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「同性愛嫌悪」がのさばっているのにソウル市は何をしているのか?

人権憲章公聴会乱入など反対団体の横暴が深刻

カル・ホンシク記者 2014.11.28 11:30

ソウルに住むすべての市民が人間として当然な権利を享受しなければならないという趣旨で作られているソウル市民人権憲章。 しかし「同性愛反対」団体が人権憲章制定の現場に現れ、集団的な嫌悪行動を行っており難航している。 ソウル市が微温的な態度を取っている上、 同性愛反対団体が持続的な活動を行っていて、 人権憲章宣言までの険しい過程が予想される。

同性愛反対団体の嫌悪表出は「反人権的」

ソウル市は6月に市民委員150人、専門委員35人、ソウル市議員3人で構成されたソウル市民人権憲章制定市民委員会(以下、市民委員会)を構成した。 その後、市民委員会はソウル市から権限を委任され、人権憲章に「ソウルに住むすべての人が基本的に享受すべき権利の目録と、その実現に責任を持つソウル市の責務を入れた規範」を入れる目的で人権憲章制定活動を行ってきた。

市民委員会は8月から11月まで合計5回の会議、2回の地域別討論会などを経て、 前文、一般原則など7章、50条の人権憲章草案を導出した。 市民委員会は11月28日の6次会議で最終案を確定し、12月10日の世界人権宣言の日に宣言する計画だ。 しかし同性愛合法化反対市民連合などの同性愛反対団体が組織的な行動を行い、 人権憲章制定を妨害している状況だ。

▲11月20日に予定されていたソウル市民人権憲章公聴会は同性愛反対団体会員200余人の妨害で失敗に終わった。

同性愛反対団体は、人権憲章草案の4条などで「性少数者差別禁止」が明示され、 「同性愛に反対する宗教の権利」を侵害するなどの理由で人権憲章の制定に反対している。 11月20日、ソウル市庁西小門別館で開く予定だったソウル市民人権憲章公聴会にこれらの団体の会員約200人が参加し、 公聴会自体を中止させた。 特にこの日の公聴会で同性愛反対団体会員は、 攻撃的な同性愛差別発言をして人権団体会員のプラカードを奪うなど、 強い嫌悪行動を見せた。 公聴会に参加した性少数者当事者をはじめとする人権団体会員は、 こうした嫌悪行動が反人権的だと指摘した。

この日、公聴会場にいた性少数者のイ某氏は 「親や子供たちのために公聴会場にきたという年配の方々がいたが、偏狭に見えた。 私があの人たちの子供だったら、宗教的な理由で同性愛嫌悪の論理をそのまま話しただろうか」とし 「面前で侮辱的に話し、司会者も侮辱して、我慢できない状況」だったと明らかにした。

イ氏は「彼らは教理、聖書一節、福音だと言うが、 彼らが話しているのが本当の福音なのか。 人のための言語なら、人々と共に生きていくための言語なら、 どうしてそんなことを言えるのか分からない」と打ち明けた。

この日、現場にいた韓国性的少数者文化人権センターのハン・チェユン活動家も 「彼らはなぜあれほど常軌を逸しているのか不思議だ。 何の対話も討論も、コミュニケーションができなかった」とし 「単に同性愛者、トランスジェンダーだという理由だけで、あの人たちにとっては人間ではないのかという気がして、暗い気持ちになった」と吐露した。

ある活動家は「プラカードを奪うのを見ればあきれてしまって、本当に笑ってしまったが、 問題はその行動がそれで終わらず、さらに深刻な暴力と行動になることだ。 あの人たちにはそれを制御できそうもないので心配になった」とし 「その上、現場にいた人たちはほとんどが活動家で、嫌悪には鍛練された人々だ。 だが日常であの人たちと隣人として衝突すれば、周辺の人々の苦痛を考えると絶望的だ」と述懐した。

当時、司会者になった人権中心サラムの朴来根(パク・レグン)所長は 「同性愛反対団体の会員は公聴会自体を中止させようと暴力的に行動した。 彼らが最近、社会で実力を行使して反人権的活動をしているのが心配だ。 だからこそ、人権の原則をたてなければならない」と話した。

▲10月に開かれた江北圏域人権憲章討論会。この日も同性愛反対団体会員が参加して討論の進行を妨害した。

ソウル市、人権憲章を本当に重視しているのか? 特別な対策なし

こうした中で、ソウル市が人権憲章制定の過程で特別な対策を出さないという批判もある。 ソウル市は6月に報道資料でソウル市の行政全般に人権憲章を反映させ、人権都市ソウルを作ると明らかにするなど、人権憲章の制定に大きな意義を付与した。 しかしまさに人権憲章制定の過程で同性愛嫌悪のような反人権的な言動が乱舞する状況になっても、ソウル市は一歩引いて傍観しているということだ。

これに関してソウル市の担当者は 「人権憲章は市民委員会の主導で進められ、ソウル市はその場を作ることを主にしている」と線を引いた。 人権憲章制定を妨害する同性愛嫌悪団体への対応方案についても「慎重に接近する必要がある。 うかつに彼らの参加を阻止するのは問題がある。 対応方案は検討する予定だ」と明らかにした。

しかしハン・チェユン活動家は 「性少数者、反対者などが互いに激しく衝突させた責任がソウル市にある。 人権憲章に入る人権の原則を討論で作るという方針が問題」とソウル市の態度を叱責した。 同性愛は差別してもいい、いけない、といった討論ではない討論を放置するのも不適切だが、 こうした構造の中でソウル市は人権の後退に対する免罪符を得ようとしたということだ。 ある活動家はもし同性愛者差別禁止条項が人権憲章から抜けても 「ソウル市はソウル市民が反対したと逃げればそれだけ」と批判した。

他の人権団体活動家も 「憲章制定の過程で憲章についての意見を受け入れることはできる。 しかし嫌悪勢力の発言をそのまま引用して人権憲章の意見のように受け入れるのは問題がある」とし 「人権に対する感受性や知識もなく、嫌悪発言をそのまま表現するのは問題だ。 われわれはこうした事態(同性愛反対団体の嫌悪発言)に対して措置すべきだと言ったが、 ソウル市は言葉だけで現場で動かない」と指摘した。

朴来根所長は 「今回の事件に対してソウル市がはっきりしない立場を示しているが、 人権都市を作るのならはっきりした立場を持たなければならない。 そのためには差別行為と嫌悪発言を処罰する人権原則を確立しなければならない」と強調した。

▲27日に同性愛反対団体会員10余人が人権中心サラムの前で人権憲章制定に反対する活動を行った。

一方、同性愛反対団体の会員らはソウル市民人権憲章の制定作業が仕上げに近づき、 オン・オフラインのあちこちで反対運動に熱を上げている。

27日の午後には同性愛反対団体会員10数人がソウル市麻浦区にある「人権中心サラム」の建物の前でデモを行った。 彼らは同性愛を擁護する「人権中心サラム」と「ソムドル香隣教会」を非難し、 ソウル市民人権憲章制定に反対するデモをした。 人権中心サラムと同じ建物を使っているソムドル香隣教会も、普段同性愛者人権をはじめとする人権擁護活動に積極的な所だ。

これに先立ち、同性愛反対団体の一部会員は保守キリスト教団体のウェブサイトなどに 「人権中心サラムで開かれるソウル市民人権保護官討論会で人権憲章を通過させるようだ。 反対意見を出したり、討論会をまったく中止させなければならない」という文を載せ、会員の参加を要求した。

この知らせに接した人権中心サラムは、11月25日 「ソウル市民人権憲章公聴会のように人権が黙殺されないように、 嫌悪と暴力の前で人権を挫折させない。 人権中心サラムが人権を嫌悪し傷つける勢力に汚されないように力を貸して欲しい」と要請文を発表した。

27日、人権中心サラムを守るために集まった人権団体の活動家らと人権中心サラムで開かれる 「ソウル市民人権保護官討論会」に参加するために来た同性愛反対団体会員が正面から対立し、舌戦が行われた。

同性愛反対団体会員の同性愛、エイズ患者などに対する差別発言について、 人権運動サランバンのミョンスク活動家は 「公共の場所で差別、嫌悪発言が行われているのが今の現実だ。 嫌悪勢力に対する戦いが必要だ。 性少数者、移住労働者、HIV感染者がいかに尊厳なのかを見せられれば、 あのような勢力も消えていくだろうと考える」と対抗した。

ソウル市民人権憲章をはさんだ衝突は続きそうだ。 同性愛反対団体は28日、ソウル市庁西小門別館の前で人権憲章反対集会の開催を予告しており、 人権団体も28日午後8時に大漢門前で「性少数者嫌悪に対抗するキャンドル文化祭」を開く予定だ。

付記
カル・ホンシク記者はビーマイナーの記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-11-29 05:34:28 / Last modified on 2014-11-29 05:34:30 Copyright: Default

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