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止めよう!戦争法の発動〜「2015秋の憲法集会」開かれる

 11月3日、東京・水道橋の韓国YMCAスペースYで「2015秋の憲法集会〜止めよう!戦争法の発動」と呼びかける集会が開かれた。主催は「11・3集会実行委員会」。地下ホールを満員にする250人が参加した。

 午後2時、司会の菱山南帆子さんが、午後1時を期して一斉に行なわれた「安倍政治を許さないスタンディング行動」を紹介した。最寄りのJR水道橋駅にも有志が立ったと報告した。

 吉岡達也さん(ピースボート共同代表)が開会挨拶。「憲法問題は日本だけの問題ではない。アメリカの世界戦略と密接に係わっている。そして闘いもつながっている」。「世界の市民の声が、日本の運動を応援している。日中韓をどう結ぶか、アジアの平和をどう守るかだ。日本の民主化とアジアの人々とのつながり。この二つが大切だ」と語った。

■「駆けつけ警護」は非現実的

 JVC事務局長の長谷部貴俊さんは、「南スーダンと駆けつけ警護―NGOの立場から」と題する講演をした。

 9月の安保関連法の強行採決後、政府は国連PKO活動で南スーダンに派遣されている自衛隊の「駆けつけ警護」について、優先的に任務を追加する方針だ。安保法成立後、初の同法適用となる。

 「駆けつけ警護」とは、離れた場所で武装勢力などに襲撃されている他国軍や民間人を、自衛隊が助ける任務。来年5月には派遣部隊が交代するが、その際の任務遂行のルールとなる「部隊行動基準」(ROE)の改定作業を政府は進めている。

 長谷部さんは「私たちは徹底して中立的な活動をしている」と切り出し、スライドを上映した。「自衛隊は文民とのつながりを強めようとしている。NATO軍と米軍との役割は一体化している。しかしNGOは現地に軍が来て欲しくない」。「今の戦争は、どこが前線か分かりにくくなっている。多くのNGOが安保法制に反対の声をあげていないことは残念だが、9月には『安保法制に対する国際共同声明」が発表された。国内外331団体、世界36カ国から賛同が集まった」。

 スーダンに派遣された国連軍の事例を挙げ、「駆けつけ警護は現実的ではなく、むしろ一般市民を危険にさらす。中立的な人道支援や和解の仲介役としてのNGOの働きこそ重要であり、今後も現場の視点で声を出していきたい」とまとめた。

 一ツ橋大学名誉教授の山内敏弘さんの演題は「強行採決された戦争法と憲法問題」。強行採決された安保法=戦争法。これに反対する世論が盛り上がったのは、憲法の平和主義、立憲主義、民主主義に反することが明らかだからだ。

 大多数の憲法学者だけでなく、日弁連や内閣法制局長官、元最高裁長官までもが違憲と断じている。たとえば弁護士には、自民党の国会議員もいるが、全国52の弁護士会すべてが声明を出している。これら法律家がこぞって声をあげるのは稀有なことだ。

■はびこる反知性主義

 安倍政権は、これまでの政府解釈や砂川判決の悪用など、法の論理をかなぐり捨てた詭弁を弄してきた。

 中谷元防衛相が「憲法を戦争法に合わせる」などと発言したことは、立憲主義をないがしろにするものだ。今回の戦争法案の審議および強行採決は、人間の理性、知性、品性を疑うような「反知性主義」とでもいうべき、日本の現在の風潮を象徴している。

 山内さんは怒りと力のこもった、ていねいな解説を続けた。 参院選に向けシールズが呼びかける「落選運動」を評価しつつ、国会議員のリコール=罷免権の立法化にも言及した。そして、「存立危機事態を政府が総合的に判断するという主張こそ、今回の戦争法の核心をなしている。私たちは、そうはさせない運動を盛り上げていく」と締めくくった。

 休憩中に講演への質問用紙が回収され、第二部で質疑応答が行なわれた。 アメリカのNGOの活動について。自民党改憲草案にある「緊急事態法」について。南スーダン派遣と、アメリカの天然資源確保の狙いについてなどが聴講者から出された。

 お笑いタレントのオオタスセリさん(写真)は、持ち歌「ストーカーと呼ばないで」や、区議立候補を演じた一人コントを披露し、会場を笑いで包んだ。

■「今日から出発だ」

 集会の最後に、「行動提起」として高田健さん(市民連絡会)が発言した。

 60年安保闘争の後には大きな敗北感があった。しかし「2015安保」にはそれがない。なぜか。私たちには、挫折や敗北を味わっている暇がないのだ。私たちの前には安倍首相がいる。確信、怒り、決意。私たちにはエネルギーがある。

「2000万人署名」(※)を開始する。参院選に間に合わせるために、半年間の大急ぎの運動だ。このままでは負ける。野党共闘もそれほど簡単ではない。

 考え方の違いから運動内でも議論が起きている。他者のやり方をけなし、文句を言うのは簡単だ。それでも非暴力で手をつなぐことだ。来年の参院選は絶対に負けられない。今日から出発だ。高田さんはこう訴えて集会を締めくくった。

 さわやかな秋空の下、会場前には物々しい警察車両が並んでいた。通じる道路には警察官が立ち、裏手の高台へ上がる女坂や、線路沿いのかえで坂にまで警備陣が張りついていた。水道橋周辺には、17台の右翼の街宣車が集まったという。(Y)

※「戦争法の廃止を求める統一署名」(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)


Created by staff01. Last modified on 2015-11-08 10:11:20 Copyright: Default

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