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フランス:マクロン政治にノン!〜年金改革反対の大規模デモ続く

飛幡祐規(たかはたゆうき/パリ在住)

 3月7日、年金改革反対デモは全国で 350万人(警察発表128万)、パリで70万人(主催者発表)を集めた。この半世紀で最大の動員だという。2月の休暇(学校は2週間、大学と国会は1週間)後も反対運動はしぼまないどころか、電力、精油所などでのストは既に先週の金曜から始まった。エネルギー部門、交通機関、港湾など主要部門でストの継続が採決され、「黄色いベスト」運動の時のようにロータリーの占拠、大学・高校の封鎖も始まっている。

 そもそも政府は「年会改革法案」ではなく「社会保険予算の修正法案」として提出するという汚い手を使って、国民議会での討議を9日間しか設けなかったこと自体問題である。野党(特に「服従しないフランスLFI」)は多数の修正案を提出し、政府の数々の虚言を暴いたが、時間切れで採決に至らなかった。今は元老院で討議の最中。元老院は保守が過半数(基本的に年金改革に賛成)のため、採択される危険がある。(その後は国民議会に戻る)

 メディアではもっぱら政府の主張が繰り返され、テレビ・ラジオのコメンテーター・ジャーナリストはマクロンと政府の従僕のごとく振る舞うが、時間が経てば経つほど、改革内容がいかに女性や低所得者、就職した年齢が早かった人々に不利かを、市民の多くは理解した。法的退職年齢を62歳から64歳に遅らせることは、人々から退職後の最良の2年を奪う非情な政策であることや、シニアを雇いたがる企業は少なく、退職年齢前に失業したり病気になる人が多いこと(つまり他の社会援助を必要とするので、国の予算の節約はできない)は、特権的な生活をしている人以外ならすぐにわかる。

 問題は、マクロンが意地でもこの改革を通そうとしていることだ。これほど大規模な社会運動が起きると、これまでフランスの為政者は民衆の意を汲んで、法案を撤回する、国会を解散する、国民投票を行うなど民主主義が機能する道を選んだ。政治の経験が皆無で大統領になり、一国を企業のように管理しようとするマクロンには、この民主主義感覚がない。

 全労組の大規模な統一デモが続いているのも画期的だが、若者から高齢者まで多様な市民が大勢、何度も路上に繰り出すのもすごい。ストがどのくらい続くかわからないが、明日8日は女性デモ(国際女性の権利デー)、9日は若者デモ、10日は気候デモ、そして11日土曜は再び、年金改革反対デモを労組が呼びかけた。(3.11なので福島12年の追悼・反原発集会を催す予定で準備をしていたが、翌日12日に延期することになりそう)


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