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アリの一言:「文化の日」と「明治の日」と高市早苗氏
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 今日11月3日は「文化の日」という「祝日」です。なぜこの日が「祝日」なのか。日本国憲法が公布された日と思われているかもしれませんが、この日は1873年から「天長節」という「祝日」でした。昭和のはじめから敗戦までは「明治節」という名前になりました。この日は天皇睦仁(明治天皇)誕生日です。

 4月29日も「昭和の日」という「祝日」ですが、それは天皇裕仁(昭和天皇)の誕生日です。

 

 日本の「祝日」はほとんど天皇・皇室神道ゆかりです。そこに無意識の天皇制の実態があります。なかでも「11月3日」と「4月29日」は露骨な天皇賛美です。その2人の天皇は、いずれも侵略戦争・植民地支配の先頭に立ってきた人物です。

 

 天皇主義者ら反動勢力は「文化の日」をもっと明確に天皇賛美の「祝日」にしようと狙っています。それはこの日を「明治の日」にしようとする策動です。

 

 2022年4月、超党派の「明治の日を実現するための議員連盟」なるものが発足しました。

 会長は自民党の中でも極右に属する古屋圭司元国家公安委員長。今回の総裁選では高市早苗陣営の先頭に立ちました。副会長・大島敦(立憲民主)、馬場伸幸(日本維新)、神谷宗幣(参政)、幹事長・原口一博(立憲民主)、副幹事長・古川元久(国民民主)の各氏らと、文字通り超党派の右派が名を連ねています。

 

 設立趣意書では、「我が国の将来の発展を期して、明治を生きた人々の努力に敬意を表し…『明治の日』と改称する」とうたっています。

 

 自民党内には以前から「明治の日を実現するための議員連盟」がありました。その会長代理だったのが高市早苗氏です。

 高市氏は「「明治の日」の制定に向けた「祝日法」の改正を」と題したコラム(2020年11月11日)でこう述べています。

 

<かつて、昭和天皇の誕生日である4月29日は「みどりの日」でした。平成19年1月1日に施行された『改正祝日法』によって、「昭和の日」となりました。私は、この『祝日法』改正案の、初代提出者でした。

 

 「明治」といえば、私が大学卒業後にご指導を賜っていた故・松下幸之助氏の言葉に、印象的なものがあります。松下幸之助氏は、明治時代の日本では、「五箇条の御誓文」の他に、「文明開化」「富国強兵」「殖産興業」といった国全体の目標が定められ、それらが国民の間に浸透していたことによって、国家国民の諸活動に力強さが有り成果も上がっていたことを、指摘しておられました。

 

 明治の時代を生きた先人に敬意を表し、感謝を申し上げる気持ちを持って、「文化の日」を「明治の日」に改める『祝日法』の改正案を国会に提出したいと、決意を新たにしています。>(高市氏の公式サイトから抜粋)

 

 高市氏は10月24日の所信表明で、「昭和100周年」を「国家的節目」にするとぶち上げました(10月27日のブログ参照)。それとあいまって、「明治の日」制定に向けた策動が超党派で加速する恐れがあります。

 

 それはたんなる「祝日」の名称変更ではなく、明治から昭和にかけての天皇制帝国日本の侵略戦争・植民地支配の歴史を肯定・賛美し、今日の大軍拡・戦争国家化の精神的基盤づくりを図るものです。

 

 蛇足ですが、11月3日の「誕生日の花」は「菊」だそうです。




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