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LNJ Logo 「私たちは根室本線存続を諦めない」新得町で意見交換会開催/北海道十勝総合振興局へ「存続」要請行動も実施/安全問題研究会
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 9月22日18時から北海道新得町で開催された「根室本線の災害復旧と存続求める意見交換会」(主催:根室本線の災害復旧と存続を求める会)に参加した。根室本線は、2016年の台風災害以来、東鹿越(ひがししかごえ)〜新得で今もバス代行が続き、この区間を含む富良野〜新得の廃線が提起されている。

 意見交換会は、コロナ禍による中断を挟みながら年1〜2回開催されている。地元住民の廃線反対の意思を確認する重要な場だ。

 会の事務局長を務める佐野周二さんは、国鉄分割民営化の際JRに採用されなかった。元国労帯広闘争団員。被解雇者が雇用・年金・解決金を求め、国鉄の法的後継法人、日本鉄道建設公団を提訴した「鉄建公団訴訟」の原告だった。佐野さんにとって根室本線の廃線提起は、自分の雇用を奪うことで発足したJR北海道が今度は地元の足を奪おうとする「第2の攻撃」だ。

 意見交換会では、平(ひら)良則代表が「JRは復旧のため何もせず、私たちが諦めるのをただ待っているだけ。彼らが諦めるのを待っているなら私たちは諦めない」と決意表明した。

 労組動員もなかったのに参加者は50人近くに上り、前回を上回った。貨物輸送や観光輸送に鉄路を役立てようとの意欲的「対案」も参加者から出された。

 JRが2016年11月に廃線提起した5線区のうち廃止届が出されていないのはここだけ。「住民と行政が連携しないと本当に廃線になる」(参加者)との危機感は強い。一方、他の4線区がすべて盲腸線(行き止まり路線)だったのに対し、この区間の廃線はつながっている線路を断ち切って直通できなくするもので影響は比較にならない。

 意見交換会に先立つ22日14時半から、北海道十勝総合振興局(帯広市)に根室本線存続と災害復旧を求める要請行動を行った。JR同様に何もしていない道庁の眠りを覚ますため、要請書には「JRを指導することは道の基本的責務」と書き込んだ。40分近くに及んだ要請。振興局は神妙な面持ちで「道庁本庁に上申する」と約束した。

 国鉄闘争終結から10年。元支援者(安全問題研究会)と鉄建公団訴訟原告が再び連帯する闘いの形を作った。

 意見交換会では安倍元首相の国葬反対署名が28筆集まった。根室本線は10・5億あれば復旧できるのに、無視して安倍国葬に16億も使う政府。地元の怒りは噴出して当然だ。(黒鉄好)

●根室本線の災害復旧と存続を求める会 平良則代表あいさつ(音声のみ)  https://www.youtube.com/watch?v=mVDRuDVMWfc

------------------------------------------------------------------ (以下は十勝総合振興局に提出した要請書。印刷に適したPDF版ご希望の方は、安全問題研究会サイトから → https://transportation.sakura.ne.jp/yousei/220922tokachi-yousei.pdf)

                       2022年9月22日

 北海道十勝総合振興局長 芳賀 是則 様

                根室本線の災害復旧と存続を求める会                 安全問題研究会

 根室本線(富良野〜新得)廃止を撤回し、災害復旧と存続を求める要請書

 私たちは、これまで、JR北海道がバス転換を求めるいわゆる「5線区」のひとつである根室本線(富良野〜新得)の災害復旧と存続を求めて活動を続けてきました。

 同じく5線区のひとつである留萌本線について、JR北海道が先行廃止する石狩沼田〜留萌間の廃止届を提出した旨が報道されています。しかし、根室本線はいまだ廃止届は出されていません。輸送密度は低くても、北海道における一大幹線であり、観光輸送の可能性を持ち、災害などの有事において代替輸送路となり得る路線をわざわざ断ち切って通行不能にすることは常識では考えられない鉄道政策の退化であり、有事におけるレジリエンス(回復力)の発揮をも困難にすると私たちは考えています。

 こうしたことから、本日、下記のとおり要請を行いますので、本要請の趣旨をご理解の上、本要請書に対して文書により回答を行われるよう要望いたします。

            記

<要請内容>  根室本線(富良野〜新得)について、災害復旧させJRによる運行を再開させること。また、廃止届の提出を中止させるとともに、存続させるようJR北海道を指導すること。

【説明】  JR本州3社及び九州の完全民営化に当たって国土交通省が定めた「新会社がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針」(平成13年11月7日国土交通省告示第1622号。以下「指針」) では、JR各社は完全民営化後にあっても「現に営業する路線の適切な維持に努めるものとする」とされている(指針 II−2−イ)。

 完全民営化されていないJR北海道、四国の2社については、さらに厳格な路線維持努力義務が課せられているものと考えられるが、 バス転換を求める5線区については、JR北海道は指針が定めるような維持義務を果たさず 、2016年の「維持困難線区」公表以降今日に至るまで、地元自治体が存続を諦めるまで放置して待つという姿勢しか見られなかった。こうしたJR北海道の姿勢は明確な指針違反であり、私たち2団体としては到底受け入れられない。

 国土交通省「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」は、今年7月25日、提言を公表した。この提言においても、指針を引用した上で、JR各社は「単に不採算であることや一定の輸送密度を下回っていることのみで、路線の存廃を決定すべきではない」(P.29)と明記し安易な廃線を戒めている。また、 鉄道を運行する「公共政策的な意義」(バス転換が、(1)車両や運転士の安定的な確保の点で極めて困難、(2)定時性・速達性が著しく低下、(3)渋滞を悪化させる等 、あるいは、鉄道の果たす役割が、当該地域のまちづくりや観光戦略上、必要不可欠な要素の一つに位置付けられている場合等(P.34))を有する路線には輸送密度が低くても存続があり得ることを初めて示唆するものとなっている。

 根室本線は北海道における一大幹線であり、その全線にわたって、(1)アフターコロナにおける観光客の輸送、(2)石勝線などの基幹路線が災害で不通となった場合における貨物代替輸送−−という公共政策的役割が期待されている。こうした根室本線の重要性をJR北海道に対して再認識させるとともに、富良野〜新得間に係る廃止を撤回させるようJR北海道を指導することは、道としての最も基本的な責務である。

 なお、安全問題研究会は、これまでに、鉄道線路を地方自治体が所有した場合にも、道路等と同様、地方交付税の算定・交付対象となるよう求める総務省宛要請を実施したほか、災害等の有事において貨物列車の迂回輸送の対象となり得る線区を貨物調整金の支給対象に加えるための法改正案を作成し、提案も行ってきたところである。 地域交通網維持のため、このような政策提案などを通じて道とも協力したいと考えている。

(以 上)

------------------------------------------------------------------ <参考資料>

・新会社がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針(平成13年11月7日国土交通省告示第1622号)  https://transportation.sakura.ne.jp/mlit-jrshishin.html

・鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会  https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk5_000011.html

・鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会提言「地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言〜地域戦略の中でどう活かし、どう刷新するか〜」  https://www.mlit.go.jp/tetudo/content/001492230.pdf

・安全問題研究会の総務省宛要請(地方交付税の鉄道線路への適用を求めたもの)  https://transportation.sakura.ne.jp/yousei/171114soumuyousei.pdf

・日本鉄道公団法案(JR再国有化法案)、貨物調整金制度拡充法案(安全問題研究会)  https://transportation.sakura.ne.jp/local/koudan/koudanhouan-top.html

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代表 黒鉄 好

公式サイト:https://transportation.sakura.ne.jp/ 公式ブログ:https://blog.goo.ne.jp/hitorasiku ------------------------------------------------


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