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韓国:まだ使用事業主(元請)の労働法上の責任認定をためらう法院 | ||||||
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まだ使用事業主(元請)の労働法上の責任認定をためらう法院[コラム]現代尾浦造船大法院判決およびコスコム・ソウル南部地方裁判所の判決を見て
ユネリム(全国不安定労働撤廃連帯)/ 2008年07月30日15時04分
蒸暑さと梅雨があきもせず続いた今月、間接雇用に関する二つの判決が下され て多くの注目をあびた。2003年1月に解雇され、5年以上法廷闘争を続けてきた 現代尾浦造船来週下請け業者のヨンイン企業の労働者たちが現代尾浦造船を相 手どって出した従業員地位確認訴訟と2007.9.12.ストライキ突入後、1年近くコ スコムと闘っているコスコム非正規労組の勤労者地位確認訴訟だ。 大法院2008. 7. 10. 宣告2005タ75088判決(現代尾浦造船事件) ヨンイン企業は1978年4月24日に設立され、25年間、現代尾浦造船の『内部下請 け業者』として運営、船舶機関修理業務を担当してきた。2003年1月31日、事実 上、現代尾浦造船の主導で廃業に至った。ほとんどのヨンイン企業所属の労働 者たちは、1976〜1989年の間に入社し、臨時工として働き、現代尾浦造船が実 施する本工試験に合格した後、下請け業者として入ってきた。彼らは機関修理 だけでなく、船舶引揚、溶接、などなどの業務に動員されるなど、実質的に現 代尾浦造船の指揮監督の下で働いてきた。 ヨンイン企業の廃業で雇用を失った労働者は、現代尾浦造船が実質的使用者と して雇用を続けることを要求し、2003年4月15日に釜山地方労働委員会に不当解 雇救済申請をしたが却下された。これとは別に現代尾浦造船に対して従業員地 位確認訴訟を提起し、蔚山地方法院(2004.5.20.宣告2003カハプ987判決/棄却)、 釜山高等法院(2005.11.9.宣告2004ナ9787判決/ 棄却)での敗訴を経て、今回の 大法院判決でついに現代尾浦造船の勤労者であることを認められることになっ たのだ。 事実、ヨンイン企業事件は、間接雇用に関する労働法的な常識がある人にとっ ては当然労働者が勝つものだが、納得できない下級審の論理により長い間無視 されてきた事件だといえる。そのため、あるいは今回の大法院判決に接して感 じるうれしさより、下級審の敗訴の知らせを聞いて感じた絶望の方が大きかっ たほどだ。 請負-(不法)派遣勤労-偽装勤労契約:相変らず解けない争点 これまで間接雇用関係で形成されてきた法理を簡単に要約しれば、次の通りだ。 ある下請け業者が本当に請負契約を遂行する業者として認められるには、労務 に対する人事・指揮命令上の独立性と、事業経営上の独立性を共に備えなけれ ばならない。もし該当労働者への指揮・監督権限の一部または全てを事実上、 元請(使用事業主)が行使すれば、これは請負ではなく労働者を派遣したことに なる。さらに、この下請け業者が事業経営上の独立性も備えなければ、これは 派遣事業体としても認め難く、元請(使用事業主)の一介の事業部処に過ぎず、 当該労働者と元請(使用事業主)間に直接的な勤労契約関係が認められる。 要するに、ヨンイン企業事件について釜山高等法院と大法院は、2つの争点で互 いに交錯する、そして曖昧な答をしているのだ。まず、元請の現代尾浦造船が ヨンイン企業所属労働者に対して人事上・指揮命令上の権限を行使したかどう かが重要な問題であり、社内下請業者のヨンイン企業がそうした権限を共同で 持っていたかどうかが重要なのではない。本質的に、間接雇用という企業が労 働法上の使用者責任を回避するために、第三者が使用者であるのような形式を 挟むことであり、中間業者が人事上・指揮命令上の権限を一部分担したとか全 て代理して行使するケースのほうが、むしろもっと一般的だからだ。過去には こうした外観もいいかげんにして、間接雇用労働者の闘争が続いて中間業者の 権限を形式的に強化したり中間業者を通して間接的に統制権を行使するケース が増加しているのが現実だ。 釜山高裁は、ヨンイン企業が形式的ながら人事・指揮監督権限を持っていた点 を上げ、請負だと認めたが、これは間接雇用への法理を誤解している。そして 大法院はこの争点に対する明確な言及は避けたままで現代尾浦造船が実質的に 当該労働者に対する指揮・監督権限を行使したという点だけに焦点を当てた。 二番目、ヨンイン企業が事業経営上の独立性を持っていたかという争点は、ヨ ンイン企業が事業体としての実体があったかどうかについては意味ある問題か もしれないが、該当労働者に対して誰が使用者としての責任を負うべきかとい う質問には、あまり意味ある問題ではない。もし釜山高裁の判断のように、ヨ ンイン企業の事業体としての実体を認めたとしても、該当労働者を実際に使い、 指揮・監督権限を行使したのが現代尾浦造船なのであれば、少なくとも(不法) 派遣勤労関係は認められなければならないためだ。 現実にほとんどの派遣業者が独自の事業体として活動しており、さまざまな使 用事業体と労働者派遣契約を締結し、独自の経営運営をしている。このように、 実体がある派遣業者から労働者を供給されたとしても、使用事業主の労働法上 の責任は軽くならない。釜山高裁の判断のとおりなら、中間業者が一定の実体 (この事件ではそれさえ事実は不明だったが)がありさえすれば、使用事業体は 使用者としての責任を逃れられることになってしまう。大法院はこの点につい てヨンイン企業がまったく実体がないとし、法的に意味のない存在と片付けて しまう技法を活用して問題を単純化した。この事件には、大法院のこうした技 法(『派遣勤労関係』にも至らない『偽装勤労関係』という判断)が妥当性があ るといえるが、現実にさらに広範囲に存在する、実体をもつ中間業者を通した 間接雇用への法理的判断は相変らず空白として残っている。 2008. 7. 18. ソウル南部地方裁判所判決(コスコム事件): 今回のコスコム判決は、1年以上闘争をしてきた非正規労働者の一部が勝訴した という意味でうれしい知らせではあるが、間接雇用に関する法理の側面では、 今までの法院の論理を踏襲したものだといえる。コスコムに対して人的・資本 的・経営的な従属関係が認められたチュンジョン・エンジニアリング、FDL情報 通信に所属していた間接雇用労働者に対しては、中間業者が事業的な独立性が ない単純な労務代行機関に過ぎないとし、コスコムとの暗黙の勤労契約関係が 成立すると認めた。しかし、別の中間業者であるアイティネイド、バリューウォ ン、チピテック、HRCなどには、独自の物的施設を保有しているなど事業的な実 体があるとし、ここに所属していた間接雇用労働者にはコスコムとの直接的な 勤労契約関係の成立を認めなかった。 労働者の立場から見れば、実際の仕事に違いがあったわけでもないが、所属業 者が事業的な実体があったのかどうかで運命が分かれる結果を迎えることになっ たのだ。コスコムの立場としても、該当間接雇用労働者を実際指揮・監督して 使用することに何の違いもなかったが、一部では使用者としての責任を負担す ることになり、一部はその責任を逃れることになったのだ。 もう一度繰り返すと、現実には労働者供給業者(派遣業者)が一定の資本力と物 的設備を備え、間接雇用労働者への人事上・指揮命令上の権限を一部分担(また は代理)して行使することが、さらに一般的な形態として位置を占めつつある。 製造業の社内下請や大企業の用役子会社のように、中間業者が元請に人的・資 本的・経営的に完全に従属しているケースはますます減っており、これらの用 役子会社も次第に労働者派遣事業を多角化するなど、『独立的事業体』として 発展している。したがって、間接雇用関係において重要なことは、使用事業主 が該当労働者に対して使用者としての権限を行使したかどうか、換言すれば、 間接雇用労働者への使用事業主の使用者責任が問えるのかどうかの問題だ。こ の時、使用事業主が実体のない中間業者を介在させたとすれば、まったく該当 労働者との暗黙の勤労契約関係を認めなければならず、ある程度の実体がある 派遣業者を介在させていれば、派遣法違反かどうかを調べ、使用事業主の直接 雇用関係を認めなければならないのだ。 今まで法院は、前者には非常に例外的なケースについてのみ認めているようだ が、最近いくつかの事件でさらに積極的な態度を示している。現代尾浦造船と コスコムで偽装勤労関係が認められた部分が、まさにこうした態度を示す。そ の反面、後者には相変らず立場が不明だったり、不法派遣勤労関係には派遣法 上の直接雇用甘受条項が適用されないという奇怪な論理を踏襲している。これ は、従来、間接雇用の社会的議論を法院が意識しつつ、違法に間接雇用を使用 した使用事業主に責任を負わせる問題にはやはり消極的な態度を堅持している ことを示すものだ。 これに関連して、6月19日に大法院で不法派遣勤労関係に旧派遣法上の使用事業 主の直接雇用甘受条項(旧派遣法第6条第3項)が適用されるかの問題についての 公開弁論が開かれた。2000年(株)SKの子会社だったインサイトコリアから解雇 された間接雇用労働者たちがこの問題を提起した後、これまで先送りしてきた 大法院の判断がすぐにある予定だ。 別の見方をすれば、この争点は2006年の派遣法改正で立法的に解決(つまり不法 派遣の場合も2年以上なら直接雇用義務を認める)したように見える。だが、旧 派遣法に関わる多くの非正規労組の事件(現代自動車、キリュン電子など) が大 法院に係留中であり、やはり現実の労使関係に影響を及ぼすだろう。それだけ でなく、もし大法院が不法派遣に使用事業主の直接雇用責任を認めるにしても、 再び『2年以上の者だけに制限』という暗礁がかくれている問題でもある。間接 雇用を使った使用事業主に、実質的な使用者としての責任を負わせる闘争は、 まだ行く手が遠い。 (脚注)*この事件の下級審判決に対する評価としてはクォン・ドゥソプ、「偽装 請負の法律関係-現代尾浦造船内需下請ヨンイン企業事件を中心に」全国不安定 労働撤廃連帯編、『非正規労働と法』 2006参照. 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2008-08-02 07:55:33 / Last modified on 2008-08-02 07:55:34 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ | ||||||