本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:憲法裁判所、DNA採取を合憲
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1409490016723St...
Status: published
View


憲法裁判所、不当な公権力に抵抗した労働者・撤去民のDNA採取を合憲として議論

抵抗市民のDNA情報の体系的な管理に道を開く...「令状請求すればすべて渡すのが令状主義?」

キム・ヨンウク記者 2014.08.28 19:09

国家暴力のような誤った法執行に抵抗する労働者、市民のDNA情報を国家が自由に体系的に管理できるようにする憲法裁判所の判決が出され、 人権団体が強く反発している。 すでに科学捜査という名分でDNA情報だけを管理し、名前の姓氏別分類と世帯別分類も可能な水準で、 捜査の便宜のために国家が敏感な個人情報を無差別に収集しても制約を加えることができなくなったという憂慮があがっている。

憲法裁判所は8月28日、双竜自動車工場占拠ストライキと龍山惨事事件で実刑を宣告されて収監された労働者と撤去民が、 自分のDNA試料採取が基本権の侵害だとして請求した 「DNA情報利用と保護に関する法律」条項の憲法訴訟事件に対し、合憲と決定した。

憲法裁判所は 「DNA情報は単なる数字に過ぎず、 個人の尊厳と人格権に甚大な影響を与える敏感な情報とは言えない」と明らかにした。 また特に、労働者と撤去民が試料採取を拒否したため、 令状を取って強制採取したことについても 「採取令状条項は、憲法上の令状主義を具体化した条項」と明らかにした。

憲法裁判所はまた 「犯罪捜査、予防のために、特定犯罪の受刑者からDNA鑑識試料を採取できるようにするのは、 立法目的の正当性と手段の適切性が認められる」とし 「DNA採取対象となる犯罪は、再犯の危険が高く、DNA身元確定情報を収録して管理する必要性が高く、 この事件の法律は書面での同意または令状により採取するが、 採取理由、採取試料の種類および方法を告知することになっており、 侵害の最小性要件も備えている」と明らかにした。

だがDNA法は罪名を羅列し、その罪名に該当すれば無条件に採取対象者になるため問題が出てきた。 特に龍山惨事や双竜車などの闘争の過程で多くの人が暴処法(暴力行為など処罰に関する法律)違反を適用され、 DNA採取対象者になったのは令状主義の趣旨に反しているという指摘が強い。

実際、キム・イス裁判官など、反対意見を出した4人は 「DNA試料採取条項は、 行為者の再犯の危険性の要件について全く規定せず、 特定の犯罪を犯した受刑人などに対し画一的にDNA鑑識試料を採取できるようにするという点で、 侵害の最小性の原則から外れる」と見た。 また「再犯危険性の要件に関する規定がない採取条項により受ける受刑人などの不利益は、 達成しようとする公益と比べ決して小さくなく、 法益均衡性の原則に外れる」と違憲意見を出した。

令状を受ければすべて令状主義? 事案ごとに深刻な基本権を考慮すべき

憲法裁判所の合憲判決により、 人権市民団体は直ちに記者会見を行って強く憲法裁判所の決定を批判した。 イ・ヘジョン弁護士は 「特定犯罪の対象ではなく捜査機関の便宜のためにDNAを採取する危険が大きい」とし 「双竜車労働者や龍山惨事撤去民は、再犯の危険性も危害性もない。 生存権のために国家と正面から闘った人々に対し、危険性が多いとして簡単に棄却したことにはとても失望した。 憲法裁判所が憲法的価値をあわせて判断したのか、 個人の基本権を考慮したのか疑問」と明らかにした。

進歩ネットワークセンターのチャン・ヨギョン活動家は 「すでに進歩ネットには、全国で労働運動や会社占拠座り込みなどをした人がDNA採取要求をたくさん受けているという連絡がある」とし 「彼らにDNA採取をすべて不同意にしろといってきたのに、 この決定の後、彼らのDNA採取を強制するのではないかと心配になる」とした。

市民科学センターのキム・ビョンス副所長は 「憲法裁判所はDNAデータベースが単純な数字なので大きな問題ではないというが、 論争の内容をきちんと理解できていないようだ」とし 「DNAは一生変わらない身体固有物質であり、単純な数字ではない。 遺伝病も知ることができ、特定の病気、人種もわかり、パターンから家族も類推できる。 それだけ敏感な情報なのに、データベースに数字で入っているから危険ではないというのは、事実と違う」と批判した。

西江大法学大学院のイ・ホジュン教授は 「DNA情報は、個人の性別、人種、病気、家族情報だが、 どうしてこれが敏感な情報ではないのか」とし 「個人である私の情報決定権についての世界的な動向と研究を憲法裁判所がきちんと調べたのか、疑問に感じる」と指摘した。

続いて「令状主義の趣旨は、拘束令状を請求した時、 判事が本当に容疑が充分で逃走の恐れがあるのか審査して、令状を発行して基本権侵害を厳格に防ぐもの」とし 「DNA法は、裁判所が令状発布の過程で基本権侵害審査をする余地がない。 ただ検事が令状を請求すれば、該当する罪名ならすべて発行する。 これは実質的な令状主義の趣旨に反するが、 憲法裁判所はそれについて何の判断もせず、 ただ令状を受けるという形なので何の問題もないと決めた」と批判した。

続いて「押収捜索令状も、逮捕令状もすべて同じだ。 検事が申請すればすべて渡すのが令状主義ではなく、 裁判所が実質的に審査をして、基本権を侵害しないように裁判所が統制するのが目的」だと強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-08-31 22:00:16 / Last modified on 2014-08-31 22:00:17 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について