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〔週刊 本の発見〕『地図から消される街一3.11後の「言ってはいけない真実」』 | ||||||
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足で書いた記録●『地図から消される街一3.11後の「言ってはいけない真実」』青木美希、講談社現代新書、920円/評者:志真 秀弘
5月12日(土)新宿で行われた「脱被ばく実現ネット」主催の集会とデモの記事(堀切さとみ)を読んだ(レイバーネットHP)。福島市から駆けつけた今野寿美雄さん(20年以上原発で働いていた)はこう訴える。いま「廃炉作業で終わったのは四号機の燃料プールの燃料を移動しただけ」なのに、〈もう七年〉という雰囲気になっている。が、そうではない。「〈まだ七年〉なのだ」と。 その今野さんが本書の「エピローグ」に現れる。著者は朝日新聞記者(写真右)。昨年11月今野さんは故郷の浪江町を訪れた。避難指示が解除され出入りが自由になって、解体業者が家屋の取り壊しを急いでいる。環境省への解体の申請期限は2018年3月30日になっているからだ。だが今野さんは自宅を解体するかどうか、迷っている。妻には「税金がかかるようになるから壊したら」と言われている。地震で飛び出した「台所の引き出し」も、居間の床の「プラレールやおもちゃ」も震災当時のままだ。かれの住んでいた住宅街の一角に帰ってきた人は一人もいない。
核による抑止力=核武装のために原発再稼働は必要で、それは国策と言い放つ「原子力村」の元幹部の話を読み「やはり」と思う。解体すると損失のみになるという目先だけでの再稼働ではない(第3章「帰還政策は国防のため」)。 国家権力は不都合な事実を常に「なかったことにする」。それを許した報道機関の敗北・無力を著者は「猛省する」と書いている。他人事ではない。まだ7年、これからだ。 *「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・渡辺照子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美・佐藤灯・金塚荒夫ほかです。 Created by staff01. Last modified on 2018-05-18 22:13:31 Copyright: Default |