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靴を履いて安らかに〜「中国人俘虜殉難者日中合同追悼の集い」開かれる

    伊藤彰信(日中労働者交流協会)

 戦後日本での日中友好運動は、1953年に日本赤十字社、日中友好協会、総評、 在日華僑、日本仏教連合会など14団体が呼びかけた「中国人俘虜殉難者合同慰霊 実行委員会」が始まりだったと言っても過言ではありません。

 そのきっかけは、1949年8月に花岡で発見された中国人強制連行者の遺骨でし た。11月19日、日中友好の原点に立ち返り、第2回「中国人俘虜殉難者日中合同追悼の集い」 が東京都港区の芝公園で開催されました。

 第二次世界大戦の末期、日本は国内の労働力を補うために約4万人の中国人を 強制連行し、全国135か所の土木工事、鉱山、港湾、造船などで、劣悪な環境の もと過酷な労働を強制しました。そして、約7000人(政府報告書は6830人)の中 国人が日本で命を落としました。1949年8月、中国人の遺骨が秋田県花岡(現・ 大館市)で初めて発掘されました。遺骨発掘70周年を記念し、中国から、遺族、 宗教者ら50人が来日し、日本から80人が参加して第2回の「日中合同追悼の集い」 が行われました。第1回の「日中合同追悼の集い」は10年前に行われました。

 前日の天気と打って変わり、雨も上がり、風もおさまった朝9時から公園で、 6830足の靴並べ、テント張り、祭壇、受難者名録壁(拓本)の準備が進みました。 10時30分からは庭儀を行ない、雅楽奏者、導師を先頭に遺影を掲げた遺族、日本 側参加者が続き、増上寺の周辺道路を行進しました。公園に戻り、献花をして、 11時40分から法要が行われました。

 12時から追悼の集いに移り、黙祷のあと、主催者を代表して一橋大学名誉教授 の田中宏さんが「日本で死亡した中国人俘虜殉難者は靴を履かないまま帰国せざ るを得なかった。靴を履いて安らかに旅立ってほしいと願い、靴を並べた。1953 年に花岡から殉難者の遺骨を返還する際に倣って、今回初めて庭儀として導師を 先頭に遺族が入場する儀式を行なった。強制連行を閣議決定した日本政府の責任 を追及していく」とあいさつしました。

 遺族を代表して花岡受難者聯誼会の韓建国さんが「1945年6月30日、花岡鉱山 の鹿島組に収容されていた中国人労働者が蜂起し、補導員を殴り殺し、森に逃げ 込んだ。軍隊、警察など2万人に包囲され捕られ100人以上が惨殺された。花岡鉱 山では強制連行された986人のうち419人が死んでいる。1949年夏、花岡鉱山付近 で中国人殉難者の遺骨が次々と発見され、その遺骨は日本の民間団体の運動によっ て返還されることになった。日本政府は謝罪を口にしたことはない。絶対に許せ ない」と裁判(現在大阪高裁で係争中)の経過を含めてあいさつしました。

 三菱被害労工遺族代表の載乗信さんが「父は市井のラッパ吹きだったが、1944 年6月、日本軍に捕まり帰ってこなかった。1945年12月に日本から帰ってきたが、 病を患い、手足は痺れ、一生苦労をした。家族も悲惨な目に合った。日本政府は 歴史の責任を負わなければならない」とあいさつしました。  在日華僑を代表して林康治さんが「花岡で遺骨が発見されてから、日本の友人、 朝鮮の友人、在日華僑は、全国的に遺骨収集の作業をした。1953年から1964年ま で9回にわたって2300余の遺骨を中国に返還した。しかし、なお多くの遺骨がこ の国の山野に埋もれたままになっている。平和を愛する人は、歴史に正しく向き あい、二度とこのような悲劇を起こしてはいけない。永久平和のために中日両国 人民の子々孫々までの友好を築きましょう」とあいさつしました。

 追悼の歌唱、舞踊と演奏が披露され、市民団体からの訴えの後、アピールを採 択しました。

 最後に村山首相談話の会の藤田高景さんが「安倍首相は、日中戦争を侵略戦争 と認めず、従軍慰安婦、南京大虐殺は無かったといっている。花岡和解も怪しか らんというのが本音だ。韓国の徴用工問題にしても日本が頭を下げる必要はない という。歴史を歪曲し、侵略・植民地支配の反省をしない安倍が、隣国と平和友 好を築けるわけがない。歴史を心に刻み、戒めとして、日中友好を築き、アジア の平和をつくろう」と閉会のあいさつをしました。

 参加者は、全員でインターナショナルを歌い、「日中合同追悼の集い」を閉じ ました。中国からの参加者は、その後、バスで花岡に向かいました。


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