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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(4/28) : 正式採用とならなかった新任教員が4.2%も
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●根津公子の都教委傍聴記(2022年4月28日)

正式採用とならなかった新任教員が4.2%も

一定数の「正式採用とならなかった者」が教育行政には必要なのだ

 今日の定例会は公開議題が少なかった。非公開議題には、停職以上の懲戒処分案件2件及び「『いじめ防止対策推進法』第28条に基づく報告について」があった。

 同法第28条は、重大事態(いじめにより重大な被害が発生した疑いがある事態)をいう。2020年にいじめで自死した町田市小学6年生、18年に同じく自死した八王子市中学2年生の永石陽菜(ひな)さんの事例を見れば、学校側がいじめに蓋をし、自死に追い込んだことは明白だ。子どもたちのいじめをなくす取組以前の、教員や校長の姿勢が厳しく問われねばならない。いじめによる自死が発覚すると、この2事例以外でもほとんどの場合、「いじめに気づかなかった」と学校関係者は言う。全国共通して。こんな、あり得ないことがなぜ起きるか——。担任や部活顧問、校長が、いじめを受けて苦しむ子どものことよりも、自身の業績評価・昇進を優先した結果と思う。悲しいかな、断言していいだろう。心と心の触れ合い、耕し合いができる学校を取り戻すためには、教員が教育行政の支配・管理から自由になること。文科省・教育委員会が教員の管理・弾圧、職階制・差別賃金制度をやめることだ。

 今日の報告事項は「昨年度条件付き採用教員の任用について」。地方公務員法22条に沿って、採用後1年は条件付き採用とし、1年経過後、校長が「良好な成績」で仕事を遂行したと認定したら正式採用となる。昨年度は新採用の条件付き教員3134人のうち、正式採用が3001人、正式採用とならなかった者が133人。4.2%が正式採用とならなかった。昨年は2.8%が、一昨年は3.7%が正式採用とならなかった。今回正式採用とならなかった133人のうち、125人が「年度途中の自己都合退職等」、8人は「自主退職」。退職しなければ、分限免職とされる。

「自己都合退職が多かったのはなぜか」との秋山教育委員からの質問に事務方の答えは、「病気による退職が多かった。次に進路変更、介護など」と。今回確認したのではないが、事実は違う、と思う。以前に正式採用とならなかった当事者何人かから聞かされたのは、「退職しなければ、分限免職となる。そうなれば、今後の就職の際に傷になるから自己都合退職にするよう校長から言われた」ということ。脅されて、「自己都合」と書かざるを得なかったのだ。

 山口教育委員の指摘は的を得ていた。「正式採用とならなかった際に、評価する側にハラスメントがなかったとは言えないこともあるのでは。誰が指導についたかで正式採用とならなかったとならないように」。こうした「正式採用とならなかった」はいくらでもあるだろうと、私は裁判を傍聴してきて思う。例えば、校長や指導担当教員に意見したことを「指示にしたがわない」などと決めつけてのハラスメント、そして「正式採用とならなかった」、分限免職。

 条件付き採用の一番の狙いは、指導力向上などではなく、「日の丸・君が代」に見られるように、疑問を持たず率先して指示に従わせることにある、と私は思う。従わなければ「正式採用とならない」と脅され、「正式採用とならなかった者数=首切りを毎年証拠として示す。ごく少数ではなく一定数の「正式採用とならなかった者」が教育行政には必要なのだ。最初が肝心とよく言うが、初めの1年間、それを繰り返され続けたら・・・。おそろしいことだ!教育が良くなるはずがない。


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