日本ペンクラブが「通信傍受法の改正に反対し廃案を求める」声明を
だしました。
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日本ペンクラブ声明
「通信傍受法の改正に反対し廃案を求める」
いま国会では刑事訴訟法等改正案の一環として、通信傍受法の改正が審議され
ている。集団的自衛権や安全保障法制の議論にまぎれてほとんど報道されないが、
ここにもまた民主主義の根幹を揺るがす大きな問題がある。
そもそも通信傍受法は「盗聴法」とも呼ばれ、法律制定の1999年当時から、日
本国憲法が保障する言論・表現・出版の自由と通信の秘密を侵害する恐れのあるこ
とが指摘されてきた。その懸念を払拭するため、公権力が通信を傍受できる対象者
を「薬物」「組織的殺人」「密航」「銃器」に関係する者ときびしく限定し、また
その場合でも、裁判所の許可と民間通信事業者の立ち会いを求めてきた。
ところが今回の改正案では、そこにさり気なく「児童ポルノ」が加えられ、公権
力がその「製造・所持・運搬・提供・陳列」などを疑う人物の通信も傍受できる、
としている。これは公権力に疑われただけで、あるいはそれを口実にして、制作者
はむろん、出版社や流通業者、書店や図書館などの関係者も、さらには一般の市民
も通信傍受の対象にされる、ということに他ならない。しかも民間通信事業
者の立ち会いもなくす、としている。
児童ポルノについては、以前から定義の曖昧さや、児童ポルノ規制に名を借りた
言論・表現・出版の自由の侵害につながるといった懸念が各方面から表明されてき
た。
私たちは、今回の通信傍受法の改正が、公権力による盗聴社会を招き寄せると考
える。これは民主主義と基本的人権の尊重を謳う憲法から逸脱するものである。
しかし、これだけ大きな問題を抱える改正案でありながら、国会の場で充分な
議論がなされているとは思えない。
私たちはこの改正案に反対する。同時に、一刻も早く廃案にするよう求める。
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2015年6月19日
日本ペンクラブ会長 浅田次郎
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Last modified on 2015-06-28 12:58:26
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