
車壁で山城を築いて放水銃、ペッパースプレー噴射

集示法によれば、秩序維持線は集会を制限するものではなく、 集会参加者を一般人や車両から保護することに目的がある。 だが警察はこれまで「最低の範囲」を任意に解釈し、 集会場所を制限するなどの議論を起こしてきた。 そのため、秩序維持線の設定範囲をめぐる法的な争いも続いた。 だが警察は「線線線」キャンペーンにより秩序維持線をさらに積極的に活用する方針を持ち出した。 集示法24条には「秩序維持線の効用を害した者は6か月以下の懲役または50万ウォン以下の罰金に処する」という罰則条項がある。

▲写真=キム・ヨンウク記者

結局、「線線線」キャンペーンは集示法24条の積極的に活用を知らせる信号弾になった。 ソウル庁の関係者は 「(秩序維持線侵犯で刑事処罰された事例は)最近3年以内にはなかったと理解している」と明らかにした。 キャンペーン以後、秩序維持線侵犯に対する「厳正対応」の計画に関しては 「司法処理をするには構成要件が必要なので、基準を厳格に準備して司法処理ができるようになる」と説明した。

皮肉なことは「線線線、線を守ろう」という警察が、むしろ「過剰対応」で限度を超えているという点だ。 線線線キャンペーンの初期、一部の言論は「2015年から車壁が消える」という報道をいっせいに送りだした。 今年から過剰鎮圧の議論を呼んでいる警察の車壁ではなく秩序維持線が活用され、平和な集会、デモの自由が保障されるという展望が多かった。 ク・ウンス庁長は記者懇談会で 「これまで警察はとても性急に動き、集会を防ぐことだけに汲々としているというイメージを与えた」とし、一歩遅れた告白をした。 また「来年から原則的に秩序維持線を打ち、その次に警察兵力を利用した『人壁』、そして『車壁』の順で運用する計画」とし 「車壁よりは秩序維持線で安定した集会、デモが可能になると判断する」と明らかにした。

だが、わずか4か月ほど後、ソウルの都心には2008年の明博山城に比肩するほどの巨大な車壁が登場した。 4月16日と18日に行われセウォル号惨事1周年集会を防ぐ方策だった。 警察は光化門から鍾路3街までを車壁で塞ぐために車壁トラック18台と車両470余台、警察兵力172個部隊約1万3700人を動員した。 警察は「平和」と「成熟」、「節制」、「配慮」、「共生」、「共存」などのキャンペーン文句を後にして、 デモ隊に向けて放水銃やペッパースプレーを噴射した。 18日の集会だけで100人の集会参加者が連行された。 論議が起きるとク・ウンス庁長は「車壁は秩序維持線の一種」と主張するに至った。 だが集示法第2条は「秩序維持線」を帯、ロープ、車線などの境界表示と明示している。 憲法裁判所は2011年6月、警察がソウル広場を車壁で源泉封鎖した行為は「違憲」と判決した。

警察の「線線線」キャンペーン、限度を超え、はるか遠くのアンドロメダへ

では警察は交通安全線と配慮譲歩線を定着させるためにもそれだけの情熱を注いでいるのだろうか。 最近SNS等を通じ、交通罰金が二倍に上がるなどの噂が広がったが、これは流言飛語であることが明らかになった。 停止線と中央線、指定車線遵守のために交通警察を増強させるような計画も確実にない。 ソウル庁の別の関係者は「(線線線キャンペーンは)キャッチフレーズ運動で市民に参加を訴える意味で、ここに警察兵力を注ぐのではない。 警察兵力は限定されていて、キャンペーンは既存業務と併行してしている」と説明した。

▲写真=キム・ヨンウク記者

キャンペーンのために具体的に何をしているのかを聞くと 「中央線、停止線、指定車道を遵守してほしいと、独自の広報物品などを(製作)している。 動画にエンブレムを入れるなどの広報活動もしている」と明らかにした。 無形の線である配慮譲歩線についても尋ねた。 あまりピンとこないと言うと、ソウル庁の別の関係者は 「配慮と譲歩というものが共同体がうまく暮らすために必要な徳性ではないか」と説明した。 ソウル庁が配布した報道資料を読んでみると、配慮譲歩線の有用な事例として 「女性、障害者、老弱者など社会的弱者および犯罪被害者保護支援」などに言及されていた。

だが最近、警察は「障害者の日」に障害者卑下放言で社会的な問題になった。 4月20日に普信閣で開かれた「420障害者差別撤廃共同闘争団」の集会で、 警察は「誰もが障害者になるかもしれない。 皆さん(機動隊)も障害者になるかもしれない」という言葉を数回繰り返してデモ隊を刺激した。 また「障害者の日は障害者の誕生日」というなど、 「5人いれば、あれ(車椅子に乗った障害者)を持ち出せる」といった軽率な言葉で怒りが広がった。 結局ク・ウンス庁長は謝罪文を発表し 「遺族と障害者の心情を推し量れず心を傷つけた点に対して、もう一度心から謝罪申し上げる」と明らかにした。 放言の議論を呼んだ鍾路署警備課長は転職措置された。

一方、ソウル庁の「線線線、線を守れば幸せになります」キャンペーンは相変らず続けられている。 ソウル庁は毎日経済と共に「線線線キャンペーン100万署名運動」も行っている。 「線を守る先進社会」というFaceBookページに入って「いいね」をクリックすれば署名運動に参加したことになる。 現在まで289人が「いいね」を押した。 ソウル庁のポップアップ・ウィンドウでポータルIDを使ってログインし、署名に参加することもできる。 何も知らずに「アカウント使用同意」をクリックすれば署名に参加したものと処理される。 今まで何人が参加したのかは毎日経済記事で知ることができる。 4月20日付の記事によれば、キャンペーン署名は4万人を突破したという。 今月の初めには警察病院で「線線線音楽会」が開かれ、 「孝行娘歌手ヒョンスク」とタレントのキム・ソンファン氏は 「線線線キャンペーン広報大使」に委嘱された。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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