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私たちからプライバシーがなくなれば

[人権オルム]サイバー査察を禁じる行動が必要だ

チャン・ヨギョン(進歩ネットワークセンター) 2014.10.31 15:36

あなたにとってプライバシーとは何か。 静かに考えてみれば、私のプライバシーは学校に宿題として提出する日記帳と違う日記帳を持ち始めたことから始まったようだ。 それは私の内密な考えであり、愛であり、夢であり、恥だった。 私は秘密の日記と一緒に成長した。 どうやら他人に見せるのは難しい書き散らしに始まった私のプライバシーは、しかし一人だけのことでは終わらなかった。 私はすぐ友人と交換日記を書いてアンケートを回し、授業時間にこっそりとメッセージをやりとりすることで人生を満たし始めた。 途中で先生に見つけられたメッセージを大きな声で朗読された時はぶるぶる震えた。 私はその時なぜ震えたのだろうか。 友人の前に呼ばれてひどい目にあうだけで十分に恥ずかしいのに、私の心を見つけられたという思いがさらに恥ずかしかったのではないだろうか。 その後、私はどうなったのか。 メッセージ遊びを続けたのか、あるいは止めたのか、よく思い出せない。 明らかな事実はそんな歴史がなければ国は、人は、存在できなかった。 すべての人々がそうだろう。 だからプライバシーが破壊されれば、私たちに何が残るのかわからない。

今年10月は情報人権活動家が猛烈に忙しかった。 カカオトーク押収捜索記者会見(10月1日)から始まり、全国民車両番号追跡(27日)の暴露で暮れた1か月だった。 世界的にもプライバシーは話題だった。 昨年、エドワード・スノーデンの米国国家安保局(NSA)大量監視暴露以後、国連次元で続いてきたプライバシーの議論を反テロ・人権保障特別報告官が受け継いだ。 10月23日、ベン・エマーソン特別報告官は「各国は大量監視プログラムがオンラインのプライバシーを実質的に完全に抹殺したという事実を正面から見る必要がある」と指摘した。 これは本当に恐ろしいことだ。 今日われわれは考え、騒ぎ、出会い、記録し、笑い、とにかく日常の全てをオンラインに依存しているのに、そのプライバシーが抹殺されたというのだから。

これは一次的には電子監視技術の発達のためだ。 国連人権最高代表によれば、この技術的な効能によってもはや国家監視は規模や期間の制約を受けなくなった。 世界のインターネットから莫大な量の情報を持ってきても、一瞬で検索できる時代だから、監視の財政的、実行的な制約は事実上消えたということだ。 だから国家はいつよりも強大に、リアルタイムで、侵入的に、標的に対し、大規模に監視する能力を保有することになった。 その上、誰もがなくてはならないインターネットサービスはこうした大規模監視に脆弱であるばかりか、それ自体が監視を促進したりもする。 監視で金を稼げる時代になったので、誰かに言われなくても見張り役を買って出る人々が先を争って登場している。

しかし技術的に可能だとしても、すべての歴史が自然に発生するのではない。 誰が、なぜ、どのように、この状況になるまで放っておいたのかを尋ねざるをえない。 だから電子監視の問題はわれわれの民主主義がいかに脆弱かを反省させる。 韓国的な状況ではさらにそうだ。

[出処:チャムセサン資料写真]

初めてチョン・ジヌ氏のカカオトーク押収捜索の知らせを聞いた時に驚いたのは、セウォル号の問題解決を要求して青瓦台の前で集会・デモをしたという理由で、 警察は何と40日分のメッセージとその相手の情報を持って行ったという事実のためだった。 後で40日分ではなく一日分だという釈明が出てきたが、事態はそれで終わらなかった。 まず、カカオトークが議論を大きくした。 リアルタイム令状も受けていないという釈明が偽りだったことがわかり、関係者が高圧的な態度でネチズンと論駁を繰り広げた。 大衆的な不信が強まった。 国会ではまさに国政監査中にこの問題が大きく扱われ、これまでカカオトークの監聴が便法的に執行されたという事実も伝えられた。 昨年の鉄道ストライキに関し、多くの労働者たちがカカオトークやバンドを押収され、教師はセウォル号時局宣言に関してバンドを押収されたという知らせもともに伝えられた。

しかしカカオトークの押収捜索事件を一部の人々、政府に反対する人々だけの問題として理解するのは困る。 今まで300万人が国産メッセンジャーから外国のメッセンジャーに移ったという。 なぜ平凡な人にサイバー亡命が必要だったのだろうか。 ここにこの事件の核心がある。

実は表現の自由やプライバシー権はとても基本的な人権なのに、それを誰もが自然に享受できるわけではなかった。 私だけの表現手段、そして私だけの部屋が必要だった。 それでこの自由は誰ものものだと宣言されたが、実は費用を払う能力がある人々がさらに厚く享受してきたのが事実だ。 歴史的には反対の主張をぜひとも配布しなければならない人々、隠密な政治的な密談がぜひとも必要な人々が命がけでこれらの権利を要求した。 それで表現の自由は主に反対する者たちの問題として、プライバシーは隠密な問題として受け入れられた。

ところが今、われわれは手の中のスマートフォンでの生活として、この権利を享受している。 老若男女、誰もがこの小さな機械さえあれば、何ということもなく世界を対象に叫び、誰とでもメッセージをやりとりできる。 重要なメッセージもあるが、時にはそのまま蒸発してしまう意味のないメッセージが無数にやりとりされ始めた。 オンラインで私が話し、通信する自由はもう大げさなものではない。 すべての人の日常に溶け込んでしまったのだ。 このようにしてカカオトークの監視は誰にでも密接な問題になった。

検察と朴槿恵大統領はそれを知らなかった。 9月16日、朴大統領が閣僚会議で本人に対する冒涜に我慢できないとし、サイバー上の国論分裂に対応しろと指示した。 そして二日後、検察は虚偽事実関連の機関対策会議を開き、虚偽事実(今は「名誉毀損」)専門担当班を設置した。 「告訴・告発を躊躇する公的人物」を先制的に代理するとし、サイバー検閲を宣言した。 大統領と検察は自分たちが不穏だと思う勢力を念頭に置いていたが、驚いたのは国民だった。 その会議にカカオトークの幹部が参加したことが伝えられ、人々は一回は自分のカカオトークでの対話を思い出した。 カカオトークが自分の思いと言動をどれほど率直に含んでいるのかを振り返ってみたりもしただろう。 ところがこのくらくらしそうな世の中に、頭の中も言葉もくらくらせずにいられない。 これをすべてリアルタイムで見る? その上、チョン・ジヌ氏の記者会見を見ると、うわ、誰でも押収されるんだ。 特に大統領に逆らえば。 そうしてサイバー亡命が強まった。

多くの議論があった。 カカオトークが謝罪し、法務部長官が曖昧に謝罪し、検察も曖昧に対策を出した。 しかし驚くべきことに、全てはまだ元のままだ。 何も解決していないということだ。 その上、当事者が心配していた事項どれも明確に釈明された事実はない。 カカオトークはチョン・ジヌ氏はもちろん、どれほどの人々のどんなに多くの情報を捜査機関に渡したのだろうか? そのうちチョン・ジヌ氏容疑とは無関係な政治的な意見や私生活に関するものはどれくらいあるのだろうか? 警察と検察はそれをどれだけ読み、どう保管しているのだろうか? 全く関係ない人が読み出されなかったのだろうか? 検察と警察、そしてカカオトークは始終一貫、自分たちの立場を釈明することだけに汲々とした。 突然、私生活を混乱させられた利用者の立場は眼中になかった。 チョン・ジヌ氏と個人的に何の関係もないのに、単に同じ対話室にいたという理由だけで、自分が誰なのか、どんな対話をしたのか、一切の内容を検察が持っていったという知らせを聞いた彼らは、どれほどうろたえただろうか。 その事実を知った後には前のようにまた対話する自信がなくなった人もいるだろう。 しかし、知りたいことを聞いても誰も教えてくれない。 そんな権利があるのかさえ明確ではない。

だからチョン・ジヌ氏のカカオトーク押収捜索事件は、これで終わらせてはならない事件だ。 いまやっと始まったばかりの問題だ。 そして皆の問題だ。 この政府は本当に国民の誰が、何を考え、どんな話をするのかを日常的に検閲して査察しようとしているようだ。 私たちのサイバープライバシーが抹殺されたのと同じだ。

10月23日、緊急にサイバー査察緊急行動が発足した。 あいにく反テロ報告官の意味深い発言があった日だ。 私たちもこれから問題を解かなければならない。 必要な社会的装置は作らなければならない。 その道はもちろん、利用者、市民、労働者、つまりすべての当事者がしていかなければならないだろう。 私たちには監視されない正当な権利があるという宣言から。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-11-01 09:44:31 / Last modified on 2014-11-01 09:44:33 Copyright: Default

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