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サムスンと現代車が雇用を増やしたのか?

[寄稿]財閥、良い雇用減らして悪い雇用を増やす

パク・ジョンギュ(非正規職ない世の中作り) 2014.04.07 15:41

「100大企業で雇用増加、半分はサムスン電子・現代車の力」(朝鮮日報)
「2013年100大企業の新規採用半分はサムスン電子-現代自動車が責任」(東亜日報)

4月7日の朝刊には、サムスン電子と現代自動車が景気低迷にもかかわらず、雇用を大きく膨らませたという記事があふれた。 マスコミ各社はCEOスコアという会社が昨年の売り上げを基準として 100大企業の2012年〜2013年の雇用率(国内常駐職員)を調べた結果を分析した報道資料を引用し、このように報道した。

現代自動車が最大株主である韓国経済は 「大企業、収益性の悪化にも雇用を2.4%増やした本当の理由」という記事で 「同じ期間にこれらの企業の売上額は2.8%、営業利益は0.3%の増加に終わり、営業利益率が0.4%下がったが、政府の雇用拡大の努力に応えて雇用を増やした」と報道した。

財閥大企業が非正規職のような悪い雇用だけを増やし、正規職の雇用は増やさないという批判が強いが、本当に雇用が増えたのだろうか? 世界経済の不確実性が高まっているのに、財閥が金庫を開いて青年の雇用創出に寄与しているのだろうか?

サムスン-現代車の力で雇用増加?

CEOスコアという会社によれば、100大企業の雇用人員は74万5098人で、前年の72万7429人より1万7669人(2.4%)増加した。 特にサムスン電子が9万700人から9万5794人へと約5000人(5.6%)、現代車が5万9831人から6万3099人へと3000人以上(5.5%)雇用を増やしたことが調査されたと明らかにした。

マスコミ各社は昨年、二社が増やした職員数は8362人で、100大企業全体の増加分の47%を占めたと報道した。 読者が記事の題名だけを見れば、サムスン電子と現代車が雇用創出という大企業の社会的役割を果たしたかのように判断するかもしれない。

しかし新規採用の半分を受け持ったというサムスン電子と現代自動車の事業報告書を分析した結果は完全に違う。 2008年の米国発経済危機により経営実績が最悪になった2009年を除けば、本格的な回復傾向が始まった2010年から2013年までの4年分の事業報告書で売上額、当期純利益、正規職と契約職現況を調べた結果、二つの財閥会社は売上額と純利益の増加と比べ、雇用はほとんど増えなかったか、むしろ減った。

▲サムスン電子と現代自動車2010年〜2013年の売上額-純利益-雇用率現況(各年度事業報告書参照、単位億ウォン)

サムスン電子は2010年の売上が154兆から2013年には228兆と47.9%増え、当期純利益も16兆から30兆へと88.9%増えた。 しかし正規職の人員は逆に362人減り、契約職だけは36.3%増加した。

2013年のサムスン電子の正規職人員が9万3928人で、2012年と比べ3000人ほど増えたのは事実だが、2011の正規職人員の10万353人と較べると、何と6425人も減っている。 なぜサムスン電子では2012年に1万1千人だった正規職の人員が突然減ったのか気になる部分だ。

サムスン電子4年間の純利益は88.9%増加、正規職は0.3%減少

現代自動車の売上額は、2010年の36兆から2013年には87兆と何と137%も増え、当期純利益も5兆2670億ウォンから8兆9935億ウォンへと70%以上急増した。 しかしこの期間中、正規職は6.7%の増加に終わり、嘱託と呼ばれる契約職労働者は38人から3238人へと何と3200人、8421%増加した。

現代車の正規職が増えた理由は、外部から新入社員を新しく入れたためではない。 現代車は2010年7月22日に現代車の社内下請は不法派遣で2年以上働けば正規職だという大法院の判決により、現在 ソウル中央地裁で進行中の1600人の勤労者地位確認訴訟により、不法派遣を隠すために社内下請労働者を対象として社内で抜擢採用をしたためだ。

現代車の雇用の増加は当然、正規職に転換されるべきだった不法派遣の社内下請労働者たちの一部を正規職として採用しただけで、雇用創出とは無関係だった。 しかも現代車は社内下請労働者を新規採用した場所に3238人の嘱託契約職労働者を入れ、アルバイトで働かせている。

現代車の売上は137%増加、嘱託契約職は8421%上昇

さらに深刻な問題は、統計から抜けている社内下請労働者の数だ。 金融監督院に申告された事業報告書で、正規職と契約職労働者の数字だけを見ていては非正規職社内下請労働者がどれほど増減したのか確認できない。

雇用労働部が3月1日〜31日までに入力を完了して公開することにした 「雇用公示制度」の公開を4月1日ではなく7月1日に延期したため、 正確な社内下請の使用実態を把握できなかったためだ。

雇用労働部は何の法的根拠もなく3月31日までに入力された企業の雇用現況を公開せず、 4月16日から4月30日までの補完期間をおいて情報を修正させ、その後も2か月間、一般に公開せず 7月1日から公開すると発表したため、7月1日より前には社内下請の現況把握は難しい。

雇用労働部、法的根拠なく社内下請雇用現況公開を延期

雇用労働部の「2010年度社内下請現況」の資料によれば、 サムスン電子器興工場の正規職は2500人で、社内下請労働者は3018人だった。 サムスン電子の184のサービスセンターのうち7つの直営センターで800人程度だけが正規職技師で、 あとの1万人のサービス技師は下請企業の労働者だ。

2013年の国政監査資料によれば、現代車では5744人の社内下請(生産下請け)労働者が働いており、食堂、清掃、警備、出庫などを入れると1万1259人になる。 社内下請労働者は、現代車が社内下請を対象として新規採用を続け、2010年より2千人程度減っている。

▲現代自動車社内協力業者(生産)年度別契約T/O現況(2〜3次社内下請業者現況は除外。2010年の蔚山工場2〜3次人員は1000人程度。2011年までは年末基準、2012年3月基準、2013年7月末基準)

社内下請労働者が含まれない非正規職現況

李明博(イ・ミョンバク)政権は、2008年の米国発経済危機を理由に 法人税の引き下げ、高為替レート政策、廃車補助金など、財閥へのばらまき政策で国民の税金を大企業に注ぎ込み、 朴槿恵(パク・クネ)政権も財閥ばらまき政策を続けている。

その結果、大企業の売上と純利益は2010年から急増し、企業の利益は社内留保金、株式配当金、役員年俸などの名で財閥の金庫に入った。 国民の税金で財閥を支援したが、大企業は雇用を増やさなかった。

サムスン電子と現代車の資料で確認されたように、2010年〜2013年の4年間、売上と純利益は急増したのに雇用はほとんど増えないか逆に減った大企業も多かった。 技術力、自動化などの理由もあるが、何よりも正規職を使すべき場所に社内下請労働者を使ったためだ。

サムスンと現代車が景気低迷にもかかわらず雇用を増やしたという記事が、何の検証もされずに堂々と新聞に載り、 雇用労働部は何の法的根拠もなく「雇用公示」を公開せずにいる。 少し調べるだけで確認できる明らかな嘘が、インターネットに並んでいる。 衆人環視の中で盗みが行われる時代だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-04-07 21:56:07 / Last modified on 2014-04-07 21:56:08 Copyright: Default

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