映画紹介『マイスモールランド』/非人間的な日本の入管制度の中で | |||||||
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●映画紹介『マイスモールランド』(監督:川和田恵真) 非人間的な日本の入管制度の中で笠原眞弓女子高校生が他愛なく話している中に、自分を「ドイツ人」という少女サーリャがいる。 でも彼女は、クルド人だ。なぜドイツ人と言っているかは、後に説明されるが、なんとも 悲しい。 クルドの心を大切にする父のもと、日本生まれの妹、弟と暮らす。父親にも学校にも内 緒でしているコンビニのアルバイトは、学校の先生を目指して大学に行きたいから。そん な彼女にも、心を寄せ合うコンビニのバイト仲間聡太がいる。 父親は、自国で政治活動をして、難民となって日本に来た。埼玉県には2000人くらいのク ルド人のコミュニティーがあるが、ご存知のように欧米に比べ、日本では難民の受け入れ が極端に低い。そんな中で、難民申請が却下されてその場で家族全員の身分証でもある在 留カードが破棄される。こうなると居住区県内から他県へ行くことも、働くこともできな い。人は働かなければ生きていけないのに…。日本の即帰国を促すこの制度は、彼らが母 国での命の補償には、全く無関心なのだ。 ある日、不法労働で入管に収容された父。弁護士の奔走にもかかわらず、膠着状態が続く 。クルド人コミュニティーの中では、それなりの助け合いはあっても、限界もある。自分 たちの生活も将来も、全てが闇の中で、健気に前を向く彼女。そして父はある重大な決心 をする。 今年に入って収容者に対しての殺人的死亡事件などで、入管の問題がクローズアップされ たからか、是枝裕和監督に連なる川和田恵真監督の処女作だからか、映画館には思いのほ か若者が多かった。 日本の入管の人権無視は戦前の特高警察のように非人間的といわれているが、その一端
がこうして見やすい形であらわにされるのは、望ましい。私自身、映画を観ながらこんな
に泣いたのも久しぶりだ。多くの「彼女たち」の希望通り日本で進学して夢がかなえられ
たら、どんなにいいかと思う。 *5/6より全国公開中 Created by staff01. Last modified on 2022-05-08 22:47:08 Copyright: Default |