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投稿者 : takeshi(43歳)

公共交通の私物化は今に始まったことではない〜「車内床広告」写真から思うこと

          
 *写真=メトロ有楽町線の電車。上も下も広告だらけ(3/17撮影)

公共交通の私物化は、今に始まった事ではありません。地下鉄の車内広告の乱舞ならまだマシです。それよりも遥かに高圧的でえげつなくグロテスクなのは、公共交通という全国民に公平かつ安全安心、そして信頼される輸送を保障する国家なり行政が担うべき最低限の約束を民営化の名目で資本に丸投げ・放棄する事です。

古くは1987(昭和62)年に中曽根民活及び行政改革の名目で強行された国鉄分割民営化まで遡れます。また昨今では営団地下鉄の完全民営化及び、これに続く都営地下鉄の民営化を目論む猪瀬東京都知事、さらには橋下大阪市長の独断と強制の基、2015(平成27)年度目標に新会社への移行が進行中である大阪市営地下鉄・バスの民営化、諸問題が山積しています。

これらは単に日本や大阪市の問題に留まらず、韓国での韓国鉄道公社(KTX)民営化、ドイツベルリン市営交通の民営化とも根源は共通なのです。いずれも政治家(政治屋?)や財界トップ連中の言い分は「増税なき成長戦略と鉄道や道路事業の再構築、さらには 企業価値向上・活性化には民営化が唯一無二の特効薬」という宗教性を、マスゴミだの彼ら寄りのご用達センセイを総動員し、この30年程延々と国民を洗脳してきたのです。

まして、異を唱え逆らう者は、国是や時代の流れに逆らう反社会分子などと徹底的に悪者扱いしては国民や労働者などの連携や団結を引き裂いてきたのです。その結果、労働組合は経営陣の監視と暴走を抑えるという本来の機能を失い、癒着と自己保身に走りました。 これを、事もあろうに連合では“労使協調”と呼んでいます。

国民の声や従業員の悲鳴や犠牲を無視して民営化政策の血祭りに挙げられたのは鉄道だけではありません。道路公団や首都高速道路公団、阪神高速道路公団などの他部門にも蔓延し、収集が付かなくなっているのが現状。とくに、国鉄の場合は80年代初頭から取り沙汰されていた地方分権や地方活性化の世論なり動きを巧妙に裏返しては悪用した象徴的な事例です。

長くなりましたが、たとえどれほどまでに赤字が出ていようと、特定の地域だけを対象にした私鉄会社とは根本的に異なり、日本国民全体のため存在する公共交通のインフラと経営は、いついかなる時代でも国家が保障するのが筋であり、責任と思います。

これらを、ごく一握りの者達の利益追求の道具に売りさばく民営化は、社会的・思想的に大間違いです。国家には国家の、民間には民間の役割と使命があり、また各々のバランスをどうやって調整し、国を維持・発展させてゆくかを考えるのが政府や国会議員の本来の仕事です。なのに80年代以降、この素朴であるものの当たり前の事が忘れられているではありませんか。

バブル崩壊から長引く不況、リーマンショックにも関わらず、誰もが目先のカネやイメージにしがみつき、今の豊かささえあれば・・・という刹那的な考えで固まっています。まさにカードローンで破産寸前ですが、誰もこれに気付かず目先の損得と豊かさに酔いしれています。

今こそ「自分が自分が・・・!!」や「俺が俺が・・!!」という 自己中社会の象徴ともいえる民営化(私物化)及び規制緩和一点張りの政策を改めなくては、日本は崩壊するでしょう。


Created by staff01. Last modified on 2013-03-18 16:03:41 Copyright: Default

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