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ウィキリークス、TPP投資家条項を暴露...「超国籍企業が最優先」

米国でもISD批判...NYT、「ISD、国家公共制度の無力化」

チョン・ウニ記者 2015.03.27 16:47

ウィキリークスがまた環太平洋経済パートナー協定(TPP)投資家条項の最新バージョンを公開した。 TPPを積極的に進めてきた米国のマスコミが、流出バージョンの分析をのせているが、 TPP投資家条項の問題を深層分析したニューヨークタイムズの報道が注目される。

ニューヨークタイムズは3月26日(現地時間)、 2015年1月20日付と記されたTPP交渉文草案をベースにオバマ大統領の残る経済課題であるTPPが、 △既存の貿易協定で一番外国投資家または企業の利益を優先し、 △国家の公共制度を無力化し、 △外国企業に対する差別の禁止と曖昧な規定により熱い議論を生んでいると報道した。

[出処:ウィキリークス]

ニューヨークタイムズがこのように指摘するTPP投資家条項の核心問題は、 国際的にも問題になった投資家国家訴訟制(ISD)のためだ。 TPPでのこの制度は、外国企業に対する投資が予想値を下回ったり、企業の利益を害する場合、 米国政府に対して訴訟を提起できるようにしている。 もちろん、TPP交渉に参加する他の11か国の企業も相手国に同じ権利を行使できる。

関連条項によれば、企業と投資家は世界銀行(WB)や国連が管轄する裁判所で、 政府の法、規定および裁判所命令に異議を提起する権限を与えられる。 中央政府も地域政府も、訴訟の対象になる。

既存の貿易協定のうち外国投資家や企業の利益を最優先

こうしたTPPに対し、 反対陣営はTPPが以前のどの協定よりも、企業の権利を最優先で保護すると批判する。

しかしTPPを一番積極的に推進している米国共和党と企業の代表者たちは、 以前に締結された他の協約もTPPと類似の内容を含んでいると主張する。 ISDは地球上にすでに存在する3000の貿易協約で規定されており、 米国も北米自由貿易協定をはじめISDを認める51本の協定をすでに締結しているという論理だ。

実際に、ISDは北米自由貿易協定などの経済協定に存在する。 だがこれらの協定は、米国に対しては事実上で、非常に制約的だ。 米国は25年以上、17回の投資家訴訟をうけ、このうち13回が裁判所に行った。 そしてどんな裁判でも米国は敗けなかった。

だがTPP反対陣営は、米国がこれまで敗訴した例がないのは、 訴訟を提起した国家の企業自体、規模や予算または市場のパワーで不利だったためだと見ている。 彼らはTPPが締結されるとこれらをすべてを変えられるだけでなく、 かなり前から米国に投資してきた日本やオーストラリアといった裕福な国の投資家の権限も拡大するだろうと展望した。

オハイオ州選出の民主党のシェロッド・ブラウン上院議員は、こうした問題について 「米国貿易代表部(USTR)は米国が訴訟で負けたことがないが、 将来はより多くの挑戦を受けるだろうと話した」と述べた。 これはその逆の関係も成立するほかはないということを意味するもので、 結局は資本の大きさ、力によって成敗が左右されるという憂慮をもたらす。

米国の市民団体パブリック・シチズン(Public Citizen)のグローバル・トレード・ウォッチ(Global Trade Watch)によれば、 TPPが締結されれば、米国で活動する約9000の外国人所有企業が米国政府に訴訟をする権限を持つことになる。 逆に、米国にある約1万8000以上の企業は、他の11か国に対して同じ権限を得ることになる。

国家公共制度の無力化

ISDにより、国家の公共の制度が無力化されかねないという 国内での批判も繰り返している。

ニューヨークタイムズは、TPPチャプターの条件により、 外国人投資家は加入国が「直接的であれ間接的であれ、該当投資を没収したり国有化する場合」、 金銭的な補償を請求できると確認した。 また流出した文書によれば、「間接収容」に関する定義には、 「明確かつ合理的な投資に基づく予想(成果)に介入する政府の措置」が含まれる。 TPP反対陣営はこれについて、超国籍企業らが「間接収容」という言葉を広く解釈し、 投資価値を害する規定や法改正にも損害賠償を請求するだろうと警告している。

TPP賛成陣営がISDから公共政策が保護された事例として宣伝する1999年のメタネクス(Methanex)事件について、 反対陣営は日本のような国のはるかに大きな会社が同様の裁判をすることになれば、 同じ判決が出るかどうかは分からないと反問する。 この事件は、カリフォルニア州政府が人体に有害という理由で自動車燃料添加剤(MTBE)の販売禁止措置を取ったことに対し、 米国内にあるカナダの投資企業Methanexが提訴した事例だが、 該当訴訟は6年かかり、2005年に結論が出された。

また、損害賠償の金額も非常に高くなりかねないと憂慮する。 2012年、国際司法裁判所(ICJ)は石油採堀権を没収したという理由で、 エクアドルに23億ドルを支払えと命令した。

米国にある外国人投資家と企業は、すでに米国民事法院に訴訟を提起している。 1993年以後、連邦政府の法的権限が及ばない国際貿易裁判所で、17の訴訟を受けたことを含み、 国内法では約70万件の訴訟が行われている。

外国企業の差別禁止と曖昧な規定

TPP交渉を結ぶ場合、 加入国は自国領土内で生産された製品を優待することはできないことも問題と指定された。

TPP賛成陣営は、政府が外国企業を国内企業と同等に扱う限り、貿易条項に反しないと見る。 米国国際戦略研究センターの国際企業専門家スコット・ミラーも 「外国企業に差別待遇をしない限り、政府は何も心配することはない」と話す。 だがこの場合、国内産業を保護すべき国家の公的な役割は根本的に揺らがざるをえない。

曖昧なテキストの定義もTPPの憂慮を増加させる要因だと指摘される。 投資に関するある条項は 「投資家が投資の性質があるねのを所有したり直間接的に統制しているすべての資産」とある。 ここにはまた「知的財産権、株式と派生商品などの金融手段」を含み、 建設、経営、生産、譲渡物、配当収益と他の類似の契約、 そして免許、権限、許可権と、国内法による類似の権利まで含まれており、 その領域は無限に増えられる状況だ。

現在、米国、日本、オーストラリアなど12か国が参加するTPP交渉は、 2005年から秘密裏に進められている。 今回流出した文書は、2012年に初期バージョンが公開されて以来だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-03-28 23:39:01 / Last modified on 2015-03-28 23:39:01 Copyright: Default

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