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韓国の「移住民テレビ」代表、当事者による発信の大切さをアピール

               〜第8回「レイバーフェスタOSAKA」〜


 東北の地震、津波さらに福島の原発事故という大災害に見舞われた日本に住む私たちに、今求められているものは何か、今回上映された映像は、いずれもその問いに答えようとするものだという気がした。

 第8回目の「レイバーフェスタOSAKA」は、会場を第1回会場のクレオ中央に戻し、昨年の不振を挽回すべく、初心に戻っての再スタートとなった。今年は関西の3分ビデオが内容深く、参加者も補助イスを追加する勢いで、昨年を上回り、およそ100名の参加となった。

 今回は湯本雅典さん制作の「子どもたちを守れ!―福島の闘いー」の上映でスタートを切った。安全を繰り返す文部科学省の役人に対して、子どもを守ろうとする親の必死の気迫が伝わる。「自分は死んでもいいが、子どもたちを守って下さい」と訴える女性の姿に心をうたれる。

 司会は去年に続いて小泉友由子さんが担当し、新人の胡桃澤伸さんが補助する形で進められた。大阪の3分ビデオは昨年より増えて13本となった。 今年のビデオ制作講座の受講生7人が、みんな真面目に制作に取り組んだ成果が出たといえる。胡桃澤伸さんの「祖父が遺したメッセージ 国策『満州移民・皇 国農村』の果てに」は、長野県の村長だった作者の祖父が、満州移民に村人を送り出し、全滅した責任をとって自宅の鴨居に首を吊って死んだ事件を追うもの。 大椿裕子さんは、4年間勤めた大学を雇い止め解雇された自分を撮り、「私に賞味期限はありません!」とアピールする。竹下士敦さんは神戸の17歳の高校生 たちにインタビューした「17’s」を作り、陣内恒治さんは「朝鮮学校への差別を許すな!」を制作した。

 メイン映像は南米のコロンビアで労働運動の活動家が殺害される事件を追った「コカコーラ・ケースー多国籍企業の犯罪―」が上映された。この映画は関西初上映である。

 休憩をはさんで、韓国からのゲストとして招いたアウン・ティン・トンさんの講演。アウンさんは17歳のときに研修生としてビルマから韓国に来 て、1日18時間働いた。そして移民の人権を守るため、社会にアピールするメディアとして「移住民放送局」を作ることにした。毎年移住民映画祭を催し、メ ディア教育に力を入れている。映像を示しながら、アウンさんは当事者の移民自らが映像を発信する意義を強くアピールし、参加者に感銘を与えた。

 唯一の音楽としてYANEURA音楽工房のギターと歌が流れると、会場はさわやかな風が吹いたような雰囲気になる。

 東京の3分ビデオ15本が一挙上映され、原発に関する作品が多く、原発とともに生きざるをえない重々しさが伝わる中で、淀川長治の「日曜洋画劇場」をパロディにした亜北斎さんの「絶対安全」は、電力会社の矛盾を鋭く突きながら大いに笑わせる傑作だった。

 昨年に続く観客の投票で好きな作品を選ぶ「観客賞」では、高賛侑さんがロスアンゼルスのコリアタウンで撮影した「民族を超えた連帯 KIWAコ リアタウン労働連帯の闘い」が1席となった。ロス暴動から20年を経て、ラティーノとコリアンが交流する運動を描いたもので、2席の胡桃澤伸さんの作品と 同様、歴史を主体的に見つめようとする作品だ。

 昨年の不振で崖っぷちまで来た感があった大阪のフェスタだが、参加者からよかったという声が多く寄せられ、今後協力したいとの若い人の声もあり、新たな出発を予感させるフェスタとなった。

       (文責 小山帥人)


Created by staff01. Last modified on 2011-12-05 12:42:45 Copyright: Default

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