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全国一般東京東部労組の須田です。

東京高裁による非正規労働者への差別判決弾劾! 東部労組メトロコマース支部 非正規差別なくせ裁判控訴審判決速報

東京メトロ駅売店の非正規労働者でつくる全国一般東京東部労組メトロコマース 支部が正社員との賃金差別をなくすために闘っている裁判の控訴審で、東京高裁 は2月20日、非正規労働者への差別を認める不当判決を言い渡しました。 判決は、一審の東京地裁判決と異なり、退職金の一部、住宅手当、褒賞(ほうしょ う)金の支払いを認めました。いずれも労働契約法20条が施行された2013年4月 以降のものです。なお、一審段階で認められていた残業手当の割増率の差額につ いては会社側の控訴を棄却し、高裁段階でも認められました。 他方、毎月の基本給の差、資格手当の有無、賞与の差は不合理と認めず、退職金 は正社員の4分の1という低い額しか認めませんでした。また、原告4人のうち 瀬沼組合員は労契法20条が施行された段階では定年後の継続雇用だったとしてす べてを棄却されました。 同支部の請求は何ら過大なものではなく、正社員と同じ駅売店で同じ仕事をして きたのだからすべてが認められて当然のものばかりです。手当の一部や、まして や何の根拠もない「正社員の4分の1」といった判決ではまったく納得できませ ん。差別の一部をなくす代わりに残りの差別を温存するような判決を認めるわけ にはいきません。 判決の主文を裁判長が言い渡した際、傍聴席からはすぐさま「不当判決だ!」の 声が次々と起きました。その後、約150人の仲間とともに東京高裁正門前で不当 判決に抗議するアピール行動を行い、「差別判決を許さないぞ!」のシュプレヒ コールをあげました。 さらに支部組合員と弁護団による司法記者クラブでの記者会見と弁護士会館での 報告集会を開きました。原告となった支部組合員4人は「最高裁に上告する」 「差別が撤廃されるまで闘っていく」などと今後も闘う決意を述べました。 以下、東部労組とメトロコマース支部の弾劾声明です。 ================================================== 東京高裁による非正規労働者への差別判決を弾劾する声明 2019年2月20日 全国一般東京東部労働組合執行委員会 全国一般東京東部労働組合メトロコマース支部  東京メトロ駅売店の非正規労働者でつくる全国一般東京東部労組メトロコマー ス支部が正社員との賃金差別をなくすために闘っている裁判の控訴審で、東京高 裁民事17部(川神裕裁判長、岡田幸人裁判官、森剛裁判官)は本日、非正規労働 者への賃金差別を容認する不当判決を言い渡した。  東部労組とメトロコマース支部は、本判決を弾劾するとともに、断固として最 高裁に上告することを表明する。  本判決は、地裁判決を変更し、正社員に支給されている退職金の一部、住宅手 当、褒賞金について、労働契約法20条に基づき、非正規労働者への支払いを認め た。ほぼ全面棄却だった地裁判決と比べれば、組合側の主張がより多く認められ た。とりわけ退職金の支払いを一部とはいえ認めさせたことは全国の労契法20条 裁判の中でも初めてである。  これらの「成果」は、闘いの先頭に当該の非正規労働者が立ち上がったこと、 そこに東部労組各支部、友好労組、支援者、弁護団など多くの仲間がよってたかっ て闘ったことで獲得できたものである。ともに闘ってきたすべての人たちに感謝 をお伝えしたい。  しかし、これをもって私たちは本判決を「勝利」と喜ぶ気持ちにはまったくな れない。基本給や賞与などについての差別を追認し、退職金の支払いについても 正社員のわずか4分の1しか認めていないからだ。また、原告となった4人の組 合員のうち定年後に継続雇用されていた1人は同じように駅売店で働いていたに もかかわらず、すべてが棄却されていることも到底許しがたい。  本判決は、比較対象者を地裁判決による正社員全体という誤った設定ではなく、 組合側が求めたとおり売店業務にあたる正社員に設定したものの、その正社員と 同じ基本給にしなくてもよい理由を次のように記した。「正社員として勤務して いた者を契約社員に切り替えたり、正社員として支給されてきた賃金の水準を第 1審被告(会社)が一方的に切り下げたりすることはできなかった」。つまり、 駅売店で働く正社員の賃金を下げることができないから、非正規労働者との差が 出てもやむを得ないというのだ。  裁判官諸君はとんでもない勘違いをしているのではないか。わたしたちは正社 員の賃金を引き下げた形での「同一賃金」など求めたことは一切ない。フルタイ ムで働いても月の手取りが13万円台にしかならない非正規労働者の底上げこそを 要求している。まずは現状の正社員の賃金水準まで非正規労働者の賃金を引き上 げればいいだけではないか。総額人件費を上げたくない経営者に媚びを売るのは やめよ。  正社員の5分の1しか支給されていない賞与について、本判決は「長期雇用を 前提とする正社員に対し賞与の支給を手厚くすることにより有為な人材の獲得・ 定着を図るという第1審被告(会社)の主張する人事施策上の目的にも一定の合 理性が認められることは否定することができない」とし、非正規労働者は格段に 低い賞与でも我慢するしかないと結論づけた。  この「有為」(能力があること、役に立つこと)を理由にして地裁判決は大半 の賃金差別を容認し、社会的に批判を浴びたが、高裁も同じように非正規労働者 を「有為ではない」と勝手に決めつけているのだ。いったい裁判官諸君は判決を 書くにあたって一度でも非正規労働者が働いている売店を見に来たことがあるの か。正社員と同じように働いている非正規労働者の労働実態を見ないまま、「有 為」などの文言で切り捨てる諸君らの感性こそが差別そのものだということを自 覚すべきだ。  退職金の支払いを4分の1しか認めなかったことについて、本判決には理由す ら書かれていない。どういう根拠で4分の1という低い水準にしたのかがさっぱ りわからない。非正規労働者は正社員の4分の1の存在価値とでも言いたいのか。 それとも何年働いても1円も退職金がもらえない非正規労働者への「お恵み」の つもりか。  わたしたちは退職金が賃金として正社員に支払われているのだから、同じ駅売 店で同じ仕事をしている非正規労働者にも同じ額が支払われるのが当然であると 主張してきた。わたしたちが求めているのは同情や施しではない。正当な権利で ある。  全国2000万人の非正規労働者のみなさん!  経営者による不当な酷使、屈辱、権利のはく奪に対し、わたしたちはもっと怒っ ていいはずです。裁判所の正義を愚弄する態度に対し、もっと怒っていいはずで す。その怒りこそが非正規労働者の絶対の解放につながることをわたしたちは確 信しています。東部労組とメトロコマース支部は、どれだけ長く険しい道のりで あったとしても差別撤廃の最後の勝利まで闘い続ける決意です。  非正規労働者よ、団結して立ち上がろう! 以 上 以下は、労働契約法20条メトロコマース事件原告団・弁護団の声明です。 ================================================== メトロコマース事件東京高等裁判所判決にあたっての声明 1 判決の概要  株式会社メトロコマースの契約社員Bの女性4名が、同社に対して、賃金格差 の是正と差額賃金相当額などの支払を求めた損害賠償事件の控訴審(平成29年 (ネ)第1842号)において、2019(平成31)年2月20日、東京高等 裁判所第17民事部(裁判長川神裕、裁判官岡田幸人、裁判官森剛)は、一審原 告(控訴人)ら3名に対して、請求を一部認容する判決を言い渡した。  判決は、労働契約法20条施行後に発生した住宅手当、褒賞、退職金の一部及 び弁護士費用の相当額を損害賠償として認めている。一方、原告の1名の請求を 全て棄却し、本給、資格手当、賞与については、いずれも棄却している。  さらに、早出残業手当の差額相当額の損害賠償を認容した一審判決の取消を求 めた一審被告の控訴については棄却した。 2 判決理由中の判断について  本判決は、一審原告らと比較対象となる無期契約労働者について、全正社員と した一審判決と異なり、原告が主張した販売業務に従事する正社員と判断した。  そのうえで、住宅手当については、「従業員の住宅費を中心とした生活費を補 助する趣旨で支給されるもの」であり、「生活費補助の必要性は職務の内容等に よって差異が生ずるものではない」等として、契約社員Bに支給しないことを不 合理だと判断している。  また、褒賞については、「業務の内容にかかわらず一定期間勤続した従業員に 対する褒賞ということになり、その限りでは正社員と契約社員Bとで変わりはな い。」として、契約社員Bに支給しないことについて不合理と判断した。  退職金については、「少なくとも長年の勤務に対する功労褒賞の性格を有する 部分に係る退職金すら一切支給しないことについては不合理といわざるをえない。」 と判断した。しかし、その損害額については、原告らの退職時の月額賃金を基礎 に、「正社員と同一の基準に基づいて算定した額の4分の1」としており、極め て低額である。  上記以外の本給、資格手当及び賞与について、不合理と認めなかったことは、 極めて不当である。 3 判決の評価  退職金について、一部ではあるが、契約社員Bに支給しないことを不合理だと 判断し、損害賠償を認めたことは一歩前進である。  しかしながら、本給及び賞与等の相違を不合理と認めなかったこと、退職金に ついての認容額が低額であること、1名の原告について請求を棄却したことにつ いては、速やかに上告し、最高裁判所で是正を勝ち取ることに全力を尽くす決意 である。 2019(平成31)年2月20日 労働契約法20条メトロコマース事件原告団・弁護団

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