「核のない世界にむけた世界社会フォーラム」に福島の自主避難者一行が参加 | |||||||
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「核のない世界にむけた世界社会フォーラム」に福島の自主避難者一行が参加橋爪亮子(モントリオール絆ジャポン代表)カナダのモントリオールでの世界社会フォーラム( 8月9日〜14日)の反核部門に参加した日本からの一行の参加の報告と私見を書いてみたい。 今回のものは世界社会フォーラム(以下WSF) 創設者の一人Chico Whitaker氏が提案し実現した3月の日本での「核と被ばくをなくす世界社会フォーラム」に続くもので “the World Social Forum for a World Free of Civil and Military Nuclear Fission “「民事と軍事の核のない世界に向けた世界社会フォーラム」 (以下反核フォーラム) が正式名だ。 WSFと平行して開催された6つのフォーラムの中の一つだ。 反核フォーラムはWSFオープニングに先駆けて前日8日に午前中1時間を長崎原爆の被爆者追悼式、その後場所を大学に移しラウンド・テーブル(2時間)とワークショプ (2時間)が開かれた。ちなみに、モントリオールは平和首長会議の加盟都市で、広島市と姉妹都市だ。毎年8月5日の午後7時15分(日本の原爆投下時刻の現地時間) にモントリオール植物園の日本庭園にある広島からの平和の鐘が鳴らされて追悼式が行われる。 9日から12日は 朝9時から3時あるいは6時まで原発産業関連(ウラン鉱山から核廃棄物の処理の問題まで)と、核兵器・軍縮関連に分れて ワークショップ(以下WS)が開かれた。 避難の協同センター世話人で、母子自主避難中の松本徳子さん、子ども脱被ばく裁判弁護団の柳原敏夫弁護士、 脱被ばく実現ネットの岡田俊子さんが8日夜に日本から到着した。 9日は午前中、大学でWSがあり, 柳原弁護士と通訳が参加した。 Whitaker氏、 Arnie Gundersen氏(Fairewinds Energy Education), モントリオール在住のGordon Edwards氏 (CCNR: Canadian Coalition for Nuclear Responsibility代表)、 Beyond Nuclear、フランスや日本などからの参加者がいた。柳原氏は Another relief is possible(もう一つの救済は可能だ) と題した英語のアピールをご自身でされた 。それは1−人権法であるチェルノブイリ法の日本版の制定、2−人権条約であるチェルノブイリ法国際条約(原発事故における避難の権利条約)の成立、3−政治責任の追及、4−貧困に苦しむ避難者の生活再建―市民の創造的相互扶助の自立組織の創設の4つのアクションの提案だった。 その後、モントリオール宣言について協議した。 翌日10日は一行全員が9時過ぎから前日とは別の大学でのWSに参加し、まず松本さんが通訳を通じて自分の体験を話された。 聴衆は福島県民の被ばく線量の上限が年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げられたことは知っていた様子だが当事者の話を聞く機会は少ないのだろう、皆が話に聞き入り、ビデオをまわす人もいた。次に岡田さんが汚染土として適切に処理されるべき汚染土の基準が100bq/kgから8000bq/kgに引き上げられ、それが拡散されること、この春に東北生産の牛乳から基準値以上のセシウム137が検出されたこと等を説明し、子供の命を守ることが急務であると訴えた。最後に、柳原さんが作成し、急いで 翻訳した“放射能災害から命、健康、生活を守るための人権宣言”が通訳者により読み上げられ、賛同を募った。 ネット署名ができれば拡散できるがという意見があった。 ただ、この人権宣言については、 別の意見もあった。簡単に言うと、それは自分の国のことはまずそこに住む人たちでやらねばならない、外圧を求めるのは他力本願との意見だった。 この宣言中の 「日本政府と自治体は2017年3月末の住宅支援打ち切りを撤回する義務がある」と「日本政府は自主避難者に対する責任を果たすべきである」の二文 に賛同しかねたのだろう。それはドイツ人からの指摘だったために、私には 脱原発や環境問題に関わるドイツ在住の友人がおり、ドイツで脱原発デモなどにも参加したこともあるため、彼らが脱原発とその社会をいかにして自分たちで選んだかを多少知っていたので その意見を当然と受け止めた 。放射能問題はすでに福島はもちろん日本だけの問題ではない事はそこにいる全員が認識している。その上で、世界との連帯をどうしていくのか。課題は大きい。と同時に、こう書くと誤解を招くかもしれないが、世界との連帯が必要なのか、今日本で進行している狂ったことに対して世界との連帯で救済を求める前に何か私たち個人個人ができることがあるのではないかと私は思った。もちろん 言う事は簡単だ。WPでは常に囁き声で通訳することは難しく一行は全てを理解することは無理だった。言葉も課題の一つかもしれない。 一行は日本でできることは何でもされている。日本に住みながら、子供の健康を心配しながら、人々の無関心や圧力に向き合いながらの彼らの活動は他の国での活動とは較べものにならない。彼らと連帯し、現実を見、多くの日本に住む人がこの緊急以外の何物でもない問題に目を向けて欲しいと日本の外に住む私は思う。 一行は住宅・街・土地権利部門に多く参加し、特に 住宅支援打ち切り反対への共感と今後の連帯を確認したようだ。反核部問への参加は上述の2回と10日の夕方の反核フォーラムの総会だったが誰にとっても貴重だったと思う。 13日と14日は会場を公園に移し、そこで彼らは最後の署名集めやチラシ配りをし、メディアのインタビューを受けて、翌朝の便で帰国の途についた。通訳者や私にとっても彼らとの特別な出会いとつながりが生まれた1週間だった。 柳原弁護士や岡田さんが 関わる脱被ばく実現ネットでは、9月3日には報告会も予定されているし、以下のウェブサイトからは動画も見られる。 こちらは写真: ここからは日本からの一行の行動と直接関係はないが、一市民の参加者の目で見た反核フォーラムの報告をする。私は全てのWPに参加したわけではないのを断っておく。 出席者は常に20人から30人程で、主に北米からで市民団体 に属している人が多い。日本からは原発メーカー訴訟に関わるNo Nuke Asia Action から参加があり、彼女が持参した東芝製品の不買を呼びかけるバナーは カレン・シルクウッド氏のポスターや黄色脱原発のバナーと共に壁に掲げられていた。雰囲気はカジュアルであり、内輪の集まり的な感じの時もあった。ある人は30年以上、ある人は15年 とこの問題に関わっており、場所は違っても共に闘う仲間のようなものなのだろう。情熱や実直さが伝わって来る人もいた。(原発と核産業という)次世代への犯罪だと焦燥感を表す人もいた。地元学生グループが一時参加したり、祖父母がロシアの核実験で汚染された土地の出身というオタワ大学生もいた。それでも、白人男性の年配者で占められがちで、マイノリティーの声が反映しづらいというウラン鉱山で土地の汚染がひどいアメリカのニューメキシコ州ナバホ族の女性活動家の指摘は間違ってはいないと思った。距離や渡航費、ビザの問題もあるのだろうが、アジアからは日本だけで、アフリカや中東、そして地元ケベック州のウラン探査の反対運動をしているクリー族の参加はなかった。 モホーク族父子の話は特別であった。信条を掲げて活動する人たちに対してさえも、辛辣な批判と示唆を投げかけた。長老風の父親の短い言葉は、母である大地の悲鳴のように聞こえた。 モントリオール在住で核写真家ギルド設立者Robert Del Tredici氏の写真展示(日本でもトリニティーから広島へと題して写真展を過去開催)が隣室であった。樋口健二氏と森住卓氏等の写真もあった。岡田さんが持参した写真を快く加え、一行のアピールの翌日にはその写真が現像され展示されていたのには驚いた。WPが行われた教室には資料を置くテーブルがあり、脱被ばく実現ネットのチラシも置くことができた。最後に今回採択されたモントリオール宣言(英語と仏語、各2ページ)はこちらから見られる。 できるだけ 参加者がなかった地域の団体に呼びかけたいと主催者側は思っている。呼びかけに賛同する人は団体名か個人名、 国名、連絡先の氏名とメールアドレスを明記してccnr@web.ca に直接英語で連絡をしてください。 Created by staff01. Last modified on 2016-09-04 12:09:32 Copyright: Default |