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3千人の嘱託契約職を使い捨てる現代車

[インタビュー]現代車嘱託契約職解雇者パク・チョマン氏

チェ・ナヨン記者 2015.04.23 13:00

「3千人もの嘱託職を使い捨てる現代車...正規職との差別激しく」
「当分は嘱託職問題の解決に集中したい」

現代車で嘱託契約職として働き、今年の初めに解雇されたパク・チョマン(25)氏と初めて会ったのは4月14日午後、蔚山現代自動車正門前の記者会見だった。 「若い青年たちを...むやみに...使い捨てにすることが二度とあってはならないと思います」。 マイクを握って彼が言った言葉は、自己紹介も入れて合計三センテンス。 彼に涙声で話しているのかと思ったと言うと、 彼は「その時は人が多くて何を話せばいいのか思い浮かばなかった」と言う。

蔚山に現代車があることさえ入社前には知らなかったという彼が、 なぜ労組もなしで一人で闘争するようになったのだろうか。 ぎこちなかった記者会見での姿は、むしろ気になった。 「これまで社会的に大きな関心を受けられなかった嘱託契約職問題が彼の闘争で注目されるのか」という好奇心と共に、 4月17日午前、蔚山市北区ヨムポ洞のあるパン屋でインタビューをした。 彼の語り口には大邱なまりがにじみ、返事はたいてい短く、率直だった。 (以下、記者は「崔」、パク・チョマン氏は「朴」)

▲現代車嘱託契約職解雇者パク・チョマン氏. [出処:蔚山ジャーナル チェ・ナヨン記者]

崔=現代車にはいつ、どうして入社したか?
朴= 2012年に軍を除隊した後、大邱にある企業で働いて、2013年に会社の嘱託契約に応募して合格した。 入社前、会社の関係者に処遇について聞いたが、関係者は 「新入社員1年目と処遇は全く同じで、高い人々にかわいがられて一生懸命働けば正規職に採用されることもある」と言った。 だが正規職転換はされず、2年経って切られた。 後で知ったのだが、今まで正規職に転換された嘱託職は一人もない。 また今年1月31日に切られるまで23か月間働いて、16回の勤労契約書を書いた。 働いて一か月ほど経って勤労契約書を書くこともあった。

崔=勤務環境はどうだったか?
朴=給与は正規職1年目と全く同じだ。 だが勤務環境はとても違っていた。 正規職は一つの席にいると飽きるので4時間ずつ席を変えて働くが、私たち(嘱託職)は一つの席で固定して働く。 休み時間も正規職は4時間ずつ半分に分けるが、嘱託職は2時間働いて10分休むのがすべての場合が多い。 働くととても体がつらい。

仕事自体も違う。 難しかったり、さらに危険な仕事を嘱託職がした。 正規職がゆっくり動くコンベアで働く時、嘱託職はシャトルのように動いたり、台車などに乗った。 不良が出てる時も正規職は「キーパーが処理する」という。 われわれは不良が出てくればクビにされるかと思ってぶるぶる震えた。 差別がすごく激しかった。また作業空間の上にあんま機、冷蔵庫などがある休憩室があるが、そこでは正規職だけが休むことができた。 私たちも上がれば良いのだが、正規職しかいないので私たちが上がるのはちょっと気が引ける。 われわれは隈で休まなければならなかった。 同じ空間ですぐ隣で働くが、休み時間と休む空間がみんな違うので不愉快だった。 そして正規職と違って不利益になると言うので有給もちゃんと使えなかった。 労災申請もほとんどできず、怪我をしても痛いところを押さえて働くほかはなかった。

崔=他のメディアに書いた文にアルバイトよりひどい待遇を受けたという内容もあった。どういうことか?
朴=アルバイトは普通、正規職の息子や知人が入ってくる。 だからアルバイトはやさしい仕事をして、われわれは難し仕事をする。 アルバイトが働いて怪我をすれば、私たちにものすごく言われる。 アルバイトの時給が1時間に9千ウォンで、休み時間も多くて、待遇がいい。

崔=では同じ空間で働いても、正規職と仲が良いわけではないようだ。
朴=上手くやる人は正規職でも息子のように対してくれる。 しかしただ知らないふりをしてしまう人もいる。どうせ出て行くからだ。 また、働きながら、各班の班長や正規職の先輩から「正規職転換が可能だ」という話を周期的に聞いた。 私たちがいなくなれば面倒な所に自分たちが行かなければならないからそう言ったのだろう。 後で正規職に転換されないことを知った時は、ちょっと悲しかった。

崔=正規職労組の活動はどう思うか?
朴=賃金団体協議など現代車労組活動を良くは思わない。 嘱託職は他の見方をすれば、社内下請よりさらに弱者だ。 さらに弱者から解決して戦い抜かなければと思う。 正規職労組の幹部らは嘱託職問題を解決しなければならないという論調で話すが、 実際に嘱託職問題を解決するための活動はしないようだ。 労組の中でも処遇がとても違う。

崔=嘱託職の雇用不安が激しいが、それでも入社競争率が高いのではないか?
朴=給料が多いから。2年で1億稼いで行くといわれた。 大邱で働いていた時は一日10時間働いたが、100万ウォン程度しか受け取れなかった。 賃金なら、嘱託でも現代で働く方が良い。 しかし賃金の問題より、何千人が切らることが続くとすれば、それが問題だ。

崔=嘱託職が働いて解雇されれば、その後は主にどこで働くのか?
朴=解雇の直後には失業給付を受けて遊ぶという人もいて、普通は重工業に行くと言う。 2次下請などに入ったり、バックがある人は1次下請にも入った。

崔=現在は嘱託職解決のためにどんな活動をしているか?
朴=今は一日に一時間ずつ二回、出退勤時間に1人デモをしている。 今日も第2工場の前で朝6時から7時まで1人デモをした。 午後3時30分頃にもデモをする。 初めは正門でやつて、次にはミョンチョンでするなど、歩き回ってやっている。 スケジュールは自分で決める。 出勤する時間といったが、今日は場所が悪かったようだ。 あまり人がいなかった。 来週は解雇者復職闘争特別委員会で2職の時に手伝うといった。

崔=デモはいつから始めたのか? 労組もないのに大変ではないか?
朴=切られる前、1月の初めに金属労組、現代車支部、非正規職支会などの労組活動を調べてみた。 嘱託職は労働組合がないという事実を知って、初めは労組を作ろうとした。 10人程度の嘱託職の先輩が一緒にするといったが、会社が切るという立場で話したところ、突然誰もやらないといった。 それで一人ですることにした。 その後、一部の労組は力が及ぶ限り手伝うといったが、事実上、活動はほとんど一人でする。 一番多く助けてくれた団体は蔚山解雇者協議会だ。 14日に記者会見をした時も、他の労組が助けてくれた。 デモを一人でするのは我慢できる。

崔=デモをすれば後で就職する時、難かしいことがあるかもしれない。なぜあえて戦おうとするのか?
朴=後で就職が難しいかもしれないということはわかっている。 しかし、とにかく人々が切られ続けていて、周囲にはクビになったら何をすればいいのかという人が多かった。 誰かが解決するべきだと思い、それで出ることにした。 私たちの代わりに手伝ってくれる人も確実にいない。

崔=本来、不正を見れば耐えられない性格か? あるいはこれまでも労働運動に関心が高かったのか?
朴=そうでもない。ただ、やらなければいけないからしているだけだ。 労働運動にも全く関心がなかった。 私も切られて、私も不利益を受けたからしている。 ただ、やっている。するべきだからしている。

崔=嘱託職が一緒に闘争しないのが残念ではないか?
朴=彼らの立場は理解している。 私はもう解雇されたからやっている。 また解雇者も、時間がものすごくかかる問題なので「いっそ違う仕事をしよう」と思うようだ。 私はまだ責任ある家庭もないから戦っている。

崔= 14日記者会見の時、つまっていなかったか。感情が込み上げて涙声で話したのか?
朴=そうではなくて、人々が多くて、突然何も出てこなかったからだった。 「何か言わなければならないな? 契約職をなくさなければいけないのだが..」そう思って。 考えてはいたが、前に人がいて記者会見は初めてなので、何かそうだった。(笑)

崔=釜山地方労働委員会に不当解雇救済申請したが棄却された。
朴=嘱託職は法的には問題がないと言う。派遣法にもかからない。 派遣法にかからなくても3千人も切られていくことは問題だ。 中央労働委員会の決定は8月に出ると言う。 しかし勝訴してもおそらく会社は認めないだろう。 社内下請も不法派遣判決があったのに受け入れないのではないか。

崔=会社が嘱託職を正規職に転換する余力があると思うか?
朴=会社は最近も韓電の土地を10兆で買った。 そんなものは買って、労働者たちのことは考えない。 現代車は大企業なのに、人を切るからイメージもさらに悪くなる。 資本が十分にあるのに、ずっと使い捨てを続けるのは間違っている。 人を機械の部品よりもひどい扱いをする。 機械の部品は使って故障すれば直してまた使うのに。

崔=本来現代車に就職したかったのか? 入社前に嘱託職の処遇は知らなかったか?
朴=本来の専攻は電子だったのでサムスンやLGに行こうとしたが、蔚山に親戚もいておじいさんが薦めてくれたりもしたのでここに応募した。 こんな処遇とは全く知らなかった。 現代車が蔚山にあることも知らなかったし、現代車が大企業なのでイメージが良かった。

崔=蔚山という都市で生活してみて、最初に考えていたのとずいぶん違っているか?
朴=ものすごく違う。 初めは豊かな都市だと考えていたが、いつも戦い(集会)みたいなことをしている。

崔=蔚山というと、どんなことを思い出すか?
朴=ストライキをする都市… 最悪。 現代車のおかげで最悪だ。

崔=デモはいつまでするのか? 今後の計画は?
朴=やらなければわからない。 いつまですると確実に決まっていることはない。 大法院(最高裁)まで行くと言うが、かなり待たなければならない。 まず今はこれだ(と考える)からしている。 違うことは少し時間が経ったら調べてみたい。

付記
チェ・ナヨン記者は蔚山ジャーナル記者です。この記事は蔚山ジャーナルにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-04-24 00:50:14 / Last modified on 2015-04-24 00:50:16 Copyright: Default

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