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LNJ Logo JAL解雇争議 : キャビンクルーユニオンが妥結、JAL被解雇者労働組合は闘争継続
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 2010年12月31日のJAL整理解雇(165名)をめぐる争議が続いてきたが、44人の被解雇者を抱える「キャビンクルーユニオン」(CCU)は7月16日、以下の執行委員会声明を発表し、争議を終結することを決定した。「日本航空乗員組合」(JFU)もまもなく大会を開いて態度を決定する予定だ。いっぽう、19人の客室乗務員被解雇者を抱える「JAL被解雇者労働組合(JHU)」は、「私たちは“業務委託”という会社回答(雇用によらない仕事の提供)には同意できません。引き続き納得できる解決をめざして頑張っていきますので、宜しくお願い致します」(山口宏弥委員長)との見解を発表した。JAL整理解雇をめぐる「JAL争議」は12年目を迎え、新たな局面に入った。(編集部)
*写真はレイバーネット撮影

12年に亘る解雇争議の全面解決に関するCCU執行委員会声明

 CCUとCCU 被解雇者組合員44名は、2022年7月13日、日本航空と争議終結の「合意書」締結の確認に至り、12年近くに及ぶ解雇争議が終結致しました。CCU執行委員会は、今日まで長く苦しい争議を粘り強く闘ってきた被解雇者組合員に敬意を表し、争議の終結を心より喜び合うものです。

 本合意に先立ち、2018年には「雇用で解決する」という会社方針が出され、乗務復職は叶えられませんでしたが、現在までに3名の CCU被解雇者組合員が地上職に復職できました。この3名の復職は、日本の労働運動史に大きな足跡を残せるものと確信しています。

 また被解雇者組合員全員に向けての「職務機会の提供」という今回の会社提案は、これまで提示してきたCCU要求とは乖離はあるものの、被解雇者組合員の「職務提供を受けてみんなで前に進みたい」「これからもJALに貢献できる職務ならば喜んで就く」という思いこそを最優先とし、合意書締結を決定するに至りました。

 なお日本航空と交わした合意書には、解雇争議までに至った労使関係の正常化に向けての確認事項が列記されています。これは、CCUからの要求に正面から応える内容となっており、健全な労使関係が安全運航の基盤であることを再確認するとともに、今後二度と整理解雇の必要性が生じることのないよう経営の安定化に努めること、また職場の信頼感の構築と安全運航の推進に全力をあげることが明記されています。CCU 執行部は、この合意書に書かれている内容が、被解雇者、CCU組合員はもとより、日本航空のすべての労働者を励ますものと受け止めています。遡って、コロナ禍により経営が困難を極めた時期にも、日本航空では雇用の維持が確保されたこともまた、被解雇者組合員のがんばりと大きなご支援の賜物であると確信しています。

 振り返れば、2010年12月31日、日本航空は、破綻による人員削減の必要性を理由に客室乗務員84名に対する整理解雇を強行しました。この解雇は日本の労働界に大きな衝撃として受け止められ、解雇の実施を待たずして『日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議』が結成され、同時にCCUは、JFUと共にILOへの取り組みを開始しました。また被解雇者72名の一人ひとりが原告となり、地位確認を求める提訴を行い、最高裁までの長く厳しい法廷 闘争を、多くの方々のご支援を得ながら闘い抜きました。CCU はこの闘争を全面的に支えました。同訴訟は敗訴という厳しい結果になりましたが、解雇実施に至る過程でCCU・JFU 両組合のスト権投票への支配介入があり、両労組は都労委に不当労働行為救済の申し立てを行いました。出された救済命令を不服とした会社の行政訴訟は、組合側の完全勝利という形で終了しました。その結果、会社からの謝罪を得るとともに、「今後、不当労働行為を一切行わない」という 会社の言質が得られたことは、私たち現役組合員全員にとっても意義ある成果となりました。

 ふたつの裁判の判決が確定した後も、CCUは、JFUと共同して ILO への取り組みを継続し、ILO から4次の勧告の発出を得ることができ、これらの勧告が、雇用で解決の道を切り開く上での大きな力となりました。日本航空が、これからも国際基準に則り、世界に範となる航空会社として進んで行くことを切に期待して止みません。

 労働運動史に多くの教訓とともに残るであろうこの解雇争議の今般の終結にあたり、長きに亘る12年間、航空の仲間を始め国内外の多くの組織や個人の方々からの、温かくも心強いご支援に、職場復帰を求めて闘った仲間たちの死を悼みつつ、被解雇者組合員44名とともに、心よりの感謝を申し上げます。

 「安全運航の確立」と「労使関係の正常化」の試金石として日本航空経営に解決の決断を迫り、獲得した成果と教訓は、『輝いて、そして未来へ客室乗務員の誇りと人生をかけた50年の軌跡』(2019 年9月発行)に新たに刻まれることとなりました。この争議を通じて、被解雇者44名の組合員から多くの事を学び、また励まされたことも、最後に記しておきます。

 日本航空キャビンクルーユニオン執行委員会 2022年7月16日


Created by staff01. Last modified on 2022-07-18 17:11:09 Copyright: Default

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