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強制動員「第三者弁済」案は日本人の恥

2023年03月07日 | 侵略戦争・植民地支配の加害責任
   

 帝国日本の植民地支配下で強制動員・不法労働の被害を受けた韓国の人々(元「徴用工」)に対して、ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権が6日発表した「第三者弁済」案。その問題点については繰り返し書いてきたので(3月2日、2月25日、2月19日のブログ参照)、今日は別のテーマにしようと思っていたのですが、日本の報道(とりわけNHK)や、そこで流された「街の声」があまりにもひどいので、今日もこの問題を書きます。

 6日正式に発表された案の内容、日本の政府・財界(経団連)の反応は予想通りです。それを賛美するNHKも相変わらずですが、6日の報道で特に気になったことがあります。

 それは、NHKが「日本企業」というだけで三菱重工、日本製鉄(当時・新日鉄住金)の名前を一貫して出さなかったことです(写真左)。

 問題はそもそも韓国大法院(最高裁)が命じた(2018年10月、11月)賠償を被告の三菱重工、日本製鉄が支払うかどうかです。その被告の企業名を出さないのは報道としてあり得ません。それほどまでしてNHKは国策企業をかばいたいのか。それとも政府からの指示なのか―。

 さらに驚いたのは、同日夜の「ニュース9」で流された「街の声」です。「第三者弁済」案について意見を求められた市民は全員、「これで日韓関係が正常化してほしい」「慰安婦問題でのムン(文)政権のような裏切りが心配」(大要)など、日本政府の主張をなぞるものばかりでした。

 また、新大久保での「若者の声」は、「歴史より文化」と、日本の侵略・植民地支配の歴史を不問にして「文化交流」を望むものばかり。その「声」をNHKキャスターが称賛する、というものでした。

 NHKが流す「街の声」はそもそも偏っているので、今回も都合のいい「声」だけを流したとも考えられますが、この問題に関してはそれが実態だったのかもしれません。それほど、強制動員問題や戦時性奴隷(「慰安婦」)問題の真実・本質は知らされていない、報道されていないからです。

 これは由々しき事態です。

 戦時性奴隷問題についていえば、安倍晋三政権とパク・クネ(朴槿恵)政権の間で、日本の謝罪と賠償責任を棚上げした「日韓合意」(2015年12月)が交わされましたが、被害者や支援団体はじめ韓国市民の厳しい批判を受けて、ムン・ジェイン(文在寅)大統領が見直しを表明したものです。ムン大統領の判断はきわめて妥当で、問題は安倍氏とパク政権が行った「合意」の方にあります。

 強制動員問題も戦時性奴隷問題も、根源は日本の植民地支配・不法行為であり、日本の政府と企業がそれを認めて被害者に謝罪し賠償すること以外に解決の道はありません。これは韓国の問題ではなく、日本の問題、日本人の問題です。

 にもかかわらず、韓国側の問題であるような日本政府の主張、日本メディアの報道は、被害者と加害者を逆転させ、加害責任にほうかむりすること以外の何ものでもありません。

 日本人は自分が加害の国の人間であることを自覚し、日本政府と企業に責任をとらせなければなりません。
 そして、日本と朝鮮の関係史、日本の加害の歴史を知らなければなりません。歴史の知識と責任を伴わない「文化交流」「未来志向」などありえないことを、日本人は銘記すべきです。





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