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「誰も置き去りにしない」まっとうな政治づくりを!〜立憲民主党「開票センター」の会見

 西中誠一郎

 総選挙投開票日の22日夜、都内のホテルの大広間に設営された立憲民主党の「開票センター」で、枝野幸男代表を中心に、各報道機関の中継取材への対応と記者会見、そして立候補者パネルへの「花付け」等が行われた。             

 私が会場に到着したのは午後10時過ぎ。すでに一回目の「花付け」は終了し、埼玉県の選挙区で早々に当選確定した枝野代表は壇上に座り、各メディアからのインタビューに応じていた。その場では、メディア側のインタビュー内容は聞こえなかったが、枝野代表の回答の概要を以下書き起こす。

 9月末に「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(「市民連合」)から「野党四党」に提出され合意された7項目の基本政策や、公示日直前の10月7日に刷り上がった立憲民主党の政策パンフレット「まっとうな政治」と合わせて、今後の同党の動向をチェックする参考にして頂きたい。(重複内容については省略)

メディア各局のインタビューへの枝野代表の回答

■「NHKテレビ」の取材(多分)

枝野代表の回答:集団的自衛権の行使容認は憲法違反。選挙の結果で憲法違反でなくなるわけではないので、違憲部分については止めるべきだという姿勢は今後も貫いていく。

枝野:民進党を離党して、新しい旗を掲げて新しい道を歩き始めたので、民進党に残った皆さんがどういう判断をするのかについては、私どもが口を挟むべきではないという立場。

枝野:(選挙期間中)国民の皆さんと歩む「草の根からの民主主義」と申し上げてきた。従って国会の中の永田町の事情で、政策や理念を揺るがす、あるいは揺るがすと誤解される行動をとれば、今回頂いた期待を裏切ることになるので、そのことを最優先に行動したいと思う。

■「テレビ朝日」の取材

枝野:今回、立ち上がったばかりの党に大きな支援を頂き、心から感謝している。皆さんに約束した通り、今までの上からの政治を、草の根からの政治に変えていく、これで終わりでなくてここからがスタート。これからも立憲民主党に対して声を寄せて頂き、暮らしのための下からの政治を作るために努力していきたい。

枝野:これまで永田町の政治というのが、いかに国民から離れていたのか、国会議員の権力ゲーム、数合わせという風に見られていたのか、ということを想像以上に強く感じた。それに対して、違う立ち位置で政策•理念の筋を通すという姿勢を感じて頂いたのではないかと思う。これから永田町の中で仕事をすることになるがその内側を向くのではなく、数合わせや権力ゲームに巻き込まれることなく、しっかりと筋を通していくことが、何よりも求められていると思う。

枝野:今回掲げた理念、政策、公約を実現するために仕事をしていく訳ですから、それを前に進めるための努力はするが、そこをぐらつかせてまで、数を増やすということは一切考えていない。

枝野:違憲である安保法制、集団的自衛権を容認するような憲法9条の改憲は断固反対すると申し上げてきた。そしてこれも永田町のゲームではなくて、特に憲法改正は最後に国民投票があるので、もし政権が強引に行おうとするのであれば、国民の皆さんと共に闘っていきたい。

枝野:(民主党、民進党時代の)自らの反省も込めて、政権交代を可能にするために、あるいは政権を早く変えるために、政治には妥協はつきものだが、許される妥協の幅を越えて合従連衡していたと、実態はともかく、少なくとも多くの有権者にそう思われていた。そのことがなかなか受け皿になれなかった問題だと思っているので、そこは絶対に同じ轍は踏まない。  もちろん最終的には次の総選挙で政権交代を目指すと言ってきたが、近道して、理念政策を曲げてまで数を増やすということをしてはいけない。そこが今までと明確な違いだと思っている。

■「アベマTV」の取材

枝野:多くの国民の皆さんから選択肢がない、受け皿がないという声を頂いた。だとすれば、私は今回9回目の当選で、8期24年間(国会議員を)やらせて頂く中で、受け皿を作る責任が、そうした旗を振る責任があるのかな、と感じたので思い切って今回新党を立ち上げた。

枝野:(「希望の党」との合流について)両院議員総会の前日、前原代表から相談があった時に、にわかには賛成できなかったが、「不退転の決意」ということだったので、「私は邪魔はしない」と申し上げた。それ以上言わなかったのは、皆は(「希望の党」に)行っても私は行かないつもりだったから。自分自身は無所属でやるつもりだった。それそれの議員の判断でやるべきだと思った。

枝野:まず立憲主義を取り戻さないといけない。主義主張、イデオロギーの前の段階。どんな立場でも立憲主義を前提にしないと近代社会は成り立たない。ところがこれが解釈改憲によって揺るがされている、ますはそれを取り戻すということ。もうひとつは、選挙の中でも何度も訴えてきたが、今の民主主義が形だけになってしまって、本当に国民が主役の民主主義になっていない。これをしっかりと取り戻す。私が党を立ち上げたのはこの2点が大きな要素だったので、それをストレートに「立憲民主党」という名称にした。

枝野:「野党共闘」という言い方はマスコミの皆さんが大好きだが、例えば国会で成立している法律の7割か8割は、野党第一党も賛成している。半分は全会一致。つまり半分の法律は自民党と共産党も共闘しているということ。ですからテーマ毎に賛成しているところと協力するということは自民党と共産党もやっていること。

■ラジオ番組(名称不明)の取材

枝野:言い出せば切りはないが、(新党立ち上げは)ぎりぎりのタイミングで決断したからこそできたことではないかと思う。むしろ責任の重さを痛感している。特にこれまでの上からの政治ではなく、国民の声に寄り添った草の根の政治をやると、永田町の権力ゲームには加わらないと申し上げてきた。これから国会の中で活動していくので、いかに国民の皆さんと約束したことを貫いていくのかということに相当な覚悟がいると思うので、非常に重い責任を感じている。   枝野:福山幹事長が中心となり、それをサポートする優秀なチームがツイッターの特性を生かして活動してくれたことが、大きな効果を生んだことは間違いない。(中略)ツイッターに慣れている皆さんが、ツイッターの特性を生かして、独自に情報発言してくれたということが大きかった。

枝野:集団的自衛権の行使容認は違憲。そして専守防衛の則を越えるもので、これを追認するものには賛成できない。これは選挙でも約束してきたし、国民の皆さんと共に反対していきたい。

■「日本テレビ」の取材

(前略)
枝野:やはり「支え合いの仕組み」を優先しなければならない。例えば年金制度は高齢者と若者の間で分断されている。ところが年金制度があることによって、若い世代も自分の親や祖父母に対する扶養の義務を軽減できるという風に、若い世代にとってもプラスになる。子育て支援をすることが、将来の日本の活力を産み出して、上の世代にプラスをもたらす。今まで社会を分断して、こちらは得でこっちは損だという形で政治はやってきた。私はここから変えていかないといけないと思う。

■「TBSテレビ」の取材

(前略)
枝野:可能な範囲で野党の候補者を一本化すると。今回、共産党や社民党は選挙直前に候補者を降ろすなど、かなり大変なことまでして下さった。深く敬意と感謝申し上げるし、そうした努力や工夫は必要だと思う。

枝野:憲法の議論そのものを否定する立場ではないが、今、安倍さんがやろうとしている、安保法制つまり自衛隊が海外で武力行使できるという制度を前提として、これを憲法改正に追認すること、専守防衛を逸脱するということには到底賛成できない。(中略)  むしろ国民の立場では、解散権が首相に自由に任されているとか、臨時国会の召集要求に期限の定めがないとか、こうしたことに対して国民の民主主義的な参加をしっかりと担保すると、そうした議論を喚起していきたいと思う。

■ラジオの電話取材

枝野:北朝鮮の核ミサイル問題については喫緊の課題だが、やはり対話と圧力が必要。国益上難しい課題もあるが、米国一辺倒ではなく、ロシアや中国との関係を大事にしていきたい。

枝野:(原発事故対応では)ハードよりソフト面の政策が足らない。福島県民が分断されている。年輩の方は早く戻りたいと、若い方はお子さんの放射能の影響があるので戻らない。家族が分断されている。これは福島が深刻だが、津波で町が破壊された地域でも家族や地域コミュニティが分断されている。ハード面では戻りつつあるけれども、ソフト面で圧倒的に支援策が足らない。そのところに取り組んでいきたい。

■「IWJ」の取材

(前略)
枝野:(沖縄 辺野古の新基地建設での民主党•鳩山政権時の「最低でも県外」発言について)  まずは検証するということで、見直すとは言っていない。検証しないと同じ失敗をする。(立憲民主党「政策パンフレット」に、「沖縄県民の理解を得られる道をゼロベースで見直す」と書いてあるのは)なぜ失敗したのか、なぜできなかったのか、できる余地はあるのか、そこを検証するという意味。移設反対と言っても、実際に違う選択肢を提示できなければ、結局同じ失敗をするので、同じ失敗を二度することは許されない。なぜあそこでできなかったのか、しっかりと検証する。現状の米軍の世界戦略をしっかりと検証する。そこからスタートするという意味。そこには予断を持たずにゼロベースからやるということ。

「草の根の声」の受け止めづくりはこれから

 午前12時頃から、会場に集まった報道陣を前に記者会見が始まった。

 今回の選挙期間中、各地の街頭でおおいに盛り上がった「えだのん」コールについて、枝野代表は「最初は戸惑ったが、今まで政治に関心が低かった無党派層の方の声援も増えたと思うので、その思いを受け止めていきたい」と笑みを浮かべて答えたが、市民からの具体的な声を受け入れる仕組み作りについては「まだこれから」と答えるに止まった。

 また「市民連合」と交わした7項目の政策要求(※1)に関しては、「重要な喫緊の課題で、市民連合の皆さんと合意しているので、引き続き国会内外で頑張っていきたい。今の安倍政権に対して、不安や不満やいら立ちを持っている方に、働きかけるという意味で、選挙でも大きな役割を果たしてくれたと思う」と謝意を示した。

(※1)「衆議院議員総選挙における野党の闘い方と政策に関する要望」 https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=491749061186370&id=154925304868749

(10月22日の枝野代表の記者会見全体の様子については、「東京新聞チャンネル」など参照。https://www.youtube.com/watch?v=wYtmG2JPM48

多様性を認め合うカラフルな共生社会を目指して

 午前1時前にメディア取材を終えた枝野代表は、最後に報道陣の要求に答えて、新たな当選候補への花付けを行った。大阪2区で比例復活した尾辻かな子氏だった。

「今日も一日、お疲れさまでした。立憲民主党の尾辻かな子です」。
 大阪滞在中だった10月16日夜に用事があって通りかかった大阪環状線•桃谷駅前で、尾辻かな子候補の「辻立ち」に出会った。桃谷駅がある大阪市生野区は日本最大の在日コリアンの居住地域として有名な街だ。私はこの街で7、8年間暮らし、様々な地域活動や障がい者介護などに関わっていたことがある。尾辻氏は10月10日の選挙公示日当日、桃谷駅前で「第一声」を上げたという。なぜここで第一声だったのか質問した。

 「ずっと多様性とか共生社会とか、カラフルな社会を作っていきたいと言って活動してきました。まさにここには色んなバックグラウンドをもった人たちがいて、同じ地域で暮らしているというのが、大阪の多様性の象徴と思っているので、ここから訴えを始めました」。

 尾辻氏は介護福祉士、大阪府議を経て参議院議員になった。「LGBT情報センター」の代表理事も務めている。今回の選挙ポスターのキャッチコピーは「誰も置き去りにしない。格差と闘う!」だった。「希望の党」の「排除」は絶対に受け入れられず、立憲民主党に加わった。

 「筋を通すということ。枝野さんがいう『まっとうな政治』を取り戻す。これが今回の選挙で政治家が問われていることやと思ってますんで、自分の政策をきちんと貫く、そのことをしっかり訴えていきたいと思います」。

 多様な背景をもった人々の暮らし、社会的少数者の声をしっかりと受け止め、政策に反映させる仕組みをもった政治を取り戻す。巨大政権与党を前に、野党と市民の共闘作りは新たなスタートを迎えた。


Created by staff01. Last modified on 2017-10-25 12:54:03 Copyright: Default

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