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メッセージ (第83回メーデーにあたって)

2012年5月1日 福島県労働組合総連合
議長 斎藤富春(サイトウ ヨシハル)

 未曾有の被害をもたらした東日本大震災・原発事故から1年2ヶ月を迎えようとしています。大地を揺るがしたマグニチュード9.0の大地震と、地上の人も家も押し流した大津波、さらに東京電力福島原発事故による放射能汚染と避難の拡大で、福島県は今も被害のただなかにあります。

 県発表によると、4月24日現在、死者・行方不明者は合わせて2,420人。県民の避難者総数は16万人を超え、仮設住宅3万2千人、借上げ住宅6万4千人、公営住宅1,500人、県外避難6万3千人となっています。

 この冬、福島県は例年以上の雪と寒さに苦しめられました。とりわけ仮設住宅では、断熱材や二重サッシ窓が入っていない状況や、床下からの湿気や異常な結露、お風呂の追い炊きができないなどの防寒対策の遅れに悲鳴があいつぎました。薄い壁一枚で、隣の生活音や会話が筒抜けでプライバシーもないなど、狭くて劣悪な仮設住宅の環境は深刻です。

 そして、この間、被災者に再延長されてきた失業手当も今年1月から切れ始めています。県商工労働部は、1〜2月に失業手当が切れる受給者数を約1,800人、求職者4万4千人に対し求人数は3万4千人で1万人の雇用が足りないと発表。また、福島労働局は、1月の失業手当終了者1,248人のうち就職が決まった人は、わずか196人と発表しています。さらに、6万3千人に達する県外避難者への生活支援も緊急の課題となっています。引き続く、被災者・避難者に対する緊急的対応と手厚い支援、生活再建支援の強化が求められています。

 福島原発事故は、私たちの当たり前の日常生活を奪い、将来にわたり取り返しのつかない深刻な影響を広げ続けています。こうした事故を二度と起こさないことが私たちの願いであり、そのためには未完成な技術であり、人類が制御できない原発は、推進ではなく、ただちに廃炉・撤退を決断すべきです。私たちは、原発事故とその被害を体験している者として、原発の再稼動や海外輸出に強く反対します。

 また、復興を口実とした消費税増税や国会議員の比例定数削減などの「財源確保・経費削減」論、農林水産業の復興を装ったTPP(環太平洋連携協定)の推進や道州制導入の動きなどは被災地の利益にも反するものであり、絶対に容認できません。

 震災・原発事故からの復興は、被災者・避難者に保障された基本的人権です。そして、復興の目的は、日本国憲法が保障する人間の尊厳の実現でなければなりません。生命・自由・幸福追求に対する権利、生存権、財産権、環境権など憲法の保障する基本的人権が実現される社会の創造でなければなりません。これまでの経済を最優先させ、競争を賛美し、軍事に莫大な予算をつぎ込み、コミュニティーを崩壊させ、地域文化や農林水産業をぞんざいに扱ってきた政治や社会のあり方が問われているのではないでしょうか。

 今こそ、原発事故の真の収束と廃炉、事故原因の究明、徹底した除染、被害者に対する完全賠償、さらには原発に依存しない地域経済やエネルギー政策の根本的見直しを国と東京電力はじめ全ての電力会社に求め、日本の新しい未来を創って行こうではありませんか。このことを心から訴え、福島からのメッセージとします。

Created by staff01. Last modified on 2012-05-01 19:44:20 Copyright: Default

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