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民主労組運動発展の展望における工団組織事業の意味

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全国不安定労働撤廃連帯 2016.07.26 20:46

民主労組運動は何を目標として「発展」してきたのか

「運動」はずっと発展する時に意味がある。 民主労組運動という時、その発展の指向と展望をどのように置くかにより、発展の方向も変わるほかはない。 現在の民主労組運動は、組織的に見れば、組合員数が70万人に過ぎず、大多数の労働者は民主労総が自分を代表する組織とは考えない。 政府の労働市場構造改悪などに能動的に対処することができずにいる。 政治社会的影響力も弱く、労組に対する社会的な認識も非常に良くないため、社会的認定も受けられずにいる。

民主労総は1996年の建設当時から、こうした状態を克服するために「産別労組建設」と「政治勢力化」という2つの目標を設定してきたし、そのために邁進してきた。 産別労組建設は企業単位の闘争を越え、全労働者の利害と要求を組織的に統一させていくための方向で提起されたのであって、 政治勢力化は政治社会的に意味ある勢力として登場するための計画だった。 民主労総は産別労組という形式は少しずつ備えていきつつあるが、産別交渉ができない点で制度的な限界に直面しており、 相変らず個別企業単位の労使関係中心という点で「見かけだけの産別」という評価を受けている。 また、政治勢力化も民主労働党の事実上の終了でその目標を果たせなかった状態に留まり、運動の方向を失っている。

その原因については様々な評価がありえるだろうが、 製造業の労働力が縮小して公共部門の構造調整が押し寄せ、 サービス産業が低賃金労働力中心に再編される状況に対して労働運動が能動的に対処できなかったという点を見過ごしてはいけない。 また、政府と資本が労働を階層化して労働者全体を「不安定労働」に追いやりながら制度的に労働権を剥奪する政策を実行する過程で、 労働者たちは相変らず「個別の現場の闘争を集める方式の闘争」を採択することにより社会的な影響力を確保することはできず、 労働組合の敷居が高くなることに積極的に対応できなかったためでもある。 今でも労働市場の構造改悪が押し寄せているのに、こうした状態を積極的に変え、 運動の戦略をたてることができなければ労働運動は「発展」するのは難しい。

労働運動発展戦略としての「階級代表性拡張戦略」

外国でも労働運動の衰退状況をいかに克服するかについて議論があった。 代表的にSEIU(Service Employees International Union、全米サービス労働組合)のような組織は「戦略組織化」を運動の発展展望とする組織だ。 米国は多数労組に対し、使用者は義務的に団体協約に臨まなければならないという制度があるので、 労働者の多数を組織することにより権利を向上させる戦略を選んだのであり、 その多数組織化のための戦略組織事業に組織全体が邁進した。 ヨーロッパの労組は道具的集合主義に流れる既存の労組運動を越え、 平和、生態など多様な社会的価値とネットワーク組織の活用についての問題意識を労組革新戦略として提出した。

では韓国の状況で、民主労組運動はどんな発展戦略をたてられるのだろうか? ここでは「階級代表性拡張戦略」を提起したい。 韓国は労組に対する法的制約と弾圧が大きいため大々的な組織化は限界にぶつかるほかはない。 また政府の労働市場構造改悪と民主労組破壊戦略に積極的に対抗しない以上、 労働組合が生き残ることも難しい。 したがって、民主労組運動は共に闘争力を高める単位を選択的に組織して、 それぞれの活動議題を労働者全体を代表する議題(最低賃金など)に転換させて、 青年ユニオンなどの世代別労組、多様な青年組織、市民社会団体、議題別組織を「財閥に対する統制」などの社会的問題につなげ、 連帯を拡張して政治社会的影響力を拡大していく戦略が必要だ。

こうした点を前提にすれば「階級代表性拡張戦略」は大きく2つの方向で進められるだろう。 一つは核心主体の組織化として「戦略組織化」と命名されているものだ。 2003年から進められた戦略組織事業が「非正規職労働者組織化」を核心議題に設定し、 貨物連帯やダンプ連帯、学校非正規職労働者など大衆的組織化を実現した。 仁川空港などの公共部門の大規模な組織化の試み、サービス流通における大型マート労働者たちの組織化の試み、 そして製造業で元請と下請企業の費用転嫁で苦しむ労働者の「工団中心組織化の試み」に至るまで、 民主労組運動の議題を転換させ、共に政府と資本に対抗する闘争をしていく主体を組織する試みが続いた。

もうひとつの組織化は「労働組合」ではなくても、あるいは民主労総所属ではなくても、 多様な大衆的組織化の流れを支援して連結する役割だ。 青年ユニオンやアルバ労組などと各学生組織を連結して「最低賃金」や「青年失業」の問題に対する大衆的な流れを作る試み、 「心安らかに商いたい商人の会」など大企業から収奪される自営業者を組織することに力を補う努力、 そして市民社会団体連帯会議に「労働権チーム」が作られるように提案して組織する過程、 また、社会的議題に対する積極的な連帯活動を通じ民主労組運動への支援を確保していく努力などがその中の一つだろう。 これを通じて社会的な力を確保していくのだ。

戦略組織事業として工団組織事業の意味

戦略組織事業はいかに進められるべきか? 戦略組織事業は文字通り、財政と人員を投与して長期的な企画で進められる事業を意味する。 現在、韓国社会において「労働組合への組織化」は非常に大きな犠牲と決断を必要とする程に難しい。 そのため核心対象に対して長い観点で集中的な力量を投与して成果をあげようとするなら、 その対象の選定と組織化の企画において非常に集中的な悩みがなければならない。 労働者が階層化され、分離化された状況で、戦略組織事業は権利を下から押し上げる事業にならなければならず、 その組織対象の重要な議題を民主労組運動全体が受け止めて戦うという決意が同時に形成されなければならない。 また、政府の労働市場構造改悪に対抗して共同闘争する目標を設定できる対象でなければならない。

撤廃連帯は上の問題意識に立脚して「工団労働者組織化」を戦略組織事業の内容として提出した。 それは企業規模によって労働者が階層化されている現実のためだ。 30人未満の事業体に全非正規職の70%が働いており、企業規模が大きくなるほど非正規職の割合も低くなる。 製造業では産業構造がほとんど大企業の下請系列化されていて、大企業の介入と単価引き下げの圧力などでますます劣悪になり規模が小さくなる。 3月の統計庁資料では、300人以下の中小企業が300人以上の大企業の62%の賃金しか受けていないとし、 単価引き下げなどの元下請の不公正な取り引きが原因だと話す。 2015年の統計庁資料を分析した結果、30人未満の事業場の組織率は3.9%、31〜100人の事業場は16%だ。 300人以上の事業場の組織率が38%であるのとはっきり比較される(2016.2.非正規職労組加入意向と現況-韓国労働研究院)。 こうした階層化された構造を変えるのは、下からの組織化によってのみ可能だ。

二番目に、全面的な不安定労働の時代において、企業単位を越える組織化が必要で、 それの可能性は「工業団地」という地域を中心として集まっている構造に求められるという点だ。 資本は組織された労働者の雇用不安を刺激して、企業にしばりつけて統制力を強化する。 大多数の労働者には「雇用されなければ生存できない」という点を利用して不安定労働でも働かせようとする。 したがって、不安定労働の時代においては「企業の雇用」を越える労働者の要求を組織し、 多様かつ集団的な闘争を作らなければならない。 それの可能性を「地域」に求めようとし、それが「地域中心の工団労働者組織化」として提案されたのだ。

三つ目に、工団組織事業は闘争の力を拡張する非常に重要な輪だ。 完成車など、大工場中心の労働組合活動は意図しなかったとしても、 中小下請企業に対する収奪および非正規職と下請企業労働者に対する搾取強化につながった。 大工場の労働組合の闘争が社会全体に与える影響が大きいので、その闘争を止めようとする企業の談合の試みを越えることができなかった。 自分の利害関係を越え、全階級的な利害に立脚して運動することを要求するのは、すでに容易ではない。 責任を下へ流し、労働者闘争による成果を下に押し付ける構造に対抗し、 企業全体を揺さぶる力を発揮しようとすれば、 大工場労働者の階級性に依存するよりも多段階下請構造に置かれている労働者を組織し、共同闘争の可能性を作るしかない。

工団組織事業が突き当たる限界

ところで民主労総は2期戦略組織事業に続いて3期戦略組織事業も進め、撤廃連帯も努力を傾けているが、まだこれといった成果は出せていない。 まだ主体形成に到達できないが、これは2種類の限界に直面しているためだ。 最初は組織された労働者たちが工団労働者の議題で共に戦うことができない点であり、 二つ目は企業単位の賃金団体協議ではなく、個別に組織された労働者の活動に対するイメージを持てないためだ。 そのために地域の議題を含むさまざまな闘争をしつつ、これを「組織化」の成果に連結させる「集団的組織化の試み-労組加入運動」が展開できなくなっているのだ。

企業単位の活動を越える活動をしてみようという問題意識が工団組織事業の核心的な課題なので、 それに適切な典型を作れなければ、 この組織事業の問題意識は生き返ることができない。 企業単位の賃金団体協議ではない地域事業だとすれば、 闘争の対象も元請と地方自治体、産業団地管理公団、地域資本家団体などに拡大しなければならず、 闘争の内容も単位事業場の労働条件だけでなく、労働者の社会文化的な要求までを包括できなければならず、 地域労働者全体の心を動かす活動と組織化の方式を作り出さなければならない。 それは撤廃連帯をはじめとする工団事業をしている単位が互いに対話しながら可能性を作らなければならない。

ところで工団事業を元気にしようとすれば、金と人を集中することだけでなく、民主労組運動が活動を集中することが必要だ。 工団事業が「組織文化革新」と接する点がまさにそれだ。 民主労総が組織された労働者を中心に議題を設定するのではなく、 工団労働者などの資本連鎖の末端にある労働者の議題を中心に事業を行い、 それが工団労働者に伝えられて力になるとすれば、 工団労働者を組織する単位も大きな規模の事業をしていくだろう。 例えば最低賃金闘争と宣伝戦を工団に集中したり、 不法派遣問題について大々的な政治社会的な世論戦を展開し、 雇用労働部を対象とする集団闘争を行うなど、 事業の規模を大きくして集中する過程が必要だろう。

もっと力を加えてみよう

社会運動をする仲間たちは、中小零細製造業の労働者たちが投げる生活の質問に耳を傾けよう。 全泰壹(チョン・テイル)烈士が「勤労基準法を守れ」と身を燃やして労働者の現実を知らせたように、 工団労働者の人生を底辺に引き下ろしたカルテルに対する社会的な問題提起が必要だ。 元請大企業中心の産業構造、派遣と短期期間制など深刻な雇用不安定、複雑で歪んだ雇用構造、 たやすい休廃業、政府管理監督の不在、作業場での人権侵害、低賃金と長時間労働、家族解体、環境問題、労働災害のような社会的他殺、 工団老朽化による社会的危険など、多くの問題が工団には山積している。 こうした課題を社会的に提起して共にする「連帯」を組織する過程が労働運動の社会的な役割を生き返らせる過程になり得る。 したがって、工団労働者の組織化の過程で社会的連帯を組織することに皆が力を入れよう。

組織された労働者たちは、工団労働者と共に構造調整に対抗する闘争をするために努力してみよう。 政府と資本は労働者を分断し、各個撃破する。 今の時期の闘争で、大工場、公共部門中心の対応としては、この戦術に対抗するのは難しい。 中小零細事業場の労働者との共同闘争を考慮して、そのための空間を作り続けなければならない。 工団組織事業が完成した後、元請大工場と共に闘争しようという意味ではない。 工団組織事業団が大工場中心の闘争をするにしても、中小零細事業場の議題を掲げ、 中小零細事業場の労働者が参加して発言できる空間を開き、 それを通じて共同闘争を試みていこう。 中小零細事業場の労働者の組織化は、ストライキと街頭闘争の結合の可能性を見せられる。

地域の活動家は企業別労組の形式と違う新しい形態の組織化実験を試みてみよう。 元請事業主と地方自治体と産業団地管理公団など、労働者たちの労働条件に影響する団体を交渉の対象に拡張して、 事業場単位を越える団体協約を組織してみよう。 中小零細事業場の場合、すでに企業単位の労使関係が特別な意味を持てなくなっている。 不安定性が日常になった状況で、労働者たちの労働条件を改善し、社会的な発言力を持つために、 工団シャトルバスや勤労者健康センターの設置、工団労働人権ガイドラインの構成、無料労働禁止など、 工団全体を対象とする議題を設定して、 低くは署名運動から、高くは地域ストライキまで、 多様な形態の地域闘争方式を開発してみよう。 不安定性の時代、新しい労働運動の可能性を作ってみよう。

付記
この文は民主労総の3期戦略組織化事業中ソウル南部『労働者の未来』で工団組織化事業に共にしたクォン・スンマン、オ・サンフン執行委員とキム・ヘジン常任活動家が共に議論した結果を整理して作成しました。
この文は撤廃連帯機関紙『チララビ』 2016年7月号(通巻155号)にのせられた文です。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-07-30 19:34:51 / Last modified on 2016-07-30 19:34:52 Copyright: Default

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