報告：シンポジウム「戦後７０年私たちの課題」

報告：シンポジウム「戦後７０年私たちの課題」
3月２９日(日)、東京・お茶の水にある明治大学リバティタワーにおいて、シンポジウム
「戦後７０年、私たちの課題」が開催されました。明治大学政治制度研究センターとNPO
日本針路研究所の共催で、司会は西川伸一さん(政治制度研究センター)。発題者と報告タ
イトルは次の通りです。

①浅井基文さん（広島平和研究所元所長）「憲法はどこまで血肉となったか」
②村岡到さん（NPO日本針路研究所）「戦後左翼の到達点、意義と限界」
③荒井利明さん（元滋賀県立大学教授）「東アジア共同構想の可能性」



浅井基文さんは、ポツダム宣言の意味とそれを受諾して日本が＜敗戦＞したことの意味を
理解することが重要であり、戦後日本を考える出発点だと強調。また、戦争の被害者とい
う意識水準で、広島を訪ねて「平和学習」をしたつもりになるのは、間違いだと明らかに
しました。さらに、「憲法も安保も」という歪な平和観、世界史的検証に耐えない国家観
、そして憲法が前提する「主体性を備える個人」としての主権者・国民を、血肉化できて
いない私たち自身の問題を提起しました。



村岡到さんは、浅井さんの提起とからめて、そもそも左翼が憲法や＜民主政＞を軽視して
きたのは、階級国家論を取るマルクス主義の誤りの結果だと明らかにし、左翼の限界とし
て、「歴史の必然性」認識や唯我独尊の作風を切開する必要があると提起。また、象徴天
皇制を直視すべきだと主張しました。



荒井利明さんは、「東アジア」の用語が浮上・定着した経過を明らかにし、中国が「東ア
ジア共同体」の展望を打ち出すようになったことの積極的な意義を強調。70年前の敗戦を
もたらした対中政策を反省し、中国との競争的協調に向けて東アジア共同体の実現をめざ
すべきではないか、と提起しました。

後半は、発題者がパネラーとなり、会場の参加者と質疑討論がなされました。結集した参
加者は、市民・労働者・ジャーナリストなど５１名。論点は、安倍晋三内閣とマスコミの
問題点、尖閣諸島など領土問題の解決策、鳩山友紀夫元首相が説＜友愛＞外交の評価など
。会場全体が安倍政権に対する危機意識を共有する中、発題者の原則的で鋭い問題提起と
、参加者との真剣かつ活発な討論を通じて、希望を感じさせる集会となりました。

【報　告】佐藤和之(佼成学園教職員組合)
【集会写真】http://blogs.yahoo.co.jp/tocka_jikkoi/65559925.html
【ＮＰＯ針路研】http://www3.ocn.ne.jp/~shinroin/