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〔週刊 本の発見〕『「悪の枢軸」イランの正体 核・監視・強権――八〇〇日の現場取材』 | ||||||
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イランの今を、知るために『「悪の枢軸」イランの正体 核・監視・強権――八〇〇日の現場取材』飯島健太 著(朝日新聞出版)評者:わたなべ・みおき
先月24日には、この抗議デモを背景とした映画『聖なるイチジクの種』がカンヌ映画祭で特別賞を受賞したが、モハマド・ラスロフ監督は、国家安全保障に反する共謀罪で禁錮8年と鞭打ち等の刑の判決が出され、極秘に出国せざるをえなかったという。 「世界最大の『テロ支援国家』、反米国家・イランでいったい何がおきているのか」と帯にあるとおり、本書は、2020年10月から23年1月までイランに赴任していた朝日新聞テヘラン支局長による、イランの今を知るための渾身の記録だ。 赴任中に起きたアメリカとの一触即発状態、女性の死亡事件、大統領選挙、核開発疑惑について等、イランを不可解な国と思わせている現在進行中の事柄について、著者は「一般的な」イメージに捉われずに、一つ一つ丁寧に取材し記載している。 つい先月、ライシ大統領や外相らが死亡したヘリコプターの墜落事故が、制裁下で部品の調達ができずにいたことが原因だったというくらい、長年続く経済制裁によってあらゆる物が不足している。そこに環境破壊による水不足も加わり、貧困に苦しみ、不満を溜める市民たちの生活についても、著者自身の体験とあわせ詳しく書いている。 それほどまでに制裁を受けてもなお、「反米」を貫こうとするのはなぜなのか。 そして2002年1月の一般教書演説で、ブッシュ大統領は北朝鮮とイラクとイランを「悪の枢軸」と名指し。2003年には「大量破壊兵器」を隠し持っているとして、イギリス等と「有志連合」を組んでイラクを攻撃し、フセイン政権を打倒した。 国境を接する二つの国の政権が、アメリカによって破壊された。 もちろん、国民の不満を力で抑え込もうとするイランが理想的な国家であるはずはない。だからといって他国が武力で変えようとするならば、苦しむのは一般国民だ。 「ならず者国家」「テロ支援国家」「悪の枢軸」と決めつけるアメリカの傲慢さに憤っていたが、著者は「分断を固定化して紛争を招く本当の『悪』は、相手を理解しようとする歩みを止めてしまう私たち一人ひとりではないか」と突きつける。 数々の写真も含め、「イランについての理解に繋がり、現地の人びとを取り巻く環境がよくなるように願っている」という著者の思いが込められた、良書だと思う。 【編集部注】わたなべ・みおきさんはこの欄を2年間担当しましたが、今回で終了となります。わたなべさん、ありがとうございました。 Created by staff01. Last modified on 2024-06-13 10:06:45 Copyright: Default |